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新人を組織になじませる

laptop 新入社員
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コロナ禍になって以降に新卒として入社した人の成長や活躍に課題感をもっている組織は多い。

テレワーク環境下で1年目を迎えた新卒入社者は、同期や上司とのコミュニケーションにとりづらさを感じたり、自らのモチベーションの維持が難しかったり、独り暮らしの場合は孤立感や孤独感も感じている。

一人ぼっちのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

※ 私の所属している会社の調査では、[「会社(人事部門)が思っているほど、新入社員は不満や不安を持っていない」という結果であったが、課題であることに違いはない。→ うちの会社の関連サイト(パーソル総研:2020年新卒入社者のオンボーディングに関する調査)

確かに、テレワークという環境は新卒入社者に限らず、中途入社者、異動者などのすべての新規参入者に難題を与えている。

難題とは、参入する組織や担当する仕事になじむ という点である。

テレワークという条件を除いたとしても、現代において、採用する側は ”新規参入者を組織になじませる” ことにかなり神経を使わなけれなならない。

なぜか。

その背景にあるのは、コロナ禍により話題にならなくなっているが、国内は人手不足の時代が来ている点が大きい。採用した人材が辞められると痛いのである。

昨秋にうちのグループ会社の行った調査で、現場のマネジャーに「今困っていること」を聞いてみると、”人材不足” は上位にランクされている。(量の面だけでなく、質の面もあるだろうが)

組織社会化

組織社会化という言葉をご存じだろうか。

経営学・組織行動論の中の1つのトピックとして扱われており、上記の ”組織になじませる” ことを探求している理論である。

組織社会化の定義:
組織内での役割を遂行することと、組織のメンバーとして参加することにとって不可欠となる価値観、能力、期待される行動、社会的な知識などを正しく理解していくプロセス

としている。(鈴木竜太・服部泰宏,2019)

新規参入者(新卒入社者ら)が組織になじむ プロセス(過程)のことを言っている。

新規参入者は組織社会化により(=組織になじめば)どんな成果が得られるか。

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一次的な成果と二次的な成果がある(ミシガン州立大学の心理学者ジョージア・チャオ氏ら)ようだ。

一次的な成果としては、新規参入者は組織内の人間関係や政治力学(誰が力を持っているのかなど)、組織独自で使われている用語などを理解するようになる。

二次的な成果として、パフォーマンス向上、職務満足向上、離職意思の低減が挙げられる。

二次的な成果を見てみると、組織側にとっては良いことばかりなので、何とか組織社会化を促したいところである。

人事部で働く皆さんが、組織社会化という概念をどれだけご存じかどうかは不明だが、(中途入社者や異動者と異なり)新卒入社者を早く組織へなじませようと数々の手厚い支援をやっている。

4月の導入研修はその典型だ。

リクルートスーツを着た就活生たちのイラスト | かわいいフリー素材集 ...

新卒入社者の組織社会化を促すためには、人事部の熱い思いだけでは足らない。

現場配属時に新人のお世話係を任されるOJTトレーナー(会社によってはチューターとか、シスター・ブラザーとも呼ばれる)の活躍だけでも足らない。

ここでも、やっぱり現場のマネジャーの言動がカギを握る

それは決して、OJTトレーナーに代わり、新卒入社者の面倒を1から10までマネジャーがみるということではない。

新人との直接的な関わりもあるが、OJTトレーナーへの指示の出し方、新人を育てる職場環境づくりなど、組織社会化を促進させるポイントがある。

新社会人・新入社員のイラスト「走るサラリーマン」 | かわいいフリー ...

より具体的な話は、組織社会化の国内研究の第一人者である、甲南大学 経営学部の尾形真実哉教授にご登壇いただき、3月15日(火)15:30~17:00 にウェビナーにて紹介。

タイトルは「なぜ新入社員は早期戦力化しないのか? ~組織になじませる力を高める~」。

無料につき、気軽にご参加を。 ※私も一部登場。

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以下は尾形先生の著書。専門書ですが、おすすめ。

尾形真実哉 著『若年就業者の組織適応』白桃書房 2020年

尾形真実哉 著『中途採用人材を活かすマネジメント』生産性出版 2021年