以前のブログで、”職場づくり” がマネジャーの重要性な役割になってきていると書いた。(職場づくりの大切さを書いた記事)
その記事の中で、社員意識調査やエンゲージメントサーベイといった組織診断の結果を活用した ”職場づくり” に関して触れたのだが、今回はその点に関してもう少し詳しく述べる。
皆さんの会社では、組織診断(呼び名は色々)を行っているだろうか。
国内の大手企業では、ずいぶん以前より定期的(毎年 or 2年に一度が多い)に行っていることが多いと思われるが、データの活用が叫ばれている昨今、導入や見直しをしている会社は増えてきているのではなおだろうか。
そういった組織診断の結果を、皆さんの会社ではどう活用しているのだろうか。
知り合いの大学教授に聞いたのだが、とある大手通信企業では「毎年調査を行っているが、結果を全く活用していないようだ」とのことであった。
私の会社で一昨年に行ったセミナーで取得したアンケートでは、約半数の会社が「現場に診断結果を返している」としているが、現場でどう活用されているかは不明とのことであった。
組織診断を主管する部署から、診断結果を渡されるのは部長クラスであることが多いようである。診断結果の最小単位が「部」であることが大きな理由のようである。
結果を渡された部長は、そのあとどうしているのか・・・。
普段お付き合いのある会社の、課長クラスの皆さんに聞いてみると、以下のような話を聞く。
診断結果の扱われ方 ステップ:
1.課長が集められ、診断結果の共有を受ける
2.全社平均と比べてスコアの悪い点につき、課長に指示が出される。「何とかしろ!」
3.課長は、一応対策を考え、部長に「○○に取り組みます」と報告
4.その後、部長からのフォローはない
この例は極端かもしれないが、皆さんの会社はどうだろうか?
もし、このような状況を毎年繰り返しているとどうなるか。
定期的に行われる組織診断に対する信頼性は下がり、社員は設問にまともに回答することが減るだろう。そうなると、結果は納得感がなくなり、ますます活用されなくなる。
お金と回答時間を無駄にしていることになる。もったいない。
組織診断の結果は、ミドルマネジャーにとって、職場づくりに活用できる有益なネタにも関わらず、である。
組織開発という営み
組織開発と呼ばれるものがある。耳慣れない言葉かもしれない。
人材育成と似た言葉としてある ”人材開発” という言葉は聞いたことがあるかもしれないが、開発する対象には組織もあるのだ。
平たい言葉にすると、チームづくりとか職場づくりと言っても良いだろう。
国内に、人材開発部という部署名を書かけている会社はある。しかし、組織開発部という部署を置いている会社は少ない。(海外では多い)
では、組織開発って何か、ものすごくシンプルな定義を伝えると、
組織開発とは、組織をworkさせるための意図的な働きかけ。
出典:中原淳+中村和彦 著『組織開発の探求』ダイヤモンド社 2018年
皆さんが担当するチームや職場を、成果に向けてwork(機能)させるための行為。チーム内に、いかに相互作用(相乗効果、補完関係)を生み出すか、そのための行為といったところか。
組織開発という言葉は堅いが、その意味はさほど難解ではないだろう。
組織診断の結果は、職場づくりの良いネタ
その組織開発を行う際に、組織診断の結果は活用できる。というより、われわれミドルマネジャーにとって、結果を活用したほうが組織開発(チームづくり、職場づくり)を格段にやりやすいのではないかと思う。
先ほど紹介した本の中で、組織開発の3ステップが紹介されている。
①見える化 ②ガチ対話 ③未来づくり
①見える化 とは、自分の組織の問題を「可視化」するステップである。
このステップでは、”対話” によって「可視化」する手法と、”診断(の結果)” によって「可視化」する手法があるとされているが、どちらがやりやすいだろうか。
私は、断然 ”診断” の結果を活用したほうと感じる。
理由は、診断結果をテーブルの真ん中において話し合いを進められるので、話し合いが脱線しそうになったとき、結果に戻って話題を修正することができる。
また、組織診断は全員回答が普通なので、声の大きい人の意見が話し合いの場を支配してしまうリスクも軽減できる。
次回、より具体的に、組織診断の結果を使って、組織開発(チームづくり、職場づくり)をしていけるのかを書くことにする。
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