「人材育成・組織開発を考える部屋」にもお立ち寄りください!

組織行動論を学ぼう!

勉強 課長に役立つ知識
この記事は約4分で読めます。

課長にとっての基礎学問(基礎知識)なんだ?

ズバリ、経営学である。

課長に限らず部長以上もそうだが、マネジメント職は文字通りに ”マネジメント(経営)のプロフェッショナル” である。当然、プロというからには経営に関する専門的な知識が備わっていなければならない。

具体的にどんな知識か。MBA(経営学修士)の科目を見てみるとわかる。経営戦略、ファイナンス、アカウンティング、リーダーシップなどである。

というと、こんなことを考えるかもしれない。

*MBAなんて役に立たないんじゃない?
*課長のオレは戦略なんて考える立場じゃないし~
*ファイナンスは財務部、アカウンティングは経理部、マーケティングはマーケティング部の仕事だろ!
*そんな専門知識がなくたって何とかなってるし、先人だってそうだし・・・

なんともったいない!!知るといいこと満載なのに・・

私見だが、ミドルマネジャーにとって、所属部門によってはあまり必要のない知識・科目もある。

反対に、コンピュータでいえばOSに当たるような、どの部門で働こうが、ミドルマネジャーにとって知っておいた方が絶対に良いという学問がある。それが、

組織行動論!

経営学の中の1つの領域である。

課長になったら是非学ぶことをお勧めしたい!

課長になる前でも良いが、課長になる前に学んでもピンとこないし、知識として学習しても実践の場があまりないので本当に学びにならないことが多い気がする・・・。

組織行動論は、こんなふうに定義や表現がなされている。

  • 組織の中で人々が示す行動や態度についての体系的な学問(Robbins,2005)
  • 組織における人間行動に関する理論(鈴木&服部,2019)

当たり前だが、ミドルマネジャーは ”他者を介して成果をあげる” ことが役割である。他者との関わりはマネジャーとしての役割を果たすための生命線と言っても良い。

組織で働く人の行動が学べる組織行動論は、その生命線に有益な示唆を与えてくれる。

内容としては、モチベーション、リーダーシップ、チームマネジメント、キャリアなど、現場のミドルマネジャーにとっても馴染みのあるものが多い。

組織行動論を学んでどんないいことがあるの?

いいことというか、学ぶ意義は2つある。”予測” と “説明” である(鈴木&服部,2019)。

”予測” の意義というのは、「こういった場面では部下は●●するだろうな」とか、「自分がこう言ったら部下は〇〇のような反応をするだろうな」とかいうふうに、相手の行動や反応に関する想像力・予測の精度が増すため、マネジメントの質が向上する。

”説明” の意義というのは、部下との人間関係において予想外の出来事や誤算が起こった際に、その理由を理解でき、他者に説明するのに役立つ。

説明できることは、自分の後任マネジャーを育成する際に有益である。なぜなら、組織マネジメントのポイントを相手に説得力をもって説明することができるからである。

自分なりに、マネジメントのポイントなら語ることができるけど・・・・

ちょっと待って!!・・・である。

しろうと理論とその限界

長く仕事をやっていると、誰しも仕事のコツのようなものを体得している。それは”理論” とまでは言えない、自分だけの理論という意味で ”持論” と言ったり、”自論” と書いたりもする。”しろうと理論” ということもある(服部,2020)。

今でもやっているけど・・・という人は、しろうと理論を ”予測” や ”説明” で使っているのだろう。

確かに、科学的に立証された理論と “しろうと理論” の境界は明確でないし、優劣を断言もできない(服部,2020)と言われている。

ただし注意が必要である。

「一度形成されたしろうと理論は、環境の変化にもかかわらずかなり固定的になることである(加護野,1988)」ということ。

環境だけでなく、異動などにより職場や部下が変われば、有効なマネジメントの方法は変わる。しろうと理論だけに頼っていては限界がある。

しろうと理論+科学的理論、両方を持っているマネジャーは強い

だからと言って、しろうと理論を捨てなさい!という話ではない。

”マネジメントのプロフェッショナル” として活躍するために、科学的根拠に基づいたマネジメント + しろうと理論で、現場や場面ごとに最適と思われるマネジメントを選択し、実践する。そうすれば、マネジメントのプロとして、これまで以上に安定した、高いパフォーマンスの発揮が期待できる。

繰り返すが、ミドルマネジャーは、組織行動論を学ぶことをお勧めしたい。

以下が、私の読んだ本である。

*鈴木竜太・服部泰宏 著『組織行動 組織の中の人間行動を探る』有斐閣, 2019

*開本浩矢 著『入門 組織行動論 第2版』中央経済社,2014

*服部泰宏 著『組織行動論の考え方・使い方』有斐閣,2020


*スティーブンP.ロビンス著 高木晴夫訳『新版 組織行動のマネジメント』ダイヤモンド社,2010

いずれも読みやすいが、1番目と2番目の本は大学生にも向けて書かれているものなので、とても理解しやすい。

次回から数回、このブログで「現場で使える組織行動論」について書いていく。