私は本屋に行くと、リーダー/マネジャーに関する書棚には必ず立ち寄る。そして、新書や複数の書店で平積みにされている本は必ず手に取る。さっと見て面白そうなら、アマゾンのカスタマーレビュー(のフリーコメント)に書かれている内容をその場で見て、買うかどうかを決める。
最近買ったのが、『リーダーの仮面』というタイトルの本だ。どうやら売れているらしい。
著者の安藤広大氏は、株式会社識学の代表で、リーダー/マネジャーの養成で多くの企業で実績を積み重ねているようだ。自身の会社も急成長している。この本に書かれていることを実践しての成長ならすばらしい言行一致だ!
内容を読んだ感想は、部下に寄り添う/伴走するといった、マイルドなマネジメントの風潮がある昨今で、ピリッとスパイスの効いた内容。
私にとって強く同意できる箇所と強く拒絶したい箇所が混在していたので、感情を移入しながら読めておもしろかった。あっという間に読み終えた。
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本中で印象に残ったこと ※たくさんあったうちの3点
①「集団の利益」から「個人の利益」が生まれる
この本の思想に、「個のルールに集団が合わせる」というものはない。まずは「集団の利益」を考えるのであって、そのあとに「個人の利益」を考えるのが正しい順だと言っている。
その通りだと思う。
マネジャーとして、一人ひとりの部下に好かれるようとするよりも、チーム全体のパフォーマンスにとって何が有益かどうかを気にしなさいということだが、ついつい「個」ばかりを気にしていないだろうか・・・(内省)。
こんなことも言っている。
会社やチームの利益を(先に)考えないようなリーダーはダメ。ましてや「うちの商品は競合に比べてダメだな」と部下の前で言い、部下から人気を得ようとするようなリーダーは失格。
これにも強く同意。
②「客の言いなり」は組織の不利益
強く同意。
本の中で「リーダーはお客様や社会を優先させることはNGで、会社の未来・会社の存続を優先させなさい」と言っている。
例えば、「●●%以上の値引きは絶対にするな」とか「お客様からすぐに連絡がほしいと言われても、18時以降の対応はしない」とかいった、組織の設定したルールに必ず従えと。そして、そのルールを遵守した社員を評価しろと。
なるほど。まず、ルールの明示が必要だが、その遵守徹底と評価か・・・(内省)。
このブログで書いた、ジョブ型に関する別記事(※)にある、「日本で労働時間が減らない理由には “2つの神” がいる。それは、”上司” と ”顧客” 。彼らの言うことに従っている限り、労働時間は減らない/生産性は高まらない」という点とつながるなぁ。
いま世間で行われている「働き方改革」に伴った労働時間の削減に関する取組において、マネジャーが、お客様からの要望より自社内ルールを優先した言動をとる。
例えば、「今日はNO残業デーだ。お客様への返答は(急ぎと言われていても)明日で構わない。今日は帰りなさい。何かあれば、その際は私が出ていくから」と言う。
そして、その通りに行動した部下を評価する・・・・・そうすれば、日本の旧態依然とした労働環境も少しは変わる・・・かな。
③「360度評価」は要らない!
この主張には反論したい。これは、360度評価の使い方の問題だ。文字通り、マネジャーの ”評価” に使うのなら要らない。この点は私のブログの別記事で書いている(※)。
本の中で「360度評価という発想が出てくる背景には、経営層が自らのマネジメントに自信がなく、中間管理職を信用していないことが原因」とあるが、360度評価の結果を ”評価” に使いたい人たちならそうなんだろうね。
360度評価は、本来は ”育成” に使うものだよ。それしか意味を持たないよ。まあ、一般名として360度 ”評価” と名づけられている時点でナンセンスかと思うけど。
自分のマネジメントを多面的に見てみる
この本と同時に購入した『課長 2.0』という本も併せて紹介したい。というより、『リーダーの仮面』と続けて読んでほしい。
おすすめする理由は、書かれている内容(マネジメントのスタンス)が対象的だからだ。
よく言われるように、どこでも通用するような、効果的なマネジメントスタイルなどはない。様々な状況に応じた、様々な考えややり方があると考えるのが妥当だろう。
そうした場合、この2冊を比べてみることで、自分の普段のマネジメントスタイルがどちら寄りか、不足しているのはどんな点か、自分のマネジメントが立体的に見えてくる。
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