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マネジャーが成長する経験

laptop 課長よもやま話
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世の中で活躍しているリーダーは、どんな仕事経験(キャリア)を積んでいるのだろうか。

アメリカの研究者であるM.マッコールさんが書かれた『ハイフライヤー』や、国内ではリーダーシップ研究の第一人者である金井壽宏先生が書かれた『仕事で「一皮むける」』がこの点に詳しい。

M.マッコール 著『ハイフライヤー』ダイヤモンド社 2002年

金井壽宏 著『仕事で「一皮むける」』光文社 2002年

日米それぞれでの調査・研究ではあるが、成長を促したり、”一皮むけ”たりする経験は両国に共通しているものが多い。

例えば、「初めての管理職」「プロジェクトチームへの参画」「悲惨な部門の立て直し」「ラインからスタッフへの異動」「異動・左遷」などなど。

修羅場とも言えるようなものも含め、大変な仕事経験を通して、様々なことを学び、成長し、活躍しているようだ。

以前のブログで、”マネジャーになる” とはビジネスパーソンにとって大きな変化(移行期)であると書いた(関連ブログ)が、「初めての管理職」がビジネスパーソンの成長に与えるインパクトはやはり大きい。

マネジャー(管理職)になること自体が本人にとってはタフなアサインメントと言えるが、もう少し具体的に、マネジャーはどのような業務経験によって成長するのだろうか。

成長期のイラスト

部長の立場からすれば、配下の課長にどのような経験を与えることで、後継ぎ(次の部長)を育てることにつながるのかということの話である。

課長の立場からすれば、どのような経験を積むことで、マネジメント職として一段高いレベルに上がれるかという話である。

この点は、北海道大学の松尾先生の『成長する管理職』に多くのヒントが述べられている。

松尾睦 著『成長する管理職』東洋経済新報社 2013年

まず、成長を促す経験の種類としては、部門連携・部下育成・変革参加の3つにまとめられている。具体的には以下のような業務経験である。

部門連携:
*他部門との連携による事業活動
*グループ会社や関係会社との連携による事業活動
*担当部門を越えた人々やプロセスに影響を与える業務

部下育成:
*仕事を通しての部下育成
*部下のモチベーション管理や組織の一体感醸成

変革参加:
*既存事業の再編・統合、事業の撤退、事業の立て直し
*組織構造改革、制度改革の推進
*全社戦略、事業戦略、部門戦略の企画・立案

上記した経験を通して、活躍するマネジャーとして必要な 情報分析力や目標共有力、事業実行力 など(これら能力の詳細は本で確認してください)を磨き、更に活躍するようになっていくのである。

忙しく仕事をしている男性会社員のイラスト

部長としては、意図的に配下の課長に上記のような経験を与え、成長支援し、次の部長を育成する

課長としては、上記経験を自ら進んで行い、能力を高める(自分の価値を高める)

その際に注意したいのは、

人は経験しただけでは成長しない

ということ。必ず、目標設定~経験~振り返りのサイクル(PDCA)を回し続けなければならない。

部長は、課長と定期MTG(1on1)を必ず行い、課長が経験を振り返り、学び成長する支援をすること。 ※ここでもまた1on1が出てきた。最近ほんとによく話題になる

課長は、部長に頼らずとも、自らでPDCAを回す習慣をつけること。

他人の成長支援も、自己成長の取り組みも、いずれも手間はかかるし、高い自律性が必要である。

残念ながら、成長に近道はない。