マネジメントに関する様々なTipsで「WHY」が良く出てきます。例えば、TEDでも有名な映像のひとつすが、サイモン・シネック氏の書籍『WHYから始めよ!』は最たるものではないでしょうか。
→ TEDの映像へ
→ Amazon サイモン・シネック著『WHYから始めよ!』 日本経済新聞出版社,2012年
→以前に書いた関連するブログ記事
他にも、ここ数年聞かれる”パーパス経営”も「WHY」に関係しています。これは、「自分たちはなぜ(WHY)存在するのか」という、自分たちの社会的な存在意義を明文化して経営していこう!という考え方に基づいた経営手法ですね。
サイモン・シネック氏の言葉がメディアに取り上げられたり、”パーパス経営”がホットワードになったりする背景には、裏返しますと、「WHY」がないがしろにされがちな現実があるような気がします。
今日は「WHY」についての私見を述べていきます。
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「WHY」はいつ使われているのか?
職場において「WHY」が出てくる場面があります。代表的なものは、部下の犯したミスの原因を追究する場面や、部下がやるといったことをやらなかった場合ではないでしょうか。
*なんで、こんなことをしたんだ!!
*なんで、やらなかったんだ!!
と追及しますよね。上司は、明確にしたところで大して生産的でないやりとりが予想されるにもかかわらず、部下に「WHY」を聞くことに執着します。
最近では、部下からハラスメントと訴えられることを恐れ、怒鳴るような口調を発することは少なくなったかもしれませんが、「なんで?」「どうして?」と淡々と詰められるのも、部下にとって気持ちの良いことではありませんよね。
こんな状況ですので、部下側からしますと、上司から「WHY」を問われることにいいイメージを持っていないことが多いのではないでしょうか。
話が少し脱線しますが、部下に対する指導・育成の場面において、「なぜ(WHY)」を連発しすぎてしまい、かつ言い方もきついためか、刑事が容疑者に行うような尋問や詰問の場になってしまうケースが散見される気がします。
日本のビジネス社会で、ポジティブな文脈で「WHY」はあまり使われていないのかもしれませんね。
※トヨタさんの「なぜなぜ分析」は、タスクマネジメント(問題発見・解決)上で有効な手法です。
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上司から「WHY」を聞いていますか?
サイモン・シネック氏が言っているくらいですので、日本に限らず、「WHY」を上手に語る(用いる)ビジネスパーソンは少数なのかもしれません。
そんなことを考えていますと、ふとこんなことを考えました。
日本のビジネス社会では、部下から上司に「WHY」を聞くことが少ないのかもしれない
いかがでしょうか。例えば、課長であるあなたが、
*部長から、唐突に「HOW(やり方)」を考えるように指示を受けた
*部長からの指示に、掲げている戦略との関連性や一貫性が見えない
*部長からの指示が、これまでの方針と反するようなものに思えた
そんなとき、
◆その指示の背景には何があるのでしょうか?
◆どうして、そのような指示が出てきたのでしょうか?
と、部長に聞いている(確認している)でしょうか。そこを聞かずして、あなたは部下に対して明確な指示を出せるはずはないと思います。あなたの部下は「どうしてそのような指示が出たのか」、その背景、つまり「WHY」を知りたいはずです。「WHY」がわかれば、アイデアだって色々な観点から出てくるはずです。
「WHY」を聞いていない原因は色々とありそうです。例えば、
●上司が恐いから(上司に怒鳴られるから)
●上司に馬鹿にされる(無能扱いされる)のではないかという恐れから
●「「WHY」は自分で考えろ。いちいち聞いてくるな」という組織風土があるから
●そもそも「WHY」を聞くアンテナがない。直ぐに「HOW」に走る思考パターンの持ち主だから
他にも原因がありそうですが、いずれにしても組織として、マネジャーとして、マズい状態です。
あなたが上司から「WHY」を聞いていない状態で部下に指示を下ろした時、あなたが部下から質問を受けても答えられないはずですね。「多分・・・だと思うけど」なんて言っても、部下はモヤモヤするだけです。
自分にあてはまりそうでしたら、マネジャーとして改善行動が必要です!
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「WHY」を上司に必ず質問・確認しているのであれば、それを部下に丁寧に伝えることですね。それが部下の指示への納得感につながったり、働きがいやエンゲージメントなどにも影響を与えたりする可能性がありますので。
部下のエンゲージメント(モチベーション)を高めるためにどんなメッセージを出すと良いのかについては、名古屋商科大学大学院の高木晴夫先生が本に書かれています。
参考図書:高木晴夫 著『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ』かんき出版,2020年
ご参考までに。
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