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自己選択しているという感覚

blackboard with your life matters inscription on black background キャリア開発支援/キャリア面談
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本日の Key Question

ミドルマネジャーとして、メンバーの人生にどれだけ責任を持てますか?

部長であれ課長であれ、組織の中での ”役割” として、マネジメントを担っています。

人事ローテーションが行われている組織(特に大企業)においては、特定のメンバーとの付き合いは数年間だと思います。

多くのメンバーが30年以上の仕事人生を歩みます。その中の数年間の関わりにおいて、ミドルマネジャーはメンバーとどのように関わっていけばよいのでしょうか。

今日はそんな話についての私見です。

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働くことに関する多様化が進んでいます。勤務場所(地域限定採用、リモートワークなど)、雇用形態、副業、家族事情(育児、介護など)など、メンバーの志向や状況は様々です。

会社として「あなたを一生面倒を見ますよ」という時代ではありませんね。変化が激しい時代において、安定という概念はビジネスにおいてもうないのかもしれません。

応援団長
応援団長

国も人材の流動化を勧めていますしね

そんな状況下で、現在いる会社に居続けることをメンバーに勧めることって相当に重たいことに思えます。他人の人生にそこまで関与していいのかと考えてしまいます。

これは責任を回避したいという意図ではなく、自分で「働くこと」を考え、選択しないと本人が後悔するのではないかという意図から考えています。(後悔どころか、不幸になることだってあり得ます)

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現在の会社や職場に居続けることの魅力をメンバーに伝えることは、ミドルマネジャーの重要な役割です。

特に、ますますの人手不足が見込まれている状況で、有能かつ今後のビジネスにも必要な人材であれば、是非ここに居続けてもらいたいですよね。

居続けてもらうためにあれこれ言うのはいいのですが、最終的に、メンバーがキャリアを自己選択をしたという感覚を持てるようにしたいところです。「マネジャーに言われたから(しようがなく)居る」という感覚にさせないということです。

「このマネジャーのもとで働き続けたいから」という理由ならメンバーの自己選択的ですね💛

応援団長
応援団長

そんな風に言われたら嬉しいですね😊

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上司とメンバーの間で行われるキャリア面談のとき、上司として何かアドバイスしなきゃとか、何か良いことを言わなきゃとかいった考えを持っているマネジャーって結構いるのではないかと思いますが、その際は要注意です。

これまで(会社の言われるがままに配属先が決められ、仕事をしてきて)自分のキャリアについて考えたことがない、将来に関しても何も考えていないというメンバーに対して、キャリアに関する自己選択の意識をどう持たせるか・・・。

意識が直ぐに変わらずとも、「強みはどんな点だと思うか」、「仕事上でどんなときに喜びを感じるか」、「将来にやってみたいことはあるか」といったことをメンバー自身に考えさせるような問いかけを継続して行っていくことは、メンバーにとって有意義なことだと思います。

脅迫めいたことを言うことはダメですが、時には「この先のビジネス環境をどう考えるか(シビアだぞ)」とか「あなたの職場や仕事がこの先もずっとあると思うか(なくなるかもよ)」とかいった話を投げかけ、「働くこと」を真剣に考えてもらうことも必要なのではないでしょうか。

本人が今後のキャリア形成を我が事として真剣に考え、「働くこと」について自己選択することを支援する

これがミドルマネジャーの役割だと思います。

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もしメンバーが会社を辞めたいと言っていたとき、

マネジャーの保身のために、メンバーを慰留する

こんなマネジャーは論外です。

職場の人手が不足しているので、メンバーを慰留する

気持ちは分かります。残された側はますます大変になりますもんね。しかし、メンバーが居残ったとしても、本人はキャリアを自己選択した感じにはなりづらいかもしれませんね。

現在の会社に居続けることが、果たしてそのメンバーにとって幸せなことなのか。

居続けることによって得られそうな有形無形の満足、次のキャリアを歩むことで得られそうな有形無形の満足をメンバー自身に考えてもらう。マネジャーから見て「こんな満足もあるんじゃないの?」といったことがあれば、「あくまでも参考までに」という前置きで話をする。あとはメンバー自身の選択。

将来のことは誰も分かりません。分からないからこそ、「働くこと」の自己選択は本人にとって大切なのではないでしょうか。

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応援団長
応援団長

以下は独りごとです

会社として ”キャリア自律の促進” と謳いながら、現在いる会社内だけでのキャリア選択をさせようとしているところがあります。つまり、メンバーに昇進意欲や異動希望を聞いているだけで、外部に出ることを考えさせない/言わせない・・・。

キャリア自律と言いながら、会社都合のキャリア選択をさせているように見えるのですけど。

そんな半端な施策は、現場のマネジャーを困らせます。キャリア面談で、メンバーに「外に出たいです(=転職を考えています)」と言われたら、どう対応すればいいのですかね。

現代は簡単に他社比較できる時代です。従業員も自社の狭量さにガッカリするだけですよ。ガッカリしないのは ”ぶら下がり社員” だけかもしれません。

現在は「いったん外に出て、経験を積んで、大きくなって戻ってきてくれ!」ということがOK、出戻り社員(=アルムナイ)歓迎の時代です。(→ アルムナイの開設:HRプロさんのサイトへ