昨日、立教大学経営学部の中原淳先生と、クライアントである生活協同組合コープみえ様をお呼びし、「サーベイ・フィードバック」をテーマにウェビナーを開催した。
約170名の聴講者に対して、以下のような情報をお伝えした。
*会社でやっている組織サーベイの結果をどう活用するのか from 中原先生
*実際にサーベイを現場にフィードバックしてどうだったのか from コープみえ様
90分間のイベントであったのだが、聴講者の皆さんの満足度は高いものであった。
サーベイ実施後の実態
皆さんの会社では ”サーベイ” をやっているだろうか。エンゲージメントサーベイと言ったり、社員意識調査と言ったりする。
イベントの参加された皆さんに投票してもらったのだが、約7割の方が「やっている」と回答。
そのうち、「サーベイ実施後、現場で結果を活用しているか」を投票してもらうと、約5割が「活用していない」と回答。
せっかくサーベイをやっているのに、フィードバックがない。この状態を、中原先生は「肉の置いていない焼肉屋」と表現されていた。
管理職に返しているだけ
リアルはどうか。
サーベイの主幹部署(経営企画や人事など)は、サーベイの結果を部長クラスには返していることが多い。問題はそのあとである。
部長から課長に伝える。「こんな結果だった。さて、どうしようか?何をすれば良いのか?」
なんやかんや言い訳を作って、結局何もしないでフェイドアウト・・・。
一般従業員に伝えられることはない。
こんなことが毎年続くと、従業員はサーベイに回答することがアホらしくなる。となると、テキトーに回答する。そうすれば、結果はあまり意味のない情報になる。
おお、悪循環。
スコアが良かろうが悪かろうが・・・
- スコアが良い(全社平均と比べて得点が高い)から問題ない。だから、特に何もしない。
- スコアが悪い。こんなんじゃ、現場に返せない/見せられない。だから、何も起こらない。
スコアの良し悪しに関わらず、結局何も起こらないのが多くの組織の現状だ。
なんでこうなるのか?
中原先生が「スコアを成績表として見ているから」とおっしゃっていた。
そのとおりだと思う。
サーベイのスコア自体に意味があるというより、スコアにどう意味を持たせるかはサーベイ結果の受け手次第である。
更に言えば、スコアの高低に関わらず、どこの組織にも課題は存在している。スコアが高い組織だからって課題がないわけではない。それは課題の捉え方を分かっていない。または、組織にビジョンがない証だ。
スコアが悪い組織に対して、結果を返さない/見せないのは、臭いものに蓋をしているだけ。事態を悪化させているという自覚がない。
マネジャーにとって必須スキル
データを活用したビジネスが隆盛の現代、組織運営においてもサーベイの活用は求められている。
パルスサーベイもその一種。様々なサーベイの結果が現場に降りてくる。
現場のマネジャーにとって、それらのサーベイの結果を活用して、上手に組織運営できることは必須スキルになってきていると言っても大げさではないだろう。
自組織にスコアがどうであれ、結果を部下と共有し、将来に向けて何をするかを対話して決めて、皆で行動していく。
そのお作法を学ぶなら、以下の本がお勧めである。
中原淳 著『サーベイ・フィードバック入門』PHP研究所 2020年(
中村和彦 著『マネジャーによる職場づくり』日本能率協会マネジメントセンター 2021年(Amazonへ)
ご登壇されたコープみえのご担当者もおっしゃっていた。
自職場のサーベイ結果をメンバーに見せることに抵抗を示していたマネジャーはいた。でも、あとで感想を聞いたら、マネジャーは「見せて良かった」と言っていた。「部下といろいろな話ができた」と。
そんなものだと思う。
抵抗はあるかもしれないが、本気で職場を良くしていきたいなら、覚悟を決めてサーベイを現場にフィードバックして、未来をみんなで作っていくための対話をすることである。
手元に組織サーベイの結果のあるマネジャーの皆さん。Let’s do it.
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