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転職経験のないマネジャーと最近の若手

キャリア面談
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長く歴史のある企業(特に大手)ほど、思考と行動を変えなくてはならない時代です。

そこで働く従業員の一人ひとりにそれが求められています。中でも、社会人になって以降、転職の経験なく、長く働いている人ほど、その必要性は高いと言えそうな気がします。

これまでに転職経験がないということは、その会社に所属・勤務していることに満足していると考えることもできますが、実はそうではないケースが多いのが実状です。

パーソル総研の調査では、日本で働く人(多くの場合は日本人)は

勤続意欲は低いが、転職意向も低い

ようです。(→ 関連する記事のサイトへ

いまの会社の居心地は悪くないし、お給料もボチボチ、転職する気も自信もないので、この会社で(しようがなく?なんとなく?)働いているという感じでしょうか。

大手企業ほど、福利厚生面は充実しているでしょうし、年々昇給してきたでしょうし、会社都合の異動でキャリア形成してきていますので、自分の会社のことはよく知っているけど、外部で通用するほどの専門能力は持てていない(ので自信もない)・・・・・。

率直に言えば、こういった人たち(主にベテラン層)が未だに思考や行動を変えないでいることが、日本経済全体の大きな問題になっています。

「働かないおじさん」という言葉があるように、おじさん/おばさんといったベテラン層がやたら問題視されがちですが、大手企業の中にあって、対若手社員も考えなくてはならない問題や懸念があるようです。

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今回、古屋星斗 著『ゆるい職場 若者の不安の知られざる理由』中公新書ラクレ(2022)を読みました。

著者はリクルートワークス社の研究員で、調査データなどを用い、最近の若者の傾向を整理し、対策を提言しています。

以下は、記述内容をもとに、マネジャーの皆さんへの投げかけを2つします。

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1.転職経験のない人が、転職を前提に思考している人にどう向き合うか

企業との関係性を短期的なものとして考える若手にとっては、その会社一筋で出世してきた人の多く大手企業の管理職層は自分の人生のモデルとはなりづらい(68ページ)

ロールモデルと言える存在はマネジャーではなく、数年程度年上の人(68ページ)と書かれていますが、個人的には、私が若手であった約30年前もそこは変わっていない気がします。

とはいえ、30年前は「キャリア」なんて言葉は日本のビジネス社会にはほぼなかったですし、大手企業に入社すれば、その会社で ”定年まで勤め上げる” ことが普通の価値観といってもいい時代でしたね。

ところが、今の若者は、大手企業に入ったからといって、そのまま居続けることを前提にしていないようです。本によると、2009年卒以降、早期離職率は大手企業だけ上がっている(27ページ)ようですし。

そんな現在、大手企業では、キャリア面談なるものを実施しています。マネジャーとメンバーで、将来キャリアに関して話し合いましょう、マネジャーはメンバーのキャリア形成を支援しましょうと。

主体的にキャリアを考えてきたことのないマネジャーが、大手企業だからといって居続けるという思考の弱い若手メンバーと、いかにキャリアに関して話し合うのか・・・。

転職経験のないマネジャーには難しいのでしょうか。難しいかもしれませんが、無理ではないと思います。

キャリアを考えるとは、必ずしも会社を変える(転職)ことだけではないという点がポイントになると思います。社内であってもキャリア形成はできます。

応援団長
応援団長

まず、マネジャーとして、自らのキャリア形成を真剣に考えることから始めてはどうでしょうか。

主体的にキャリアを積んでいくことを実践できれば、若手とも対応に ”キャリア形成” に関する話し合いはできると思いますよ。

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2.自社の良さは、外を経験してみないと分からない

社外活動を経験している人のほうが、会社への評価が高い(147ページ)

無報酬の副業・兼業、学び直し、ボランティア活動、社外勉強会の主催・参加といった社外活動の経験がある人のほうが、現在所属する会社への評価点が高いというデータが載っています。

今の学生は、インターンシップを始め、様々な社会経験を積んでいます。いまのマネジャーが学生の頃とは隔世の感があります。そして、社会人になっても社外での活動に積極的な人がいます。

もちろん、社外の影響を受けて、転職意向が増す人もいると思いますが、他社を知って自社の良さが分かるという面もあります。

もし若手メンバーから「うちの会社の良さって何ですか?」と質問してきたらどう答えますか?マネジャーの皆さんは説得力のある回答ができるでしょうか?

応援団長
応援団長

マネジャーの皆さんも社外での活動に目を向けてみてはどうでしょうか?

自分も社外での活動を経験すれば、若手の価値観を理解できるかもしれません。そうすれば、若手とのキャリアに関するコミュニケーションの質が高まる可能性があります。

そして、自社の良さ(悪さ)が明確に認識できるとも思われますし、更には自分自身の特徴(強み・弱み)も自覚できるかもしれませんよ。例えば、会社ではリーダーシップが発揮できても、社外で発揮できないなんてことはよく聞かれることです。

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今日は、転職経験のないマネジャー/社会活動の経験のないマネジャーの皆さんへの問いかけをさせていただきました。

対若手社員ということに限らず、自らのキャリアを主体的に考え、イキイキと楽しく、マネジャーとして活躍するために社外の活動に触れる。

真剣に考えてみてはどうでしょうか。