「人材育成・組織開発を考える部屋」にもお立ち寄りください!

部長は変革のリード役

manager 部長さんのための部屋
この記事は約4分で読めます。

部長って何をやってんの?

一般従業員から見て、部長の仕事(内容)は見えていない部分が多い。昨今のリモートワーク環境下だとますます見えないだろう。

課長になっていない立場から部長の仕事に関心を持つことは少ないかもしれないが、階層別の役割を見る機会が減っている今の状況は、自律的にキャリアを考える時代において決してプラスではない。

一方で、課長がプレイヤーとして多忙となり、部長が ”課長化” しているのではないかと言う声がそこかしこからか聞こえてくる。

部長に関連してもう一つ。

課長になる際は「新任管理者研修」というイベントがあり、経営側になることに伴い、必要となる心構えや知識、スキルなどを学ぶ機会がある一方で、部長になる際にはそういったイベントがないという会社が結構ある。(あったとしても、通過儀式的・簡易的なもの)

研修などのイベントがあれば万事OKということではないが、一般従業員と課長ほどの大きな役割差はないのかもしれないが、課長と部長にも明らかに役割差がある。それを学ぶ機会がないのはどうかと思う。

ここまで述べたような状況の中、「部長らしい部長」が絶滅危惧種になりつつあるのではないか。否、今必要とされる部長はそもそも「ツチノコ」なのではないか。

**************

いずれにせよ、上記した状況は組織にとってヘルシーなものではない。

そんな中、リクルートワークスさんの機関誌で「御社の部長、ワークしていますか?」という特集を見つけ、面白そうだったので読んでみた。(→ リクルートワークスさんの関連サイトへ

感想は「なるほどなぁ」「やっぱりか」と、個人的には納得感のある、興味深い記事であった。

上記機関誌の中では、

  • 部長という役職の ”デフレ化”
  • 課長はプレーイングマネジャー化しており、・・・
  • 今期の成果をあげることに集中する、いわば ”大課長” のような存在になっている

などと書かれている。やはり、部長が部長らしく振舞っていない状況があるようだ。

部長は 変革のリード役 が本来の役割であるとしているが、未来価値の創出に繋がるような ”変革に担い手” になり切れていないと書かれている。

**************

安定は変革の邪魔

記事の中で、個人的に特に興味深かったのが、部長(934名)を対象に定量調査を行い、クラスター分析という手法を使って、部長のタイプを5つに分けて、色々と差(や違い)を明らかにしようとしていた点。 ※ここでは詳細は省略

その中で、未来変革型の部長(部長の理想形みたいな群)と、”大課長型” および ”低水準型” といった(ちょっと問題のある)部長を比較したとき、

”大課長型” および ”低水準型” の部長の中は、自身の事業フェーズが「安定期」であると考えている人(部長)が多い

という分析結果に対して、「まあそうだろうなー」と思いつつ、現代のビジネス環境で「うちは安定期だから当面は大丈夫」なんて考える部長が世の中に結構いることに驚いた。

同時に、部長クラスが「うちは安定期」と思っている場合、そんな感じのメッセージを部下に出しているだろうから、部下も変革の必要性なんて感じないだろうなとも思ったりもした。

部長に限らず、組織のトップとしては、従業員のモチベーションを考えて、明るい話題を提供しようすることがある。業績が好調であれば、「皆さんの頑張りで業績は好調です。引き続き頑張りましょう!」と言う。

こういったメッセージが変革を遠ざけるのか。

**************

変革を起こすタイミングは難しい?

本当の危機がやってくる前に、意図的に変革できる組織が良い組織なのだろうが、本当の危機が来ていない状況で、部長が未来へ向けての組織変革ビジョンを部下に語ったとしても「毎日忙しいんで、余計な仕事は増やしたくないっす。勘弁してくださいよ」と言われるのがオチか・・・。

かといって、不必要なまでに現状への危機感を煽ると、従業員が不安を覚えたり、やる気を失ったりするので、それも避けたい。

どこに向けて、組織をいかに変革するかを考えることはもちろん大切だが、変革のタイミングとメッセージの出し方を考えることも大切だ。

**************

今日は、部長の本来の役割である「変革のリード役」に関するお話でした。

一般従業員の多くは「未来への懸け橋」を作る仕事(種まき)ではない。会社として「今日の糧」を得るための仕事(刈取り)です。

現状のオペレーションをきちんと回すことが彼・彼女らの役割ですので、変革はどこか他人事。変革に伴う業務を余計な負荷と感じたり、「別に今じゃなくてもいい」と感じたりするのはとても自然なことです。

組織を動かすには仲間が要ります。まずは直下の部下である課長をいかに変革に巻き込み、変革のエージェントにするかです。

昨今の課長が部下と1on1をやっているように、部長も課長と1on1を行い、業務・業績の進捗管理だけでなく、視座の高い・視野の広い話題について対話する機会を持つのはその手段の1つです。

変革は地道な取組みです。