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研修日記:学ばない営業課長たち

コーヒーカップ 研修担当者のための部屋
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今日は、私が担当した「営業課長向けの研修」で出会った ”学ばない” 人たち の話。

昨年実施した、ある外資系メーカーの営業課長(25名)に向けた研修での出来事である。

この会社では、日本市場おける自社のプレゼンスを高めるために、大規模な予算と期間(約7か月間)をかけて、営業課長を介して組織を強化しようという取組みを実施した。 

詳細な記載は省くが、営業課長を月に一度(1.5時間~4時間/回)の頻度でオンラインで集める。

事業責任者が営業課長に学んでほしいと考えている内容を研修で学ぶ。それを現場で実践し、振り返り、次に活かす。これを繰り返す内容であった。学習内容は2つ、「戦略遂行」と「コーチング」。

通りいっぺんの内容ではなく、この会社の実状に合った ”特注品” であった。

毎回25名を一斉に集めるのではなく、少人数に分かれて深い対話ができるような回を設けるなどの工夫も凝らした。

スタート時の受講態度は全般的に良くなかった。「クソ忙しいのに研修かよ!」ってなもんだろう。

画面上の表情も反応もほぼない状態であったが、時が経つごとに本取組の意義や、職場の小さな変化を体感していき、少しずつ積極的に参加するようになった。3名を除いて・・・。

この3名、それぞれが違ったタイプの ”学ばない人” であった。

タイプ① オレ流でやってます。よろしくっ!

この人は、プレイヤーであった頃も、課長になって以降も、実績をあげてきた人らしい。自負が画面からでも伝わってくる。

発言は断言口調、他人の意見、ましてやアドバイスなど全く気にしない。決め言葉は、

「オレはこうやってますから」

放っておいてくれ、学ぶことなど何もない、という雰囲気がにじみ出ている。

グループでの課長どうしの対話にも興味なし。他メンバーから質問を受けても「まあ、そちらとは状況が違うだろうから、うちのやり方は参考にならないんじゃない?」と言い、回答せず。この人は・・・

*自分の経験からしか学ばないだろう
*対話を通して何かに気づくという経験がないのだろう → この人はコーチングが理解できないな~
*質問を投げかけて相手に考えさせるという発想がない → 指示命令タイプ?

自分の言うとおりに部下にやらせる。自分がやったほうが早いと思い、プレイヤー的にふるまってしまう。

たぶん、この課長さん、課長どまりだろうな・・・。 そのほうが組織が幸せな気がする。

ちなみに、360度評価をやったところ、この課長さんの部下からの得点は普通よりちょっと良いくらい。

タイプ② この際、言わせてもらいますけど!

この人は、360度評価で、部下からの得点が超高い!!でも、課の業績はダメダメ・・・。(360度評価は育成にのみ使うもの!のブログ)

研修中の態度は、オンラインへの受講中、いつも頭の上半分しか画面に出ていない。主体的な発言はナシ。グループ内での話し合いでは、会社の施策や自社の商品に対する文句ばかりを言っている。

相手が上司でも文句を言うらしい。その点は、ある意味立派ね。この人は・・・

*管理職ではない。従業員の代表のつもり?
*文句を言うだけで、改善案はない(社会人初期に、「それではダメだぞ」と習わなかったのか)
*業績貢献はしていないが、360度評価の得点が良いことを理由に、自分のマネジメントには問題がないと思っている

意識も言動も管理職ではないなぁ・・・。と思っていたら、この1月に降格したらしい。

学ぶ/学ばない の前に、自分の役割と立場の客観視が必要な人か。

タイプ③ いかにも昭和なマネジャー

この人は、受講態度は一見すると問題ないようにみえる。ニコニコしているし、こちらの説明にうなづいたりしている。でも、である。

グループ内での発言は、研修で学んでいることとは関係のないことをベラベラとしゃべっている。調子のいい、おしゃべりという感じ。

研修中に私が彼に質問すると、それなりのことは言ってくるが、いかにも内容が薄い・・・。

更に言えば、この人は学んだことを現場で一切実践しない。なので、振り返りのしようもないので、振り返り用の所定のシートには適当なことばかり書いてくる。しかも毎回コピペのような内容。

全く学ぶ必要性を感じていない。それだけでなく、学ぼうとしている同僚を阻害している。

360度評価の得点は悪くない。研修事務局の人が言うには、この人は部下から ”無害な人” と思われている。

他の参加者に、この人のことを聞いてみると・・・

・部下におべんちゃらを使ったり、ゴマをすったりして乗せるのがうまい
・とにかく部下と飲みに誘い、仲良くなろうとするタイプ
・営業同行でお客さんに対して、手もみしながら「そこをなんとか・・」と情で訴える

目に浮かぶ。この人は・・・

*オンラインでの営業に変わってきている今、環境変化への適応をしようとしていない
*若い部下とは、営業感覚にズレが生じてきているのではないか。部下が離れていく・・・
*いまの自分のマネジメントに問題意識を持っていない。問題のある/なしは部下との人間関係(仲良しかどうか)のみがポイントになっていそう

この人も課長どまりか・・・。というより、会社の将来を考えると、プレイヤーとしてがんばってもらったほうが良いのかもしれない。

ガラパゴス化からの脱却

時代があきらかに変わってきているし、まだまだ長いビジネス生活で、この3人は大丈夫だろうか。変化に適応できない/適応が遅いので、ガラパゴス化しそうである。

私が役得だなと思うことの一つは、今日挙げたような人たちを見て、「自分が今そうなっていないか」と内省のチャンスがあることである。

しかしながら、私は彼らの態度や行動の変容を支援できなかった。反省。