パーソルホールディングスさんの調査では、72.1%の企業が「エンゲージメント向上」に課題を感じているようです(→ パーソルホールディングスさんのサイトへ)。
そこで、各企業では ”エンゲージメント・サーベイ” を実施し、自社の状況を定量的に測定し、各現場が結果レポートを活用し、エンゲージメント向上につながる施策を考えるといった取組をしているのではないでしょうか。
今回のブログでは、
サーベイの結果を現場にフィードバックはしているものの、意味ある話し合いになっていますか?
という話をします。
それは、
ミッションとビジョンがない状態でサーベイ結果について話し合っている
ケースです。
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多くの営利企業はミッション遂行とビジョン実現のために存在しているといって過言ではありません。つまり、お客様に何らかの貢献をするために、そして企業として目指す姿を実現するために日々活動しています。
さて、皆さんの会社では、企業(=会社)という単位のもの以外、つまり事業部、本部、部といった組織単位にミッションやビジョンは存在しているでしょうか。
恐らくは、こんな感じではないでしょうか。
*存在していない
*存在はしているが、とりあえず掲げているだけ ※掲げた本人(組織責任者)が本気でない
*存在はしているが、組織メンバーがそれを意識していない ※意識しなくても何も言われない
*それっぽいものは存在はしているが、実はミッションやビジョンになっていない ※方針や施策になっている
これらは私の経験上の見立てですが、かなり現実を言いあてていると思います。
こんな状態でサーベイの結果をフィードバックしても、自組織にミッションやビジョンがないので、組織として最も考えていきたいテーマであるはずの
*組織のミッション遂行にとっての課題と重要な施策
*組織のビジョン実現にとっての課題と必要な施策
を考えられるはずがありません。
では、ミッションやビジョンのない(に等しい)状況でサーベイの結果をフィードバックすると、受け取った側は何に注目するのでしょうか・・・・。たぶん、
低得点であった項目
ではないでしょうか。
低得点項目は、人的リソースの不足や横の連携不足といった、得てして複雑な要因が絡み合った面倒なことや、分かっちゃいるけど自分たちだけではどうしようもないことが多いでしょうから、解決そのものをあきらめていたり、取組みを過負荷と感じるものになりがちです。
また、低得点項目を、そもそも組織メンバーが問題視していないとか、解決の必要性を感じていないようなら、問題解決意欲は低く、皆で話し合ったとしても、”実行されない行動計画” が生み出されるだけではないでしょうか。
さらに言えば、仮に組織にミッションやビジョンがあったとしても、ミッション遂行やビジョン実現にとって、低得点項目が最重要課題であるとは限りません。
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このような理由から、ミッションやビジョンのない組織でサーベイ結果をフィードバックし、話し合いの場を用意しても、意味があるのかなぁと思っています。
繰り返しますが、多くの営利企業はミッション遂行とビジョン実現のために存在しています。つまり、お客様に何らかの貢献をするために、そして企業として目指す姿を実現するために日々活動しているはずです。
ですので、自分たちの組織のミッションやビジョンを確認して、サーベイ結果をもとに組織メンバーで話し合い、より高いレベルでのミッション遂行や、組織ビジョンの実現に向けての課題を決めて、皆で解決策に取り組んでいく・・・・これがサーベイ結果を活用した取組みの基本だと思います。
そんな取組みを地道にしていれば、組織としての健全性が増し、意味ある効果がもたらされ、より良い組織コンディションになるのではないでしょうか。(エンゲージメントのスコアが向上し続けるかは分かりませんけど)
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これから「エンゲージメント・サーベイ」を導入する企業や、見直している最中の企業の皆さん、サーベイ内容の検討や、結果のフィードバック方法も大切ですが、まずは
*マネジメント陣がミッションやビジョンを理解しているか
*マネジメント陣が自組織のミッションやビジョンを(本気で考え)発信しているか
を確認したほうがいいと思います。
サーベイに対して、従業員から「これって何のためにやってるんですか?」と聞かれた場合、「エンゲージメントの向上のため」と言いますか?
それだと、従業員からすれば「知らんがな」と思いますよ。
エンゲージメントの向上が目的ではありません。ミッション遂行とビジョン実現が目的であるはずです。
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