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サーベイ結果をもとに考え、活かす

survey チーム/職場づくり
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様々なところでデータが収集され、分析・活用されている。

人事領域でもそうである。その一つに社員意識調査やエンゲージメントサーベイと呼ばれるものがある。皆さんの会社でも実施されているのではないだろうか。

データそのものが組織を変えることはない

取得したデータをいかに分析・解釈し、それをもとに関係者と本音の対話し、自分たちの明るい未来に向けて決断し、行動しつづけていくか、である。

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さて、手もとに結果データがあるとする。まずは結果の分析・解釈を行う。

社員意識調査やエンゲージメントサーベイの結果を様々な角度から見て、仮説を検証したり、傾向やパターンをつかんだりしようとする。

例えば、階層別に、年代別に、雇用区分によって、エリアによって、などなど。

仕事柄、様々なクライアントからサーベイデータを見せていただくが、多くの組織で似たような傾向を示す。それはどんな傾向か。

今回2つほど取り上げると・・・

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① 上の階層ほどスコアが高い(良い)

  • 一般従業員のスコア < 主任・係長のスコア
  • 主任・係長のスコア < 課長のスコア
  • 課長のスコア < 部長のスコア

といった感じである。

上の階層ほどスコアが低い(悪い)組織なんてほぼ見たことがない。なぜだろう?

私的仮説:上の階層ほど、仕事上の “自律性” の高さ、自己裁量権の大きさを有しているから

自分で好きなことができる/好きなことを選べるというのは、仕事への満足感やエンゲージメントを高めそうだということは容易に想像できる。

その分、責任を負うことにはなるが、自分が決めた/選んだことである。納得感をもって取り組める。

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こういった解釈から、日々の部下マネジメントに関して、こんな示唆が得られる。

  • 部下は、自分の仕事に裁量権をもってやれていると感じられていないのかも
  • 部下は、自分の仕事に納得をして取り組んでいないかも

マネジャーの皆さん、どうだろうか。

自分としては「部下を信じて、細かいことを言わず、任せている」と思っていても、部下はそう思っていないことがあるのではないか。

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このことから得られるマネジメント仮説・・・・・

1on1などの機会に、調査(サーベイ)の結果を用いて部下と自律度合に関して話し合ってみると、自らのマネジメント力向上のヒントが得られることがあるかもしれない。

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② 年代による違い

よくある傾向のその2。

年代別に比較した場合、年齢が高いほどスコアが高いことが多い。

年功序列色の濃い日本なので、年齢と階層の高さがある程度は相関する。よって、年齢が高い人ほどスコアが高いのは納得できる。

しかし、50代だからといって全員がマネジャーではない。一般従業員もいる。50代前半~半ばで役職定年を迎えた人もいる。そう考えると、むしろ一般従業員の数のほうが多い?

にも拘わらず、50代のスコアが高い。なぜだろう?

私的仮説:
1.実務の超ベテランとして扱われ、裁量権を与えられているから
2.年下上司が年上部下に気を遣って何も言わない。結果、50代社員は好き勝手やれているから
3.職業人生を達観しており、楽しみながら仕事をしているから

などなど、色々と想像ができる。

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半面、他年代と比べて30代のスコアは低いことが多い。なぜだろう?

私的仮説:周囲が色々と見えてきて、会社の経営方針に言いたいことや不満が生まれてくる時期だから。管理職でない場合、変えたいことがあったとしても権限がないので、不満が増幅されがちかも

こういった30代に関する解釈から、日々の部下マネジメントに関して、こんな示唆が得られる。

  • 30代の部下を職場変革のリード役として任せれば、働きがいをもって頑張ってくれるのでは?
  • 30代の部下に経営に関する情報を丁寧に伝え、一緒に組織方針を考えてみると、より良いプランが出てくるのでは?

この示唆から得られるマネジメント仮説・・・・・

普段は会社や組織運営に不満を口にしている部下も、組織運営の主体として巻き込めば、心強い存在になるかもしれない。

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今日は、社員意識調査やエンゲージメントサーベイの結果でよく目にする傾向と、それをヒントにマネジメントにどう活かすかという話をしました。

同じ職場にいて、同じ景色を見ていても、年代(世代)によってモノの見方や感じ方、考え方は異なるのが当たり前。

※リモートワーク下だと、同じ景色が見えなくなっているかもしれませんね。

調査(サーベイ)の結果は、仮説検証に役立つだけでなく、上記したように、階層や年代以外にも、組織に存在する様々な ”違い” を見える化し、対話を促すことができる便利なツールです。

見える化しても、解釈は人それぞれ。だから対話が肝になります。

皆さんの組織のサーベイ結果が仮に良くないスコアであったとしても、勇気をもって、結果をテーブルの真ん中において、皆で集まって対話する機会を持つことを本当にお勧めします。

ポジティブな効果を得るまでには時間がかかるかもしれませんが、持続可能な組織づくりに向けて、やる価値は大いにあります。

ただし、その場合、ちゃんと準備は要りますよ。対話って簡単ではないと思いますので。(→ 参考ブログ記事①へ)(→ 参考ブログ記事②へ

職場(チーム)を1つにまとめる力は、ダイバーシティの重要性が叫ばれている今、これからのマネジャーの必須スキル ですよ!