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オンライン化は学び格差を広げる?

learning 研修担当者のための部屋
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すっかり当たり前になったオンラインでの集合研修。

私の所属する会社で実施している研修の8割以上(9割近く?)がオンラインで実施されている。私自身、対面で実施した研修は、この1年間では2回(4%)しかない。

オンラインでの研修実施は、研修を企画する側にとって、会場費・交通費・宿泊費などの削減というメリットがある。受講者にとっても、移動時間が不要というのはメリットだろう。

受講者にとってメリットに感じられていないことがあるのは残念だが、企画する側からすると、研修のフォローアップ(数か月後に再度オンラインで集める)がやりやすいので、研修で学んだことの定着化を図り、学びの効果を高める(行動変容の促進)機会を作りやすい。

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そんな、オンラインでの学習機会が当たり前になった中、集合研修のオンライン化で、学びの格差が広がっているかもしれないと感じることがある。

なぜか。私なりの見立てはこんな感じ。

① オフィスからの参加

どこからでも気軽に参加できるが、受講者の中には、職場から参加する人もいる。

会議室を確保し、周囲に人がいない環境であれば良いのだが、本当に ”職場” から参加している。つまり、目の前に上司、同僚、部下がいる環境での受講である。

研修の内容によっては、現状の職場や部下育成に関する問題点を考えたり、述べたりすることだってある。そんなときに、周囲に関係者がいるとどうなるか・・・。

個人で考えることはできても、オンラインの向こうにいる受講者との間で、良い対話はできない(やりづらい)のではないか。

  • 画面の向こう側にいる人に、本当に聞きたいことがあっても聞けない。
  • 画面の向こう側にいる人から聞かれた質問に答えたくでも、答えづらい。(目の前に関係者が座っているなど)

コロナ禍以前より、集合研修は、オフサイト(会社とは違う/離れた場所)でやったほうが良いと言われていたが、その点はオンラインでも同じである。いや、むしろオンラインでの研修のほうがオフサイト(一人になれる環境)での受講という点は重要な気がする。

② ”ながら”受講

オンラインでの参加だと、”ながら”受講が可能だ。メール対応、提案書作成、仕事外のこと(YouTube鑑賞など)・・・その気になれば、〇〇しながら研修を受講できる。

そうなると、研修での学びは確実に減る。

  • 講師の話を聞かない(本人は聞いているつもりかもしれない)
  • 個人ワークも適当に済ませる(内省が浅い)
  • グループワークもあっさり終わる(他の人の発言に関心を持たない)

研修目的や本人にとっての意義や重要性を打ち込んでいない企画側にも問題はあるのだが、受講者が浮気しやすい環境下で参加していることは見逃せない。

③ 質問しない

個人的な感想なのだが、オンラインでの研修で、研修内容に関して質問をする際に、チャット機能をフル活用する人がいる。

「うちの部下に・・・というタイプがいるんですけど、そういった場合の対応は?」
「この間、部下が・・・と言ってきたんですけど、〇〇と伝えたんですけど良かったですかね?」

など、現場のリアルを踏まえた質問がやってくる。

こういった質問は、きっと真剣に学んでいる/考えている証なので、とてもポジティブなことだと思う。なので、こちらも真摯に回答している。

気になるのは、そういった質問をしてくる人は一部で、同じ人が何度も質問してくるという点。多くの人は何のリアクションもない。

中には、ダイレクトチャット機能を使って、こそっと質問してくる方はいる。そういったタイプの人は、オンライン研修の恩恵を受けているといえるのかもしれない。

研修のところどころで、「ここまでの内容で質問や確認したいこと、コメントや感想でも歓迎です。何かありますか?」と聞くのだが、無反応なことが結構ある。質問が来ても、その人はチャットを使っての質問やコメントをする人だ。

対面の研修であれば、休憩時間などに声をかけたり、かけられたりして、研修内容に関する質問や感想をいただくことがあるのだが、オンラインになるとそういったことができない/やりづらい。

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今日は、オンライン研修になって、学びの格差が広がっているのではという話でした。

学ぶ人はどのような環境でも積極的に学ぶだろうし、そうでない人はますます学びから遠ざかってきているのではないのかな・・・。

学び直しとかリスキリングとか言っている時代ですが、日常的に学び格差が生まれているかもしれないことに気づかないことには、気が付いたらえらいことになっているかもしれませんよ。