人や組織をめぐる課題・・・人事関連部門にお勤めの方であれば、以下の課題はご存じであろう。
- 人的資本経営
- ダイバーシティ
- エンゲージメント
- ウェルビーイング
- リスキリング
- ジョブ型人材マネジメント
- キャリア自律
- イノベーション人材
これらの課題は、ミドルマネジャーにとって無縁ではなく、普段のマネジメントにも大きく影響するものばかりである。
これからも持続的な成長・発展を遂げるためには、上記のような課題を解決するための取組みを、ミドルマネジャーが経営と現場の結節点となってやっていく必要がある。
だが現実を考えると、上記のように複数ある、しかもややこしい課題に対して、現場のマネジャーだけに背負わせるのは無理な話。焦点化したり、優先順位をつける必要はある。
適応に関する問題
”ややこしい課題” と書いたが、なぜか。それは上記した課題は大体が「適応に関する問題」に起因しているからである。
適応に関する問題?
ハーバード大学の有名な先生、ロナルド・ハイフェッツ氏によると、問題には「技術的問題」と「適応に関する問題」があるとしている。
参考書籍:『最難関のリーダーシップ』英治出版(2017年)
技術的問題とは、技術やスキルで解決できる問題。例えば、「今までより重たい物を運ぶ必要があり、エンジンの出力を〇倍にして対応した」とか、「長年使用していたネジが緩んでガタついていたので締めなおした」とか。
対して、適応に関する問題とは、問題に関わる人(たち)の思考パターンや行動様式が関係する問題。
どちらの問題を扱うほうがややこしいか。
ご想像とおり、適応に関する問題である。
人には慣れ親しんだ思考パターンや行動様式がある。我々は習慣の動物である。それを変えるのには、自分のことでさえ相当な意識と努力を必要とする。他人であれば尚更である。
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話を戻すが、
- 人的資本経営
- ダイバーシティ
- エンゲージメント
- ウェルビーイング
- リスキリング
- ジョブ型人材マネジメント
- キャリア自律
- イノベーション人材
これらの課題のほとんど(全て)は「適応に関する問題」が根っこにある。
「技術的課題」であれば、制度を整えたり、仕組みを用意したり、スキルを付与したりすれば、概ね解決できるのであろうが、「適応に関する問題」の解決はそんなに簡単ではない。
例えば、”リスキリング”。いま年配の人をターゲットに学び直しを(国が主導して)推し進めようとしている。例えば、デジタル技術を身につけて、この先も活躍してほしいと。
だが、”リスキリング” は思うように進まない。(→ リスキリングに関する弊社調査結果へ)
理由は、「私だけは大丈夫」「定年まで逃げ切れる」と根拠のない自信家も中にはいるだろうが、慣れ親しんだ思考パターンや行動様式が邪魔をして ”リスキリング” できない人が多いのではないだろうか。
他の課題(キャリア自律、ダイバーシティなど)も同じ状況が存在する。例えば、進まない女性管理職比率の向上など・・・。
課題解決の主管部署(経営企画や人事)が、上記の課題を「技術的問題」かのように捉えていないだろうか。もしそうであれば、明らかに施策不足で、この先も状況はさして変わらないだろう。
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変化適応を支援すること
「適応に関する課題」を解決するためには、研修部門の皆さんは「人材育成が自分たちのミッション」と考えているのかもしれないが、いま必要なのは ”育成” という観点よりも ”変化適応” という観点をもった施策なのではないか。
現場のマネジャーも、部下の ”育成” ではなく、部下や組織が ”変化へ適応” するのを支援することがより強く求められてるのではないか。
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現場のマネジャーにそれが上手にできると理想なのだが、上記したように過負荷な状況がある。
一部の会社ではすでに動きがあるのだが、他の会社でも、変化への適応を側面支援する部署や役割をつくってはどうだろう。海外のように組織開発部門を用意したり、HRBPにそういった役割を積極的に担ってもらうなど。
組織開発では言われていることだが、変化への適応を支援するためには、関係者との対話は必須の要素である。(近年、対話の重要性は色々なところで叫ばれている)
現場のマネジャーの皆さんには、ぜひ対話のお作法を自ら学ばれることをお勧めする。きっとこれからの時代の組織マネジメントに役立つ。
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今日は、人や組織をめぐる課題のややこしさと、適応支援の重要性についての話でした。
フレッシュで無垢な新人を ”育成” することは、相対的にたやすいと言えます。既に持っている思考パターンや行動様式を変えさせること(変化適応させること)は相当に厄介です。
でも、変化へ適応できない組織は沈没していきます。たとえ、大手でも・・・。むしろ大手から??
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