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キレイごと、抽象論、無茶への対応

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経営は従業員に対して、「キレイごと」、「抽象論」、そして「無茶」を発信する。

大抵の場合で、現場ではそれらに違和感や反発を覚える。そして、こんなことを言う。

  • 「キレイごと」に対しては・・・・・そんなの理想論だ!現場はもっとドロドロだ!
  • 「抽象論」に対しては・・・・・何を言っているのか理解できない!具体性がない!
  • 「無茶」に対しては・・・・・それどころじゃない!できるわけないだろ!

皆さんの部下がこういった声をあげた場合、マネジャーとしてどう答えているだろうか。

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キレイごと

キレイごとと思われる代表格として ”理念” を挙げよう。最近では、ミッションやパーパスといった言葉があるが、その意味はどれも似たようなものだと理解している。(→ 理念に関連するブログへ

それらは全て、自分たち(組織)の存在意義=我々はなぜ存在しているかを表現したものだ。

皆さんの会社には必ず理念があるはずだ。自社のウェブサイトを確認してみてほしい。多くの会社で「~に貢献する」といった表現で、自分たちの存在意義を社会や従業員などに示している。

これが、従業員には「キレイごと」に思われている。そんなのは理想論だ、現場は違う、と。

なぜそんなふうに受け取られるのだろうか?

当たり前のことだが、会社は分業と協業で成立している。つまり、目的(=理念、存在意義のこと)を果たす(果たし続ける)ために、大企業であるほど、ものすご~く細分化した役割分担をしている。

なので、企業の掲げる目的(理念、存在意義)を果たすために、個人は(ほんの)一部の役割を担っている感じである。

そうなると、自分の頑張りが理念にどう繋がっているかなんてピンとこないというのは理解できる。しかも、日々忙しく、時に上司やお客様などから怒られたり、理不尽な要求を浴びたりしながら仕事をやっているので、理念がますます自分には無関係な、「キレイごと」に思えてくる。

存在意義を感じられるかどうかは、人の働きがいに関係する大切なポイントである。

マネジャーとしてできることは、会社の掲げる理念と自分の部門がどう関係するのかをちゃんと考え、部下に語れるようになること。そして、部下一人ひとりに対して、本人に任せている仕事と理念がどう関係するのかを、何度でも大真面目に語ること。

いわゆる普通の会社であれば、本気で考えれば、会社の掲げる理念は決して「キレイごと」ではないことが理解できるはずである。 ※本当に「キレイごと」になっているなら、いずれ消滅する組織かも

「キレイごと」として受け取られていない状況の打開策を考え、なんとかするのがマネジャーの役割である。

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抽象論

先ほどの ”理念” も該当するが、”ビジョン” や ”戦略” など、経営が出すメッセージは抽象度が高い。

それを受けて、従業員は・・・

何を言っているのかわからない。具体性がない。

と言う。そう言うのは当たり前。その通り、具体性はないのが普通。それらのメッセージを咀嚼して、具体的なものとして部下に伝えていない中間層に問題がある。

なぜそんなふうに受け取られるのだろうか?

多くの場合、従業員は自分の目標や役割は認識しているが、それが上位の目標や戦略にどう繋がっているのかを理解していない。

皆さんの部下は、自分の目標や活動が、所属する課や部、更には会社のビジョンや戦略をどう関連しているかを理解しているだろうか。

再度言うが、会社は分業と協業で成立している。ビジョンであろうが何であろうが、組織である以上、上位の掲げるものに関連して、従業員一人ひとりは役割や目標(の一部)を担っている。

階層で言うと、下位にいけばいくほど具体的な内容になるのが普通である。

そして、メッセージの抽象度が高いからこそ、メッセージの受け手の自由度や裁量が増すことも認識しておきたい。目的(WHY)と方向性(WHAT)だけ示し、手法(HOW)は受け手が自由に決められる。そんな点に仕事の面白さがある。手法まで上に決められていたら楽しくないだろう。

部下の前で「上の出す指示に具体性がない」なんて発言してはいけない。そう思うなら、上司に直接確認して具体的にしてもらうことだ。

そして、部下が「経営のメッセージは抽象的でよくわかんないですね」なんて言ってきたら、自分が上司のメッセージをかみ砕いで伝えていないのかなと、自分の発言を振り返ってみると良いだろう。

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無茶

経営が本当に無茶なことを言ってくる、ありますね。市場の成長見込みが昨年比3%なのに、

昨年比130%アップの目標を掲げるぞ!

とか。

これには、道筋の提示が必要ですね。どうやってそこにたどり着こうと言うのか。

現在のリソースでの実現が困難なのであれば、必要なリソースをどう見込んでいて、そのリソースをいつ・どうやって獲得するつもりなのか、そのプランの実現確率の見込みがあるといいですね。

我々マネジャーができることは、無茶な目標に対する、具体的な達成プランを考え、部下に示すことではないだろうか。

ちなみに・・・

目標の設定に関して色んな理論がある。その中の1つに、達成欲求の高い人ほど、無茶な目標だとモチベーションが高まらないというものがある。本当に達成したからこそ、目標を現実的なものにしたいのだろう。(→ 目標設定に関するブログへ

そう考えると、無茶な目標は避けるのか妥当なのではなかろうか。

加えて、最近の風潮として、財務的な目標ばかりを追うのではなく、非財務的な目標(働く人の働きがい、働きやすさ)も同時に追うことが求められている。

その点からも、経営から無茶な目標が出ることは減るのではないかと、私は思っている・・・。

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今日は、経営が発信するメッセージに、ミドルマネジャーとしてどう関わるか、何をすべきかを論じてみました。

記載したことは、当たり前のことかもしれませんが、皆さんの内省の一助になればうれしいです。