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People managerは、人を扱うプロ

マネジャー研修の所感
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たまにではありますが、マネジャーからこんな言葉を聞くことがあります。

(人事部門に対しての不満) デキる社員を配属してくださいよー。

(お客様に対してのお詫び) すみません、すぐに担当者を変えますので。

これらの言葉を聞くと、

このマネジャーは、部下を育てるとか、部下を良い方向に導くとかいう思考や発想が弱い??

と考えてしまいます。

以下のような気持ちを想像しますと、そう言いたくなるのも分かります。

*組織としての成果を出すために、優秀な人材が必要だ
*色々とやることがあるので、できるだけ手のかからない人材が理想だ
*お客さまからの苦情に対応する(火消しの)ために、代わりの人材をアサインするのが手っ取り早い

しかし現実として、優秀な/手のかからない人材ばかりが揃っている組織なんてほぼありません。能力面、仕事への姿勢や態度、価値観などの面、様々な面で ”手がかかる” と感じられる人材はどこでもいますね。

ここで考えたいのは、”手がかかる” と感じたときの思考です。つまり、そんな状況をマネジメントの前提として捉えられるかどうかということです。

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マネジャー(manager)の役割を語る時に、英語の manage という単語の意味を持ちだすことがあります。

manage to do とは、「なんとか(やりくりして)・・・する」という意味なので、マネジャーという役割を担う状況を、そもそも「楽なもの/放っておいてもうまくいくもの」と想定していないのではないしょうか。

応援団長
応援団長

初めから放っておいてもいい状況なら、マネジャーというポジションは要らないと言えます

応援団長
応援団長

もし、放っておいても良い状況をつくったのであれば、優れたマネジャーと言えます

外資系の会社では、people manager という言い方をすることがあります。日本語では ”部下持ちのマネジャー” とでも言いましょうか。(職能資格制度下では、マネジャー等級だけど部下はいないというケースが結構あります)

世の中には、fund manager のように、●● マネジャーという名称が複数ありますが、people manager は ”人を扱うプロ” です。

そう考えると、”手がかかる” と感じられる人材がいることは当然のこととして、それを「何とかする」ことこそがマネジャー(自分)の存在価値ということができます。

もちろん、上記した「デキる社員をくださいよー」と、ついつい考えてしまう/口にしてしまうマネジャーも、そうは言いながらも、ちゃんと部下を指導したり、育成したりしているのかもしれません。

ですので、ここでは、

1.「デキる社員をくださいよー」と思考しがちで、部下指導や育成行為をやっていないマネジャー
2.「デキる社員がほしいわぁ」と、部下の前で言ってしまうマネジャー

に対して、警鐘を鳴らしたいと思います。(多くのマネジャーは該当しないと思います)

1番目は論外です。マネジャーとして役割放棄していますね。2番目については、それを聞いた部下の心中を想像してみてください。決して、部下にポジティブな感情は生まれませんね。

そして、営業部門やサービス部門に多いケースですが、お客様からのクレームに対して、担当変更で事を済まそうとするマネジャーも要注意です。お客様によってはそれで納得されることもあると思いますが、見る人はちゃんと見ています。「このマネジャー、部下を育成する気がないのだな」と。

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今日は、マネジャーの役割に関するお話でした。

「なんとか(やりくり)して・・・する」のがマネジメントだというお話をしましたが、別の紹介方法として、「マネジメントとは ”複雑性への対処” である」と表現する場合があります。

組織は複雑に入り組んだシステムです。その入り組んでいることが影響して、組織としての効果性や効率性に問題がある場合、それをいかに解決するか。これをマネジメントということもできます。

大手企業を中心に、1on1ミーティングやら、年上部下への対応やら、部下のキャリア自律支援やら、マネジャーに向けての施策(ハウツーの提供)が実施されていますが、まずは、マネジャーとしての役割(の本質)をできるだけシンプルに理解することが大切だと思いますよ。

そして、それを実現するために自分に何が必要か、自分の現状はどうなのか、ちゃんと認識したうえでハウツーを理解・実践しないと、ハウツーが全て ”上滑り” するのが目に見えています。ご注意を。