人的資本経営は、
人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方
です。(経産省のサイトより)
中長期的な企業価値向上に向けて、会社から用意・提供されるハード面(戦略や制度、仕組みなど)とソフト面(ピープルマネジメントなど)の影響によって、人材の発揮する価値が上下するという点で、確かに人材は「資本」かなと思います。
発揮価値は下がることもありますね
会社は人材(=従業員)の価値を最大限に引き出すような働きかけをせねばなりません。その見返りとして、人材が自らの役割・業務に専心し、創意工夫し、高い価値を発揮することで、会社は中長期的な企業価値を向上させることができるという、Win/Winの関係が成立します。
そんな「人的資本経営」を実現できている会社があるようです。(→ RELO CLUBさんの記事)
そんな会社を素晴らしい/うらやましいと思う一方で、「本当にうまくいっているのかなぁ」と疑ってみてしまう自分もいます。
今回のブログは、人的資本経営にまつわる、私の「気がかり」を2つ書いていきます。
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気がかり① 学ばなさ
巷間よく言われますように、日本人ビジネスパーソンの学ばなさが気になります。
2024年2月のパーソル総研さんの調査(「学び合う組織に関する定量調査」)でも、そのあたりを示唆するような結果が出ています。(→ パーソル総研さんのサイトへ)
多くの人材(=従業員)は、学ばない存在どころか、「モチベーションを上げてくれないと頑張れません」と、口を開けて待っているだけの存在であるように見えます。
そんな人材の上司は、ハラスメントに細心の注意を払い、部下を腫物かのように扱うか、旧態依然のマネジメントスタイルを(分かっちゃいるけど)変えられずにいるかのように見えます。
こんな状態がリアルではありませんか?
こんな状況がこの先も続けていけば、上司は「部下をどうやってマネジメントすりゃいいんだ??」と悩みまくるでしょうし、従業員はそんな上司を見て、「大変そう。管理職にはなりたくないわ」と思うでしょうね。
まずいですね・・・。
人的資本経営に、学びや成長、変化は不可欠の要素です。人的資本経営を掲げている会社で働く全ての人に求められています。
人的資本経営を実現できている会社では、きっとこんな状況ではないのでしょうね。
気がかり② 甘やかしの風潮
人的資本経営を掲げている多く会社が「会社と個人は対等な関係」と謳っていますが、現実のマネジメントは「会社が個人を迎合している」ように感じます。
そこには「辞められては困る」という、人手不足という時代背景も垣間見えます。
会社と個人がWin/Winになるために、「個人が自らの役割・業務に専心し、創意工夫し、高い価値を発揮する」ことをもっと個人に追及していいはずなのですけど、私には、
*会社が・・・してくれないからできない
*上司が・・・してくれないからできない
といった、他責とするような発言や空気感が許容され、会社や上司は改善策を求められているように見えます。
一方で、会社から個人に対して「ちゃんとキャリア自律しようぜ!」と言われても、
*そんなの急に言われても無理です
*何をすればいいのか分かりません
*もう高齢なので今のままでいいです
とか言った理由をあげて、自己研鑽、挑戦、努力をしようとしていないように見えます。このあたりは、上記のパーソル総研さんの調査結果からも透けて見えるようです。
これでは、人材は「資本」どころか、「コスト」、いや「不良資産」といったほうが正しいのではないでしょうか。
人的資本経営を実現できている会社では、きっとこんな状況はないのでしょうね。
最近思うのは、こんな状況下で”心理的安全”を掲げて施策に取り組む組織が多いような気がしますが、その際には注意が要るのではないかということです。
ますます個人を甘やかすだけで、それが「ゆるブラックな職場づくり」を促進することに繋がり、ひいてはミドルマネジャーをますます苦しめることになるのではないかというストーリーを想像します。
※ 施策を企画している側の人はそんなつもりはないでしょうけど。
人的資本経営の実現に向けての道のりは、キレイに舗装されているわけではありません。むしろ、いばら道のほうが多いのではないかと思います。
ですので、はたらく個人に以下のようなスタンスをハッキリと示すことが必要だと思います。
自分が乗っている船(会社)の長い航行(ビジョンに向けての戦略遂行)に貢献する気がないのであれば下船する(退職する)ことを考える
長い航行の中で、自分に求められている役割を自己責任のもとで果たそうとしない場合、あるいは、役割をより高いレベルで遂行するための自己研鑽しない場合、それなりの扱い(降格・降給・配転など)を受けることになる
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今日は、人的資本経営を実現するための取組みに関する気がかりを述べました。
人的資本経営は何十年も前から言われていることであり、昔から日本企業は人を大切にしてきているという話を聞くことがありますが、現実はこの有様(失われた30年)です。
ハード面のアップデイトは進んできているかもしれませんが、ソフト面のアップデイトが進んでいないか、間違った方向に進もうとしているかという感じがしています。
私も人的資本経営の実現に関わる人ですので、周囲と連携しながら、想いと知恵、行動力で誇れる会社をつくっていきたいと思っています。
同じ想いをお持ちの方、ぜひ交流しましょう! ご連絡を。
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