集合研修には、講師の話をずっと聞いている講演型の研修ではなく、グループでの話し合いを取り入れた参加型のものもある。
現在主流のオンライン研修でも、zoomのブレイクアウトセッションのような機能を活用し、難なくグループでの話し合いができる。
当然ながら、グループでのやりとりには意味がある。
※ グループでのやりとりのことを便宜上 ”グループワーク” と呼ぶこととする。
グループワークが参加者にとって有益な場になる場合もあるし、ほぼ意味のない場のときもある。
例えば、こんなグループワークを経験したことはないだろうか。
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【状況設定】
テーマ:部下とのコミュニケーションにおいて、心がけていることを共有する
グループ:4名
グループワーク時間:8分
【やりとりの様子】
Aさん:じゃあ私から行きま~す。部下の話を傾聴するようにしています。以上です。
Bさん:じゃあ次は私が。今の若い子は承認欲求が強いので、承認するようにしています。以上です。
Cさん:じゃあ。えっと、テレワークになってから、月一で1on1をやっています。以上です。
Dさん:あっ、最後はオレか・・・。うちは、雑談も含め、チャットを気軽に利用しています。以上です。
A~D:(し~ん・・・・)
Aさん:時間、余っちゃいましたね・・・。そういえば、Cさん、○○支店の××さんって知ってます?
Cさん:知ってますよ。昔一緒に・・・・(テーマと関係のない話に)・・・・
これは、学びという点では意味のないグループワークである。
こういったやりとりになってしまう理由には以下のようなものが挙げられる。
- 研修に参加する動機がない(動機づけが弱い)
- 講師のインストラクション(指示)に問題あり
- 発表内容に自信がなく、「以上です!」と言って早く切り上げたいという心理の影響
これらのケースも「せっかくの機会なのにもったいないなあ」と感じるのだが、私が気になっているのが、
自分と他人では状況が違う(ので、参考にならない)
と思っている場合である。
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このブログでも紹介したことがある「経験学習」。(関連ブログへ)
背伸びして取り組んだ実務経験を振り返り、そこから学びや教訓を抽出し、次に活かす(試す)。
そんなプロセスを経験学習と言っているが、ここで言っている “経験” は自分が直接経験したことだけを指しているわけではない。
他人の経験も含まれる。
他人の経験も自分の肥やしにできるのである。
そのためには、他人の経験は個別具体的なものとして語られることが多いので、いったん昇華して(一般化して/普遍化して)考える必要がある。
例えば、さっきのグループワークで、Aさんの発表を聞いてこう考える。
「部下の話を傾聴するか・・・。話を聞いてあげることで、部下は言いたいことや考えていることを聞いてもらえたことでスッキリするだろうな」
その後、自分事に落とし込む。
「自分は傾聴できているだろうか。昨日Sさんとミーティングをやったけど、ほとんど俺が話してたなぁ。あんな状況にならないようにどうすればいいだろうか。Aさんにコツを聞いてみよう!」
(Aさんに質問して、回答を得る)
「なるほど。よくよく考えてみると傾聴できてないことが多いわ。よし、Aさんの真似をして、明日から●●を心がけてやってみよう!」
こんなふうになれば、他人の経験を自分の学びにしていることになる。
他人と自分では、部下の人数も年齢構成も異なるし、職種も違うし、・・・などと、勝手に線引きしないこと。
マネジャー研修ってほんとに貴重
他人がどのように部下をマネジメントしているか。
マネジャー研修は、そんな話を色々と聞ける貴重な機会。日常にはない場である。
グループワークの時間を、まずは自分にとって有益な場にするために、他人の経験を自分の学びにするという姿勢で取り組むことをお勧めしたい。
率先して、グループワークでのファシリテーターとなって、相互の学びになるような場を回しをやってみるのも良い。きっと、自職場での会議に役立つ。
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正直言って、嫌だとか面倒くさいとか思いながら研修に参加していることもあるだろう。
とはいえ、人生に貴重な時間を使って参加しているのである。どうせ参加しているなら、得られるものを得て帰ろうと考えるのが生産的ではないだろうか。
学びの種は至る所に転がっている。種を見つけるのも、種を実に変えるのも自分の意識次第。
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