少し前に、360度評価の実施を嫌がるマネジャーの話を書いた。(→該当記事)
その続きの話から。
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前回話題にしたA社では、今回が初めての360度評価である。
この会社に限らずだが、360度評価を初めて実施する際に扱い方を間違えると、職場や上司=部下間の関係性に不協和音をもたらす可能性がある。
なので、初めて実施する場合には 特に、被評価者であるマネジャーを集めて、結果の受け止め方やレポートの見方、自己分析の方法などを学ぶ機会を設けるように勧めている。
注意!
マネジャーを集めるのは、不協和音の発生を防ぐことも大切な目的だが、本来的には結果レポートをもとに自らのマネジメントを内省、学びを得て、今後につなげることが目的。
A社でも、結果レポートをもとに自らのマネジメントを内省し、能力開発ポイントを考える機会をつくることになった。
しかし・・・・・である。
人事部としては、
「マネジャーは忙しいので強制参加にはできない。手上げ制にしたい」
とのこと。
こちらの主張を伝えたが、最終的には「分かりました」と先方の意向を了承。
フィードバックの日まであと数日となり、先方に参加者数を聞いてみたら・・・
「4人です。応募の締め切り期限をなくしたので、少し増えるかもしれませんが・・・」
わぉ! 被評価者数 約200名の中の4名である。
フィードバック当日、人数は1名減の3名であった・・・。残念!
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”人による” が言い訳に
A社の殆どのマネジャーが応募しなかった理由は何だろうかと考えてみた。
以前に「研修を嫌う課長たち」という記事(→該当記事)で書いたようなことを思い出した。
更に考えていると、ある言葉をふと思い出した。 ※ここからはA社に限った話ではない
まあ、人によるもんね
この言葉、多くの会社のマネジャー研修で、本当によく耳にするセリフである。
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この言葉をじっくり考えたとき、”人による” が都合のよい言い訳になっているのでないかと思った。
例えば・・・
*年上部下には困っているが、それ以外とはうまくやっているし
*有期雇用の社員とのコミュニケーションは薄いが、職場の業績には影響していないし
*評価に関して、ひとり文句を言ってきているが、あとの人は何も言ってこないし
*ビジョンやパーパスなんて掲げなくても、日々の業務は回っているし
*キャリア支援なんてしなくてもOK。将来ビジョンなんて持っていない部下が多いから
こんな感じで、一部がうまくいっていなくても、概ね問題ないから・・・という判断。
自分がうまく対応できていない点や相手に関しては、
まあ、人によるもんね
で片付けていないか。
すべてにうまく対応できなくてもしようがないと・・・。
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相手は人。それぞれに異なる資質、経験、スキルなどを有している。
確かに、全ての部下をイキイキとさせ、高い成果をあげさせるようなマネジメントの難易度は高いのかもしれない。
ただ、”人による” からと結論づけ、それが自らの学び(=マネジメント能力の向上機会)を放棄することにつながっているとしたらもったいない。
*年上部下とうまくコミュニケーションをとるにはどうすればよいだろうか
*有期雇用の社員の人たちが、もっと元気に働いてくれるには何ができるだろうか
*評価に対して納得感を持ってもらうために、他に何ができるだろうか
*ビジョンやパーパスを掲げれば、職場はもっとイキイキとするのではないか
*部下が将来ビジョンを持ったら、日々の仕事をもっと楽しめるのではないか
“人による” で済ませていたことを立ち止まって真剣に考えてみると、自分のマネジメント能力を向上させるための課題が見つかるのではないだろうか。
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たしかに ”人による” のかもしれないが、それで済ませないこと。
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