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現状維持って簡単に言いますけど・・・

photo of an escalator 課長よもやま話
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年功序列の風土が色濃く残る会社ほど、年上部下を苦手と感じているミドルマネジャーが多くいるのではないでしょうか。

年功序列の風土が残っている会社では、【年上≒入社年次上の先輩≒元上司 or 以前にお世話になった人】という構図になりますので、ミドルマネジャーが年上部下に気を遣うとか、年上部下に指示・命令のみならず依頼すらもできないとかいった事態が生じているのは容易に想像できます。仕事の場面でなくても、日本(人)は人間関係上で年齢を大事にしますからね。

年上部下の中でも、定年を数年後に控えたシニア社員(50代後半以降)は“現状維持を主張する”という話をよく耳にします。具体的には、こんなセリフを口にするようです。

*俺もあと数年だから、今さら新しいことなんかに挑戦したくないよ。勘弁してよ
*俺はもういいから放っておいてくれないか。最低限、やることはやるからさ
*俺の評価は悪くしてもらってもいいよ

応援団長
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最後のセリフに至っては、現状維持という意識すらないですね。

多くのマネジャーは、年上部下のこのような言動にとても困っていらっしゃると思いますし、何とかしたいと思って、色々と手を変え品を変え、説得しようと努力されていると思います。

年齢がいくつであろうと、組織の一員として何らかの役割を担っているのであれば、現状維持を許すことはあり得ないと思いますが、皆さんはどう思いますか?

今日はそんな話です。現状維持に関して、以下の3点から私見を述べます。

1.現状維持って、成果を維持するってこと?
2.現状維持って、能力を維持するってこと?
3.競争相手がいるって分かってます?

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1.現状維持って、成果を維持するってこと?

年上部下の言う「現状維持」とは、成果を前期通りに出すという意味なのでしょうか。

通常、会社は前期通りの目標を設定することはありません。前期を上回る目標を設定するのが普通です。ということは、会社の一員であれば、誰もが前期を上回る目標(売上や利益の向上、費用の低減、効率化、品質の向上につながるもの)を設定し、トライせねばならないのが普通です。

シニア社員(定年間際)だからといって、昨期と同じ成果(現状維持)が許されるなんてことはありません。

応援団長
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役割や成果に年齢は関係ありません。

2.現状維持って、能力を維持するってこと?

年上部下の言う「現状維持」とは、キャリア自律の文脈で能力開発やリスキリングを求める会社が増えている中、「もう能力向上(に向けての努力)なんてしたくない」という意味なのでしょうか。

会社が求める成果以上のものをあげられるのであれば、能力開発やリスキリングは必須ではないと言えます。キャリア自律は本人の選択ですので。

上司として、年上部下に対して能力開発やリスキリングを強制する必要はありませんが、会社が求める成果を毎期しっかり出してもらうことを彼/彼女らと握る必要はあります。

3.競争相手がいるって分かってます?

どの会社にも必ず競合会社がいます。激しい競争の中で毎日を過ごしています。多くの会社は競争に勝つためどころか、生き残るために必死に努力しています。

そんな状況下で社員に「現状維持」を許せば、その会社に待っているのは「衰退」や「消滅」です。ライバル会社は喜ぶでしょうね。

そう言うと、シニア社員の中にはこう反論する人もいそうです。

「ライバル会社の中にだって現状維持を主張する社員はいるんじゃないのか!」

と。

ミドルマネジャーとしては「だからといって現状維持は許されると思いますか?」が返答したいところです。

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自分ひとりくらいが現状維持を目指してもいいだろうという、フリーライダーのような意識を持ったシニア社員が存在していると、近くにいる若手社員のモチベーションはダダ下がりですね。

職能資格制度のもとで育ってきた、給料の高いシニア社員を見て、若手社員が顕在的/潜在的に不平不満を持っていますからね。

人手不足の時代ですので、能力的に多少難があっても、会社がお願いして居続けてもらっているというシニア社員(定年再雇用者)がいる会社もあると思います。

シニア社員が「頼まれて居てやっている」という優越意識を持って仕事していると、その上司の苦労、若手社員への悪影響(離職)など、組織にとってマイナス効果のほうが大きくなりますね。

会社やマネジャーは、現状維持を主張する社員への対応は毅然としたいところです。

応援団長
応援団長

今の時代、1年前のパフォーマンスを維持することすら結構大変だと思うんですけどね。