部下育成はマネジャーの最も重要な役割です
いうメッセージは、多くのマネジャーにとって「当然のこと」と受け入れられるものだろう。
ちょっとここで考えてみたい。
”育成” ってなんだ?
広辞苑によると、「やしないそだてること。立派に育て上げること」とある。
マネジャーの皆さんは ”育成” という言葉にどんなイメージを持っているだろうか。やはり「立派に育て上げる」といったイメージを持っているのだろうか。
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コーチングの対象は新人?
マネジャーの皆さんと、コーチング研修のような、部下の主体性(思い・考え)を引き出すようなコミュニケーション方法を学ぶと、以下のような発言(反省の弁)がよく出る。
- 話を引きだすって難しいんだよなぁ
- 上司が一方的にしゃべっていることが多いな
- 我慢できず、こちらが答えを言ってしまうんだよね
- 自分でやったほうが早いから、仕事を巻き取ってしまう(代わりにやってあげる)
- 聞いても良い答えが返ってこない(から、言ったほうがはやい)
これらの言葉を聞いていると、やはり、マネジャーの皆さんが育成対象としているのは、新人~若手クラスなんだろうなぁと思われる。
そうであれば、コーチング的な接し方よりもティーチングのように「型を学ばせる」ことを優先したほうが良い。
参考:
昔から有名なSL理論(状況対応リーダーシップ)でも、能力の低い相手に対しては指示的行動を前面にした指導のほうが良いと言っている。(→ SL理論を紹介する外部サイトへ)
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育成 = グングン育つ草木 のイメージ?
では、
なぜ育成の対象として、あるいはコーチングの対象として、中堅以上の部下が想起されないのか。
私の仮説としては、”育成” という言葉が関係しているのではないかと考えている。
マネジャー研修でこんな発言をよく耳にする。
- 年上の人に対して ”育成” だなんて・・・・。
- あの人はもう経験十分なので、今更 ”育成” は要らないでしょう
- 50代の人を ”育成” するって、本人も嫌がるでしょうね
こういった発言の裏には、”育成” = すくすくと芽が伸びるようなイメージがあり、まさに子供がグングンと育つような印象で、育成という言葉を捉えているような気がする。どうだろうか。
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”開発” のほうがいいのでは?
現場レベルでは ”育成” と言っているが、人事(HR)領域では、人材開発とか能力開発という言い方をしている。英語でも development というワードを使用する。
では、”開発” を大辞林で引いてみると、「潜在している才能などを引き出し伸ばすこと」とある。
どうだろうか。”育成” とはニュアンスが異なるだろう。ミドルマネジャーの本来の役割は、まさに部下の能力を ”開発” することではないだろうか。
そう捉えると、中堅以上の部下に対しても行うべきことがあるはずである。中堅社員だって、40代以上の社員にだって、潜在している能力はある。
中には、(特に超ベテランの)部下側に、あきらめ感/いまさら感があり、「私なんてもういいですよ、このままで充分」という考えの人がいるので、マネジャーとしては厄介な存在かもしれない。
ただ、そんな人ばかりではない。前向きな人、貪欲な人、変わろうとしている人、危機感を抱いている人など、自らの能力の開花を模索している中堅以上の社員は結構いるはずである。
そんな人たちを、マネジャーとして支援することは、新人・若手相手より、今の時代では重要なことなのかもしれない。
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経験から学ぶために他者の存在は有効
新人・若手社員と比べて経験があるがゆえに、凝り固まった思考・発想になっているのが中堅以上の社員であるとするならば、コーチングのようなコミュニケーションで、マネジャーがちょっと気の利いた質問を投げかけることで気づきを得たり、自分を見つめ直したりすることができるのは、むしろ中堅以上の社員である。
新しい知識や手法を学ぶだけが成長ではない。経験から学ぶことも成長につながるということを、現場のマネジャーの皆さんには知ってもらいたい。(→ 経験学習に関するブログ記事)
経験から学ぶことを自分ひとりでできればいいのだが、繰り返しになるが、経験があるからこそ ”いつもの思考” になってしまうので、他者の存在が有効。
他者の中でも、上司(マネジャー)は身近で最高な「いつもの思考を打開する支援者」になりえる存在である。
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今日は、”育成” という言葉が中堅以上の社員への育成行為を止めさせていませんか?という話でした。
「部下の潜在能力を引き出すこと」と捉え、マネジャーとして、組織と部下の成長のために、特に中堅以上の社員に何ができるか、今一度考えてみませんか。
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兄弟ブログ:「研修を考える部屋」もよろしくお願いします。
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