皆さんの会社に、お互いを称賛し合ったり、感謝を伝えたりするようなコミュニケーションツール(システム)って導入されていませんか?
日常でのちょっとした出来事、例えば、会議室を予約してもらったとか、コピー機に印刷物を置きっぱなしにしていたものを届けてくれたといったことをシステム上に入力し、感謝したい相手だけでなく、全社員がそのメッセージを見ることができる。そして、それを見た人が「いいね」で反応する・・・みたいなツールです。
このようなツールの導入・活用の動きは、HRテック(人事関連のテクノロジー)業界を少し賑わせているようです。
では、このようなツールが導入されている背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
例えば、従業員のエンゲージメントを高めるため。エンゲージメントが高いと、仕事のパフォーマンスが高いなどの魅力的なエビデンスがあるようですので、会社としては何とかしたいのでしょうね。加えて、優秀な人材のリテンションにも好影響かもしれません。
他の理由としては、人的資本経営に関連した動きとして、「人を大切にしている会社」であることを定量的に(有価証券報告書に記載して)投資家や社会へ示すため。優秀人材の獲得にもつながるかもしれませんしね。
お互いに認め合う、ほめ合う、相手に感謝を伝えるということは良いことですので、どんどんやっていきたいですね。
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さて、このようなコミュニケーションツールを前に、マネジャーの皆さんはどう思っていますか?まさか、こんなことを考えていたりしませんよね?
感謝やお礼なんて、部下にわざわざ言えるか!
これは論外マネジャーです。Mr.ガラパゴスマネジャーとして認定します。こんな人、もはや現代のマネジャーとして失格です。
こんな考えはどうですか・・・
そんなツールを使わなくても、部下に直接伝えればいいじゃん!
直接伝える、素晴らしいですね。是非伝えてあげましょう!!
でもね・・・です。こういったツールだからこそ得られるベネフィット、ありますよ。それは、全社員が知ることからくるベネフィットです。
例えば、
* 「へぇー。●●さんって、そんな仕事をやっているんだ。知らなかったなぁ」
*「〇〇さんって、気が利く人なんだー」
*「おー。■■さんと◆◆さんって一緒に仕事をしてるのかぁ。接点があるように見えないけど」
*「なんだか、面白そうなプロジェクトがあるんだ。今度話を聞いてみよう!」
当事者間のやりとりを
白日のもとに晒す効果
が、相手(部下)へのポジティブな影響だけでなく、もっと大きな影響や価値を生むのかもしれませんよ。
例えば
*「●●さんって、あんな仕事までやっているんだね。今度お願いしていいかな?」
*「〇〇さんって、あそこまで気が利くなんて凄いですね」
*「◆◆さんとの仕事、どんな内容なのか教えてくださいよ!」
といったように、部下のモチベーションやキャリア形成にポジティブな影響があるかもしれませんし、社内のネットワークが活性化されて、新しいビジネスが生まれたり、業務が効率化したりするかもしれませんよ。
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私が言いたいのは、直接伝えることからコミュニケーションツールでの発信に変えるのではなく、両方で感謝や称賛などを部下に伝えればいいじゃないかということです。
両方で伝えることのネガティブ側面ってありますか?
個人的には「ない」と思いますよ。
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今日は、相手に感謝や称賛を伝えるコミュニケーションツールの話でした。
ひとつ気になるのは ”アンダーマイニング効果” です。(→ 日本の人事部さん アンダーマイニング効果の説明サイトへ)
コミュニケーションツールによっては、社員の皆さんに活用してもらえるように「ポイント制度」として、感謝したら〇ポイント、”いいね”を押したら●ポイント、□ポイント貯まったらギフト券を贈呈、といった仕掛けをしています。
こういった仕掛けが、果たして組織にとってポジティブに機能するのか、おかしな方向に行ってしまうのか・・・・。仕掛けだけに依存するなら、近いうちに破綻するでしょう。
やはり、ハード(システムやツール、制度)とソフト(人の気持ちや考え方、態度)の両面を活用し、有機的に機能させないといけません。
これからのマネジャーは、会社の用意するハード面を上手に活用することは必須の能力です。ただし、それだけでは足りません。少々難度は高いですが、担当する課やチームのソフト面をケアするために「組織開発」という考え方を知っておいたほうがいいですよ。
以前に組織開発のことを書いています。どうぞ。(→ 組織開発に関連した記事を書いたブログ)
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