キャリア自律に関して、私のいる会社でとても丁寧な調査を行い、その結果を公表している。(多くの示唆が得られる結果なので、是非ご覧いただきたいです! → 該当サイトへ)
この調査では、キャリア自律度を測定するために、7つの構成概念を用いている。
その中の1つに「主体的仕事行動」というものがあり、それは以下のような行動のことを言っている。
- 自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組んでいる
- 自分の満足感を高めるように、仕事のやり方を工夫している
- 常に自発的に仕事を行っている
- 仕事の進め方や企画を立てる上で、今までの延長上のやり方ではなく、自分なりの発想を持って取り組んでいる
これらの行動がとれているほど、キャリア自律度は高いということになる。
ご覧になってお分かりのように、自発性、主体性といった言葉が当てはまる、まさに自律した行動である。
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キャリア自律できそうにない組織
こんな残念な話(実話)がある。
ある会社(B社)では現在、従業員ならびに採用活動中の学生に対して、「自律的キャリアの構築」をメッセージとして打ち出している。
ウェブサイトには「当社では従業員のキャリア自律を支援しており・・・」と書かれている。
若い世代ほどキャリア形成に敏感なので、就活中の学生は、会社説明会などで人事部から直接メッセージを聞いたり、ウェブサイトを見たりして、この会社に入社を決めるなんてこともあるだろう。
そんなB社から、マネジャー研修の相談をもらった。詳細は省くが、不本意ながら、先日のブログで書いたような最悪の研修を生んでしまった!猛省。(→ 先日のブログ記事)
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打合せ時から研修当日に至るまで、本当に色々とすったもんだがあったのだが、その中で私がとても気になったのが、研修を企画している部署(人事部)では、座っている上司が話をしているとき、部下は上司の手前で跪きながら話を聞くという風習である。
皆さんはどう思われるだろうか。
B社の全ての部署でこのようなことが行われているのかどうかは不明だが、少なくとも人事部はそんな感じであった。ちなみに、上司・部下の関係性を見ていると、かなりの上意下達文化・指示命令型マネジメントで、上司の言うことに反論・意見できる人は皆無であった。
こんな組織で ”キャリア自律” とは、無理じゃね?という印象。
これは私の妄想だが、この会社では、”キャリアアップ”=出世という価値観で、上司とのキャリア面談は圧迫面接のような雰囲気で行われ、「おまえの将来はオレに任せておけ!課長に推薦しておいてやるから」と、部下の将来を勝手に決めつけそうな印象。(部下もそれを決して嫌とは思っていない)
B社にはネームバリューがあったり、報酬が良かったりするので、社歴の長い人ほど、嫌なことがあっても辞めないんだろうなぁと思う。(嫌な上司とも、数年我慢すれば別れることになるので我慢する)
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こういった状況下でエンゲージメント調査をやると、エンゲージメントスコアは低くなることが予想される。国内にそんな会社が多いとすれば、エンゲージメント調査の国際間比較で日本が最低ランクというのも理解できる。
上司の前で跪くというのは、少し大げさな事象なのだが、上意下達・指示命令型の文化をもった会社というのは、外部の人間はすぐにそれを感じ取れる。
内部の人が自分たちの組織文化のダメなところを感じ取れるかどうか。新卒入社中心の会社であれば、社歴の長い人ほど感じ取れないか、問題視しないだろうなあ。
問題視したとしても、それを内部から変えていけるかどうか。これは相当に高いハードルである。
キャリア自律を促進する前に、組織風土改革を先行させないといけないだろう。
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今回は、キャリア自律と組織風土の関係に関する話でした。
従業員に自律を促すわけなので、他者(上司など)からの強制や説得、ましてや他者の勝手・無断な意思決定は本来おかしな仕業なのではないでしょうか。
新卒入社が中心の会社で、上司が威張っている会社でのキャリア自律は無理そうって話です。
更に言えば、キャリア自律に限らず、女性活躍を始めとするダイバーシティ施策でも、ジョブ型人材マネジメントでも同じで、上司が偉ぶっている組織は何をやっても変わらないのではないでしょうか。
皆さんはどう思われますか?
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