前回に引き続き、悪い/まずい上司の言動について書きます。(→ 前回記事へ)
以前に、マネジャー研修で出会った皆さんに、
あの上司のもとでは、全くやる気がでなかった
という経験を伺い、挙げてもらった意見をもとにしています。
今回は、マネジメントサイクルPDCAの「D編」、期中の関わりに関する内容です。部下に対して、どのような関わり方だとまずいのかを挙げていきます。
普段の自分を省みるときのチェックリストになりそうです。
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ダメポイント① 放任している
こんな意見が挙がりました。
* 最後まで何のフォローもない
* 困っているのに一緒に考えない
* 関心を示さない
* 相談しても回答しない
* 「いいからやれ」しか言わない
* 期限直前に状況を聞いてくる
以前に書きました、良い上司に関する記事の中で、部下に関わるタイミング・頻度に関して「基本的に任せてもらっており、途中で細かいことを言ってこない」という意見がありました。(→ 該当する記事へ)
部下が「任されている」と感じるか、「放任されている」と感じるか、違いはどこにあるんでしょうね。
私は、PDCAの「P」でのやりとりの質が、その違いを生んでいるような気がします。前回の記事で書いた点で言えば、
ダメポイント① 仕事の目的・意義を示さない
ダメポイント③ マネジャーに意思が思いがない
といったことが、のちに ”放任されている” という不満につながるのではないでしょうか。
ダメポイント② マイクロマネジメントする
「放任」と正反対とも言えるのが、これですね。マイクロマネジメント。
* 毎日報告を求める
* 細かすぎるフォロー(確認が多い)
* 正論で、詳細なことばかり言ってくる
* いきなり(勝手に)フォローしてくる
マイクロマネジメントに関しては、いい話を聞きません。負の効果が多そうですね。パーソル総研の調査では、部下にとっての負の効果ではなく、マネジャー自身にとっての負の効果(マネジメント負荷の増大)が調査結果として出ています。(→ パーソル総研の調査結果へ)
「どうなっている?」と頻繁に聞かれると、部下は面倒さを感じたり、管理されている感を抱たりする。それだけでなく、結果として、動かない部下や手間のかかる部下を自分が生んでいるとすれば・・・。
要注意ですね。
ダメポイント③ 否定的な言動をとる
* うまくいっていないときに責める/問い詰める
* 否定から入る
* 人をバカにするような言葉を言う
* ダメ出しから入る
* 不調な理由を問うばかり
* 罵声をあびせる
* 「死んでもやれ」しか言わない
今風に言うと、パワハラ上司のようなイメージでしょうか・・・。
確実にやる気を失いますね。
部下を責めたり、脅したり、バカにしたりして、期待している成果が出る/部下が成長する・・・・、私はそんなケースをただの一度も見たことありません。(行き着く先は、過緊張、委縮、退職、メンタル不全など、負の成果しか出ないと思います)
その他のダメポイント
意見の数は少ないですが、こんな意見も挙がっていました。
ダメポイント:上に弱い
* 上層部や外部からの圧力に負けて、部下を支えられない/守れない
* 上層部の言うことをそのまま伝える
”上方影響力” という言葉があります。上(上司)に対してどれだけ影響力を発揮できるかの程度を表す概念です。具体的に言えば、
● 課長が部長をどれだけ説得できるか
● 課長が部長に自分の言い分を通せるか
ということです。この点に関して興味深い記述があります。
「従業員の味方になる」、「従業員と親密である」といった従業員中心的な監督ないしは支持的行動は、リーダーの上方影響力が高度に樹立されているときには、部下の態度にポジティブな効果をもつが、上方影響力が欠如している場合には、かえってマイナス効果をもつのである。(金井壽宏著『変革型ミドルの探求』白桃書房, 1991年 67ページより)
マネジャーとして、上司に対して意見具申したり、必要なら部下やチームを守るために上司と闘ったりすることも必要なようです。
上司の言いなり、上司へのゴマすり、上司の腰巾着のような態度によって、部下はドン引きするということですね。
ダメポイント:軸がない
* 指示が一貫していない
* 場当たりの指示
これも部下にとっては迷惑ですよね。どうしてこんなことが起こるのか、その原因を推察してみますと、
1 ビジョンや戦略がない
2 上からの指示がコロコロ変わり、それに抗えない(ので、部下への指示が二転三転する)
3 思い付きでモノを言い、そのあとの実行責任を負う意識がない
4 自分の発言を覚えていない
といったところでしょうか。いずれも迷惑な感じですね。
上記2番は先に書いた「上に弱い」に関連します。3番と4番は「マネジャーとしてどうなの?」という話ですね。1番については、「ビジョンを持つことの重要性」を記事にしています。よろしければご参照ください(→ 該当する記事へ)。
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今日は、悪い/まずい上司は、期中にどんな関わりをしているか/いないかに関するお話でした。
ダメポイント①の「放任している」と、ダメポイント②の「マイクロマネジメントする」は、それぞれ「任せる」、「気にかける」と、上司の言動自体は似ているのではないかと想像しました。
似ているけれども、部下の受け取り方には大きな違いがある・・・そこには、部下への信頼や配慮が基盤にあるように思います。
★ 自分(の能力)より部下(の能力)を信じること
★ 部下が持てる能力を存分に発揮できているかに配慮すること
これらの態度がマネジメントの基盤にあれば、放任されているとか、マイクロマネジメントされているという印象を部下に持たれないような気がします。
次回は、PDCAの「CA編」です。お楽しみに!
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