今日は、マネジャー研修を実施する側からの話。
この記事で、皆さんに「今後は研修は真面目に受けてくださいね!」と言いたいわけではない。
マネジャーになると、研修の受講機会はそう何度もない。本当に貴重な学びの機会なので、自分の価値を高めるためにも、自分なりのお土産を持って帰ってほしいなぁという思いで書いた。
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研修開始時の一コマ
研修開始時にグループ内で自己紹介をする際によく聞かれる言葉に
今日は何かつかんで帰りたいと思います。 宜しくお願いします!
というものがある。
この言葉が発せられる背景を推察してみると・・・
① 特に言うことがないが、自分の番なので、テキトーにしゃべっている
② 現状困っていることはないが、何か役立ちそうなことがあるといいなと少し思っている
③ とにかくどんなことでもいいので新たな知識を得たいと思っている
こんな感じだろうか。
研修を実施する側からすると、①の人は研修へのモチベーションが高くないんだろうなぁとみえる。
私はこの発言を聞くと、その人の研修中の様子をよ~くウォッチしている。(笑)
同じグループのメンバーがとても優秀で、コミュニケーション上手であった場合は、①のような人も少しずつ感化され、受講姿勢が好転していくこともある。
そうでない場合、①のような人が他メンバーの受講姿勢に悪影響を及ぼすこともある。(腐ったリンゴ理論だ)
学びを捨てているのなら、それは個人の選択なので、まあしようがないかなと思うが、他人の学び機会を奪っているとするなら、そういった態度は改めるべきと思う。
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②の人は、自分のマネジメントに(深い)課題意識がないことが要因にとして考えられる。
年上部下とのコミュニケーションや、リモートワークの部下とのコミュニケーションは大変だとかいった課題は確かに感じているが、何が何でも今日の研修でヒントを得て帰るぞ!という意欲まではない。
まあ、そんな話が聞けたらラッキー・・・くらいな意欲。だから講師に質問はしない。
せっかくの機会である。講師は全知全能ではないが、質問は遠慮なくした方が良い。
全体の前で質問するのが憚られるのであれば、オンライン研修だと個別チャットができる。ぜひ活用したほうがよい。
学びの源泉は講師だけではない。受講者どうしの対話からでも学べる。積極的に話しかけたほうが良い。マネジャーどうしのネットワークづくりにもつながる!(→関連ブログ)
研修終了時の一コマ
研修の最後に行動宣言をしてもらうことがある。そんな場面で、こんな感じのことを言う人、結構いる。
今後は率先垂範します!
部下とのコミュニケーションを密にします!
部下との関係づくりをもっと大事にしていきます!
気持ちはわかるが、その後の行動は大して変わらないか、一時的に変わったとしても長続きしないだろうなと思う。
『ヤフーの1on1』という本の著者である本間浩輔さんから直接聞いた言葉でとても印象深いものがある。それは、
イメージできないものはマネージできない
というもの。ほんとにそうだなぁ、と私の心に強く響いた。
前述した「今後は率先垂範する」といった人は、具体的にその行動をイメージできているのだろうか。
行動を自らにイメージさせたいときに参考になるフレームがある。
それは、立教大学の中原先生が著書『実践!フィードバック』などで書かれている ”SBI” である。
S:Situation(状況) どんな状況下(場面)で
B:Behavior(言動) どんな言動をとり、
I:Impact (影響) 誰にどんな影響を与えたいのか
このSBIに沿って行動を考えてみることである。
そうすれば、マネージできる状態になれる。その結果、皆さんのマネジメントの質が向上する。
アンケートへの記載内容
研修が終わり、アンケートを取る会社は多い。
以下は、ある会社で実施したマネジャー研修の実施後アンケート。
「得られた学びや気づきはなんですか?」という問いへの回答。
気づき・発見としては、部下との目標設定の面談において、こちらの思いを一方的に伝えるのではなく、部下の意見を聞くことでお互いに納得した目標を設定できるということ。またつまづきワクチンを準備しておくことが部下への配慮となること。課題としては、部下の意見をきちんと聞き取る準備をすること
新任マネジャーが特に遭遇しがちな課題としてご紹介頂いた部下育成について、不安であると感じており、特に意識して取り組んでいきたいと思います。仕事の任せ方の4つのステップや1on1で教えて頂いた点の中で、担当者に振り返りを促すこと、それに対して耳の痛いことでもフィードバックをしていくことが成長の為に重要であると理解しましたので、ここも意識をして実行していきたいと思います
以下はどうだろうか。
コミュニケーションの重要性を再確認できた
決めつけてはいけないが、上の2つと最後のものでは学びや気づきの深さに違いを感じる。
文字数が多いから良いというものではないが、ちゃんと学びを得た人は、それを具体的に文字に起こせるのはないか。 ※ さきほど紹介したSBIにもつながる。
自分の頭の整理にもなるので、アンケートを書くという機会を活用して、自分なりの学びを整理してみると良い。
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最近研修を受けたという人は、その時の自分を思い起こしていただき、学びに対して積極的であったかどうかを内省してみては。
近いうちにマネジャー研修に参加するという人は、せっかくの機会を活かすために、このブログに書いた内容を注意点として臨んでみては。
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途中で紹介した本①
途中で紹介した本②
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