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なにかとガヤられる1on1

coaching 1on1
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これまでのブログでも登場している1on1。(→ 関連する過去のブログ記事へ

今回は、そんな1on1に関する小ネタを3つ。

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低頻度の1on1は1on1でない?

私の勤務先の親会社が行った調査(公開日は2022年3月)では、

目標達成度が「とても良い」組織は、1on1実施頻度が高い

としている。(→ 該当サイトへ

確かに、半年に1回だけ1時間程度の面談を行うよりも、月1回10分×6回の面談を行うほうが、部下の様子もわかるし、タイムリーな対応ができると考えられるので、目標達成度への影響だけでなく、様々な観点から「実施頻度の高さ」は重要と言えそうである。

数年前からのブームとも言える1on1だが、定義らしいものとして「頻度を上げた、部下のため(部下主導の)の、仕事に関連したコミュニケーション機会」といったことが言われるので、

3か月に1回、半年に1回しかやらない1on1 なんてものは、業務進捗面談か評価面談であって、そもそも1on1とは言えないのではないか。

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会話支配率

ずいぶん以前に、コーチングに関する専門家(米国人)と話をしていた時、コーチングができているかどうかをチェックするためのリストを見せてもらった。

その中にあった項目の1つが

Dominate a conversation

である。コーチングを受ける側(部下)との会話を支配していないかどうか。コーチングにおいては、支配してはダメという判断になる。1on1でも同じではないか。

サッカーの試合では、ボール支配率の「高さ」は重要だが、1on1では「低さ」が重要。

サッカーは支配されている側は辛いものだが、1on1では反対。部下に支配されていい。

では、何をもって「支配している」と判断するのかと米国人の専門家に聞いたところ、話した時間比でみるといいと言われた。

1on1は ”部下のための(部下主導の)時間” である。主役は部下。

最近行った1on1を思い返してみてほしい。自分と部下で、話した時間比はどうだっただろうか。自分は部下の話を聞いているつもりでも、部下は「上司が一方的に話している」と思っているかもしれない。

会話支配率、注意しすぎなくらいに注意したほうが良い点である。

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1on1でパワハラ?

1on1について、ITmediaビジネスオンラインのニュースによると、1on1の実態として、4割の社員がパワハラを感じたことがあると回答したらしい。(→ 該当サイトへ

上司のどんな言動を部下側がパワハラと感じたのかまでは分からないが、「4割も?」という印象。

部下側は、そもそも1on1という機会そのものを ”パワハラ” と感じているのかもしれない。もしそうであれば、1on1が悪いわけではなく、普段の関係性に問題があるのだろう。

部下にとって、仕事時間の中で、1on1の占める比率は小さいはずである。1on1の時間だけで上司との関係性が決まるのではない。むしろ、1on1以外の時間でのやりとりで関係性が決まっているとみたほうが良いだろう。

このニュースで何を主張したいのかは不明だが、1on1だけを取り上げて、上司・部下間の関係性を語ったり。匂わせたりするのはナンセンスである。

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今日は1on1に関する小ネタを書いてみました。

上司と部下の間のコミュニケーションに、”1on1” なんて印象的な言葉がために、何か特別なもののような見方をされているのかもしれませんね。だからなのか、1on1がうまくいかない理由や、1on1への否定的な(現場の)意見がちょいちょいニュースになっている気がします。

マネジャーの皆さんには、1on1が注目されている意味や背景、1on1をやることで得られるポジティブな効果、それも短期的なものだけでなく、中長期的な効果をしっかりと考えてみることをお勧めします。

全ての部下との1on1が、上司と部下の双方にとって、初めから有意義な機会になるとは思いませんが、継続することで部下にとっても、マネジャーの皆さんにとっても良いことがたくさんあると思いますよ。

1on1を企画・推進するお仕事の皆さんへ:

会社として1on1を導入する際には、目的や理由の説明を丁寧過ぎるくらいやらないと、ちょっとうまくいかなかっただけで「それ見たことか!」と、鬼の首を取る系社員が声をあげてきます。要注意。