以前にもブログに記事を書いた360度評価(別名、多面観察とも言う)。
360度評価は、育成や能力開発を目的として活用すべきという主張をした。(関連ブログへ)
”評価” というワードが持つ、どこかマイナスのイメージからか、自分が被評価者になることを嫌がるマネジャーがいるという話を聞くことがある。
嫌がる理由は様々にあるだろう。例えば・・・
- 会社や人事部門を信用しておらず、能力開発目的と言いながら、実は人事評価に使うのではないかという疑念
- 周囲からの評価が良くなかった場合、皆の前でさらし者にされるのではないかという懸念や不安
- 普段から部下に良く思われていないと想像されるので、これを機にボロクソに評価されるのではないかという恐れ
これまで私は、多くの会社で360度評価をご支援を行い、評価結果のレポートを本人に渡す「フィードバックセッション」をやってきたが、少なくとも私が直接担当したセッションで、誰がをさらし者にしたり、吊るしあげたりしたことは一度もない。
360度評価では、被評価者に対してポジティブ/ネガティブなコメントを自由に書いてもらうケースがあるが、被評価者をこき下ろすような、非常識なコメントが書かれているケースはほぼない。
※ 一切ないとは言い切れない。
レポートに多少スパイシーなコメントが書かれてあったとしても、殆どの参加者(被評価者)が「とても大きな気づきになった。やって良かった」とか「今後も定期的にやってほしい」というコメントを残している。
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ある会社(A社)で、この2~3月で360度評価を初めて実施したのだが、
「360度評価をやるなら、この会社をやめてやる!」
と発言した人が複数いたらしい。
そのうちのひとりに理由を聞いてみるとこう言ったらしい。
俺はなりたくてマネジャーになったわけじゃない。本当はスペシャリストとして働き続けたかったのだ。しかし、他に適任者がいないからと言われ、しようがなくマネジャーになった。マネジメントなんてしていない。だから、周囲から悪い点を付けられるに決まっている
この人は、普段から自分がマネジメントを上手にやれていないことを自覚しているのだろう。
以下は推測だが、この言い方だと、「俺はなりたくてマネジャーになっているわけではない」と普段から部下に言っていそうな感じもする。
こんな人はたぶん、自分のマネジメントを内省して、「次はこうしてみよう」といった行動改善の意欲を持っていることはないだろう。
会社も、部下も、本人も、誰もハッピーではない状態だ。(そう考えると、会社を辞めるのは誰にとっても良い選択なのかも??)
反対の声は受け流して良いのでは?
360度評価を育成目的できちんと運用しようとしているのなら、多くの被評価者(マネジャー)にとって有益な学びの機会になるだろう。
初めて実施する際に出る反対の声は軽く受け流して良いのではないか。(無視してはいけないが)
極論めいているかもしれないが、360度評価の実施に異常なほど反対してくるようなマネジャーは、組織にとって悪影響を及ぼしている可能性はないだろうか・・・。
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ちなみに、上記したA社には、色々と問題がありそうだ。例えば・・・
- 複数のマネジャーが大人気のない発言を堂々と口にできる風土
- 「他に適任者がいないから」ということを、本人に伝えてしまう上長
- 抱いている不平不満を普段は言わず、こういった機会に一気に噴出する職場
こんな状況が想像される。加えて、トップも本件に積極的に関与しようとしていないようだ。
今回の360度評価やフィードバックセッションだけでは何の変化ももたらさないだろう。他の施策も講じなければ。
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最後の独り言:
予算消化を理由にサーベイを行う場合、目的の周知とサーベイ後のフィードバックのことをきちんと考えていないと、百害あって・・・である。
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