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ビジョンの要素

vision ビジョンづくり
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マネジャーに向けた書かれた多くの書物を読むと、「マネジメントやリーダーシップに関して、こんなにも様々な考え方や理論理屈があるのか」と感心してしまう。

中には、あまりにも個人的経験に依拠しすぎだろーと思われる(自伝的な)内容もあるが、まあそれはそれでおもしろく読むことがある。

ちょっとハードだが、著名なリーダーシップ理論を学んでみようというのなら、以下の3冊の書籍をお勧めする。

J.P.コッター 著『第2版 リーダーシップ論』 ダイヤモンド社 2012年

クーゼス&ポズナー 著『リーダーシップ・チャレンジ』海と月社 2014年

バート・ナヌス著『ビジョン・リーダー』産能大出版部 1994年

それぞれに学ぶことの多い内容だが、主張はそれぞれである。

各書籍の主張で共通しているのは ”リーダーはビジョンを示す” という点

さて、リーダーシップに関する有名な理論のひとつに「SL理論(状況対応リーダーシップ)」と呼ばれるものがある。(SL理論の紹介

文字通り、効果的なリーダーシップのスタイルは状況によって異なるというものだ。(その内容は、研修でも学ぶことができる)

おそらく、皆さんが「まあそうだろうな」と肌感で同意されることだろう。

自分たちの置かれている状況が好況下なのか、不況下なのかによっても異なる。若手中心の職場なのか、ベテラン中心の職場なのかによっても、有効なリーダーシップスタイルは異なる。

”状況によって有効なスタイルが変わる” からと、状況や相手によって、カメレオンのように柔軟にスタイルを変えられる、その対応力は素晴らしい能力である。

ただし、コロコロ変わるのは対応方法(How to do)のことであって、リーダーは決して目的(Why to do)や目標(What to do)をコロコロと変えているわけではない。

むしろ、リーダーは目的(Why:なぜこれをやるのか)や目標(What:何を目指すのか、何をやるのか)をコロコロと変えてはいけない。部下が戸惑ってしまうだけである。

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目的(Why)と目標(What)を示すのはリーダーの役割だが、現実にはこんなリーダーが散見される。

目的(Why)を示さない。目標(What)と方法(How)だけ示す。

目的を示さないので、作業の指示だけしている印象。しかも、目標は短期目標。目先の事。これでは、部下は全く動機づけられない。

本来リーダーは、

目的(Why)を示し、中期的な目標(What)を示し、方法(How)はざっぱに伝え、詳細な方法(細かなHow)は部下に任せる

のである。

この目的(Why)と中期的な目標(What)を合わせたものは、ビジョンと言ってもいいだろう。(ビジョンの定義は色々あるが、ここでは割愛)

ビジョンを部下に繰り返し繰り返し語り、動機づけること。これこそがリーダーの大切な役割だ。今回紹介した3冊の書籍の中でも言っている。

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有効なリーダーシップスタイルは状況次第という話、それは対応方法のこと。どんな状況であっても、どんな相手であっても、リーダーとしてビジョンを持ち、部下に語り続けること。

組織の長として、この点は押さえておきたい。