”リスキリング” という言葉が人事界隈で話題になっている。日本語では ”学び直し” と呼ばれている。
人生100年時代、定年も70歳まで延びてきている現在、多くの仕事において、同じスキルで定年まで食べていける時代ではなくなっている。
AIやロボットが人間の仕事を取って代わり、デジタル技術の高速な進歩により、生産性を向上させる新しい技術が日々生まれている。
そこで、”リスキリング” である。
将来に向けて自分の価値を発揮し続けるために、それはつまり給料をもらい続けるために、今後必要とされるであろうスキルを考え、見つけ、主体的に身につけていかないといけない。
今でいえば、DX化を推進すべく、デジタル技術の習得が国や企業の進める ”リスキリング” のメインストリームである。
マネジャーにとってのリスキリング
では、プレイヤーではない、マネジャーにとっての ”リスキリング” とはどういったものだろうか。
マネジメントツールとしてデジタル技術は色々と開発されており、部下とのコミュニケーションでslackやteamsなどのチャットツールを活用したり、オンライン会議システムを使っての1on1、会議などがすでに行われている。
デジタル技術の活用だからといって、これらのツールを上手に使うことがマネジャーにとってのリスキリングなのかというと、少し違和感がある。
マネジャーにとって必要なリスキリングとは、デジタル技術はサブ的な要素であり、主はマネジメントスキルの基本を(再度)ちゃんと学ぶことなのではないだろうか。
それがマネジメント職として、この先も価値発揮して続けるための要諦だと考える。
組織マネジメントに流行はない
私が人材開発業界に入って20年以上が経つが、組織マネジメントで大切なことはまるで変わっていない。
確かに、コーチング、ファシリテーション、フィードバック、1on1など、色んな言葉や手法が出てきてはいるが、これらが大切にしていることはずっと同じである。
それは、部下と職場の活性化を図り、組織成果を最大化することである。
それでも、いつの時代でもマネジャーは悩んでいる。悩みを解決し、マネジメントとしての価値を発揮するために、日々学びや学び直しが必要な状況にいるといっても過言ではない。
我々は体調に関して悩みがあるのであれば、解決のために病院へ行くのだが、組織マネジメントに関する悩みをもったマネジャーはどんな解決行動をとっているのだろうか。マネジャーにとっての病院的な存在はどこ(なに)か。
7:2:1
このブログでも何度か紹介しているが、世の中で活躍しているビジネスパーソンは何から学び、成長してきたのかに関しての有名な数字がある。
それが、”7:2:1” である。
70%のビジネスパーソンは「現場での実務経験」を通して自ら学び成長してきたという。
20%のビジネスパーソンは「周囲(上司やお客様)からの言葉」により、学び成長してきたという。
10%のビジネスパーソンは「研修などの教育機会」で学び成長してきたという。
では、組織マネジメントに悩みを持つマネジャーは、上記3種の病院(経験、言葉、研修)に駆け込み、悩みを解決し、マネジャーとして成長し、価値を発揮しつづけているのだろうか。
直感的には、マネジャーの周りに良い病院がないことが多い気がする。
今日は、マネジャーにとっての ”リスキリング” の話をしているが、マネジャーは日々の中で「リスキルの必要性」がありながらも、なかなか学べていないのではないかというのが私の仮説である。
これまでは何とかなってきたマネジメントも、ジョブ型の導入で、マネジメント職としての価値発揮が明確に求められてきている現在、日々のリスキリング(学び直し)はマネジャーに必須と思われる。
次回、もう少し具体的に、学べていない状況の仮説を述べてみたい。
コメント欄