4-3月期の会社では、4月頃に今期の方針発表が行われますね。ミドルマネジャーの皆さんも、部下の方々に今期の方針を発表されたことと思います。
ここで質問です。4月頃から半年以上が経過した現在、
皆さんが話をされた部門方針について、聞き手(部下の皆さん)はどの程度記憶していると思いますか?
発表直後であっても、内容を全て記憶している部下は限定されると思います。
ミドルマネジャーの皆さんからすれば、「あなたの所属している部のことなんだから、発表内容の全てに関心をもって聞いてくれー!」と思うでしょうが、部下は自分の業務と関係がないと判断した内容に関しては、かる~く流して聞いていますね。
そう考えますと、4月から半年以上が経った今では、エビングハウスの忘却曲線(→ 日本経営心理士協会さんのサイトへ)をヒントに想像しますと、部下の頭の中に部の方針はほぼ残っていないでしょう。
このようにして、部下は自らが所属する会社や部門の方針を殆ど意識することなく、自分の担当業務だけを淡々と業務をこなしている・・・・・チームとしての協働も生まれない・・・・・改善案や新しいアイデアも生まれない・・・・・こんな状況って多いような気がしますけど、皆さんの職場はいかがでしょうか。
こんな状況は何とかしたいですね。今回は何とかする案を3つ挙げます。
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何とかする案① 期中に繰り返し伝える
部下を方針通りの沿った行動へと促すことが理想ですが、まずは方針を部下の頭の中に打ち込まないといけませんね。
そのためには、とにかく繰り返し伝えることですね。部下に「くどい」と思われることを目指していかないといけませんね。
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何とかする案② 方針ではなく、ビジョンを熱く伝える
部下が方針に関心を持てない理由には色々とあると思いますが、そもそも部下は方針よりも、その先にある組織の未来像に興味を持つのだと思います。
多くのミドルマネジャーは期初にビジョン(らしきもの)を提示していると思います。そのビジョンに問題があることが多いのです。例えば、
1.ビジョンをいつ(までに)実現したいのか、期限がない。だから、部下には「必ず実現したい未来」として受け取ってもらえない
2.期末に振り返りで、定量的な目標への振返りはする(達成率●%とか)が、ビジョンに関する振り返り(どこまでビジョンに近づいたか、見直しの必要性はどうか など)は一切しない。だから、「ビジョンなんて所詮はそんな程度のもの」という見方が部下に出来上がっている
3.そもそも期初の発表の際に、ビジョンを丁寧に語ることがない。つまり、部下の脳裏に「未来の組織の姿」を描かせるようなことを語りをしていない
いかがですか?
部下がビジョンに興味を持てば、「じゃあ、そこへどうやってたどり着くの?」と疑問を持ちますので、そこで方針の出番となり、話を聞く耳が出来上がるということです。
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何とかする案③ 独りで考えない
Q. 部や課のビジョンや方針は、ミドルマネジャーにしか考えられないものでしょうか。
A. 決してそうではないはずです。部下だっていいアイデアを持っていますよ。
Q. 部や課のビジョンや方針は、ミドルマネジャーが独りで考えるべきものでしょうか。
A. 決してそうではないはずです。部下は一緒に考えたいと思っていますよ。
部や課のビジョンや方針をメンバーと共に考えるって、楽しそうに思いませんか?もちろん、会社や上位組織の掲げるビジョンや方針とのアラインメントを意識して、話し合いをリードする必要はありますので、ミドルマネジャーの役割は大切です。
皆で話し合って決めるからと言って、部下からの信用が落ちるわけでもありません。
むしろ最近、シェアード・リーダーシップという概念が注目されています。文字通り、リーダーシップをシェアする、チーム全員がリーダーシップを発揮するということで、これからの時代にあった組織運営の在り方のようです。やってみませんか?
参考書籍:堀尾志保・中原淳 著『シェアード・リーダーシップ』日本能率協会マネジメントセンター 2024年 (→ 読書感想をブログに書いています)
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今日は方針に関するお話をしました。
方針が「期初に発表される、検討期間が長いわりに、誰の記憶にもされず、意識もされない文章」で留まらないように注意したいものです。
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