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読書感想:世界最高のリーダーシップ

図書館
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演じることは偽ることなのでしょうか・・・・。

仕事でご一緒している、ある大学の先生から紹介されて読んだ本を皆さんにも紹介します。

著者は、ハーバード・ビジネススクールの教授(フランシス・フライさん)と人気リーダーシップ・コーチ(アン・モリスさん)。両名とも、初めて知った方でした。

私見ですが、海外の方の語るリーダーシップ論には、どこか違和感を感じることが多いのですが、この本の内容には強い違和感を覚えることなく、果たして今の自分はどうなのかと考えさせられることの多いものでした。

以下は私の感想です。日本のミドルマネジャーの皆さんへの示唆になりそうなことを書いていきます

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「不在のリーダーシップ」

私は、海外の方が書いたリーダーシップに関する文献を読むときは、リーダーシップの定義を気にしています。この本におけるリーダーシップの定義は、

他者をエンパワーすること

ごちゃごちゃしてなくて明快ですね。

そして、自分がいるときも、いないときも、他者の才能を解き放つのがリーダー(55ページ)と言っています。

応援団長
応援団長

自分がいるときの「存在のリーダーシップ」、いないときの「不在のリーダーシップ」の2つの部(第1部、第2部)に分けて、内容は書かれています。

相手(主に部下)に対して、直接的にどのような働きかけを行うかといったことをこの本では「存在のリーダーシップ」と言っています。

一方、「不在のリーダーシップ」とは、「戦略」と「文化」が関係するみたいなのですが、この2つの見えない力が、組織を形づくり、他者をエンパワーする(33ページ)と書かれています。

この点を読んで思ったのが、

応援団長
応援団長

自分は、「戦略」を通して相手(部下など)に影響を与えようという意識は薄いのかもしれないなぁ

ということです。皆さんはいかがですか?

この本のリーダーシップの定義である ”エンパワー” には権限移譲(委譲)という意味がありますが、部下が自ら(組織が持つ判断軸に則って)考え、意思決定するために、リーダーは、

組織のビジョン、価値観、戦略を反映した選択をする環境を整えること

(21ページ)が必要な役割だと言っています。

確かに、組織ビジョンや戦略、更に言えば価値観や行動指針までが部下にちゃんと理解され、それが個人目標にまでつながっていれば、いちいちマネジャーに伺いを立てることも少なくなり、正しい判断をしてくれる気がします。(マネジャーも相談の時間を取られずに済むのでハッピー)

皆さんの部下は、組織のビジョンや戦略をちゃんと理解してくれていますか?この問いは、我々が「不在のリーダーシップ」を発揮できているかどうかの1つの判断基準になりそうです。

スマホを置け

これまでのリーダーシップ論と同様に、この本でも ”「信頼」はリーダーシップに欠かせない資本(62ページ)” と言っています。そして、その資本を蓄積するための ”基本的な公式” として、

第一に、本当の自分を出していると感じられる人(オーセンシティ)
第二に、判断力や能力が当てにできる人(ロジック)
第三に、自分のことを気にかけてくれると感じられる人(共感)

と整理しています。三番目の「共感」に関して、著者らは

なんでもいいから、とにかくスマホだけは下に置きなさい

とアドバイスをしています。それだけで周りのあなたに対する信頼度は急上昇するとのこと。

応援団長
応援団長

なんとなく分かる・・・・・

部下への姿勢として注意したいところです。特にオンラインでの面談では、コソっと手元のスマホを覗き見ることができますね。しかし、この「コソっと」がバレているのかもしれません。つまり、部下は「あっ、マネジャーは私の事に集中していないな」と思っている・・・。

皆さんはいかがでしょうか?そんなことないですか? 私は反省です。

マネジャーを演じることはダメなの?

この本の前半で、納得しづらかったのは以下の文章でした。

私たちは、何かを隠している人、本当の自分を出さない人を信用しない

(84ページ)

「つくられた自分」を見せているのであれば、周りの人との間に見えない壁ができてしまうだろう

(82ページ)

上記した、信頼の資本を蓄積するための第一条件(オーセンシティ)に関することです。

応援団長
応援団長

本当にそうだろうか・・・。これはキレイごと過ぎないだろうか。マネジャーって、演じることも時には必要なんじゃないのか・・・

皆さんはどう思いますか?

ミドルマネジャーの立場からすれば、会社が出すビジョンや戦略を理解はすれど、心底コミットしていないことだってあると思います。自分なりの見方や思いがあり、会社のビジョンや戦略に納得いっていないことだってあるのではないでしょうか。

そのような状況で、例えば、皆さんが部下に対して、

「会社のうち出した戦略を、俺はズレていると思うんだ。でも、上がやれって言うからやらなきゃいけない。まあ、皆でやっていこう」

と言ったとします。部下はどう感じますかね。おそらく「頑張ろう」という気にはなりませんよね。それでも、マネジャーは本当の気持ちをさらした方がいいのでしょうかねぇ。

応援団長
応援団長

マネジャーは、時として、部下や組織のために演じる必要があると思います。それは偽っているつもりでもないですしね。

虚勢を張ったり、自分の利得のために相手をだましたりするのは論外ですが、だからといって、何でもかんでも素の自分をさらけ出してOKというのは、プライベートの友達関係なのではないでしょうか。

皆さんはどうお考えになりますか?

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今日は『世界最高のリーダーシップ』という本を読んでの感想の一部を書いてきました。まだまだ皆さんに投げかけてみたい点がありますので、気が向いたら続編を書きます!