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キャリア自律を支援できるマネジャーに(その3)

career キャリア開発支援/キャリア面談
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キャリア面談の目的をいま一度示すと、現在多くの企業において、経営マターともなっている「キャリア自律」を促進するためである。(関連ブログ

マネジャーと部下で話し合い、部下が今もこれからも持続的に価値発揮できるように自己課題を考える場、それがキャリア面談である。

キャリアを考えるなら、Will・Can・Must というが(関連ブログ)、マネジャーは、それらをキャリア面談でどう使いながら話を進めればよいか。Will、Can、Must について3つ同時に取り上げるのでなく、2つずつ取り上げて考えていくとよい。

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Can で考えさせること

例えば、Can と Must を取り上げて考えてみる。(Will は脇に置いておく)

ちなみに、キャリア面談で取り上げる順は、Can、Must、Will が良い。時系列で考えられるからだ。

ということで、まず”Can を考える”。過去の仕事経験から「できること」を洗い出す。社会人スタートから今日現在までの仕事(所属部署、担当業務)を、部下自身にできるだけ細かく時系列に書き出させてみる。

次に、担当していた各業務でどんなことができるようになったか/どんな能力を発揮していたかを考えさせる。職種特有の専門知識を生かしたことでもOKだし、「後輩を〇〇ができるように指導した」とか「エクセルでマクロを組めるようになった」とかいった職種によらないことでもOKである。

余談:事務系より技術系の職種のほうが「できること」が具体的な表現で、数が多くあがる。

”Can を考える”際に、単に「できること」を挙げさせるだけでなく、何をやっているときにモチベーションが高かったか/低かったかを聞いてみることも重要である。

部下の大事にしているものや価値観が見えてくる。これは、このあとMust や Will を考える際の大切な要素になる。

Must で考えさせること

”Must を考える”とは、現在の業務・役割を果たすために「せねばならないこと」を洗い出すこと。キャリア面談では、今の担当業務や、組織から期待されていること(役割)を挙げてさせてみる。

次に、担当業務や期待役割を果たすために必要な行動や能力を部下に挙げさせてみる。部下からアイデアが出てこないような場合には、マネジャーが「こんな行動/能力はいるんじゃないの?」と振ってみても構わない。

現在の仕事に関して、Can で聞いた「大事にしているもの・価値観」は満たされているかを聞いてみるのも良い。

いまやっている仕事に、自分では気づいていなかった価値や意味を発見できるかも知れない。

Can と Must を並べてみると、短期的な能力開発課題が見えてくる

上記した工程を経て、Can と Must を並べてみると、何が見えてくるか。それは、短期的な能力開発課題 が見えてくる。

過去に培った Can によって対応できている現在の業務・役割もあれば、現在の業務・役割を果たすには欠けていること(書き出した Can の中に含まれていないこと)もある。

現在の業務・役割をきっちり果たすため、どんな行動をとれるようにするか/どんなことをできるようにするか、これが部下の短期的な能力開発課題になる。

Can で洗い出したことに含まれてはいるが、現在の業務・役割をしっかりと果たすためには、レベルを高める必要があるという観点もある。これも短期的な能力開発課題である。

Will を絡めると、中長期的な能力開発課題が見えてくる

Will、Can、Must の2つずつを取り上げて考えるといったが、Can と Will 、Must と Will の組み合わせについても、上記のように考えてみていってほしい。 Can と Will の組み合わせ、Must と Will の組み合わせ、これらはいずれも(短期的ではなく)中長期的な能力開発課題が見えてくる。Will の実現に向けた能力開発課題である。

部下とのキャリア面談をどう進めるか悩んでいたマネジャーには是非やってみてもらいたい。

キャリア面談について、マネジャーの皆さんからこんな質問をもらうことが多い。

*将来にやりたいことが特にないと言う部下とはどんな話し合いをすれば良いか
*キャリア面談をすることで、優秀な人材が「転職を考えている」を言ってきたらどうするか

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次回、その点について書こうと思う。(次回ブログへ