マネジャーとして、部下のキャリア自律を支援する・・・どうすればよいか。
キャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントといった資格がある。
が、現場のマネジャーの多くはそういった資格をもっていないし、日常においてキャリア自律の支援ばかりやるわけではないので資格を取る必要はない。
ただし、マネジャーとして、この点は知っておいたほうが良いということはある。順に紹介する。
1.キャリアを考えるとはどういうことか
キャリアとは、簡単に表現すると ”経験(の連続)” のことである。
もし部下に「キャリアについてどう考えているの?」と聞くと、「〇〇部で働きたい」とか「課長になりたい/なりたくない」とかいった答えが来るのではないか。
キャリアを考えることは、異動や昇進のことを考えること・・・ばかりではないのである。
2.キャリアを考えるには、過去のことが重要
更に言えば、キャリアを考えようとすると、今日を始点にして、どうなりたいか?/どうしていきたいか?と、未来へのベクトルのことだけ考えたりしていないだろうか。
キャリアを考えるうえで、未来と同じくらい、過去のことを考えることは極めて重要である。
キャリア面談を制度化している企業が増えているが、部下との面談で未来のことばかりを話題にしていないだろうか。
あなたの「今」をつくったのは過去の経験。現在の業務をこなせているのは過去に身に着けた武器があるから。現在のあなたが仕事に対して満足や不満をもっているのは、過去に培った仕事上の価値観が起因しているから。将来の見通しに期待や不安を持っているのも、きっと過去に起因していることがあるはずである。
つまり、過去は無視することのできない、今とこれからを考えるうえで極めて重要な要素である。
部下とのキャリア面談では、ぜひ過去の話を聴いてみてほしい。
*どこ(の部署)で、どんな業務を担当していたのか?
*そのとき、どんな経験をしたのか?
*楽しかった仕事/役割は?それはどうして?
*辛かった仕事/役割は? それはどうして?
部下について知らなかったことが知れたり、部下にとってモチベータ(やる気スイッチ)が見えてきたりする。部下自身も、自分の経験が整理でき、今とこれからを考える際のヒントになる。
3.キャリアの定番 Will・Can・Must
キャリアに関して知識のある人であれば必ず知っている「Will・Can・Must」というフレーム(枠組み)。Willは「今後やりたいこと」、Canは「できること」、Mustは「せねばならないこと」を表している。
キャリアの大家である エドガー・シャイン先生が唱えられたとされているこのフレームは、キャリアを考えるうえで使われている。キャリア研修の中でもよく出てくる。
Will・Can・Must は、時系列に整理できる。
*Can は過去(の経験を通じてできるようになったこと)
*Must は現在(の仕事でやらねばならないこと)
*Will は未来(にやってみたいこと)
キャリア面談での具体的な使い方だが、まずは部下の Will、Can、Must を明確にする(書き出してもらう)。この作業は面談前にやってきてもらうのが効率的である。そして、それらを踏まえて、話し合いながら部下のキャリア目標を設定する・・・・・・。
言うのは簡単だが、多くのマネジャーは「面談はうまくいくかなぁ?」と思うのではないだろうか。実際にやってみるとなかなかうまくはいかないのである。キャリア面談のやり方に悩むマネジャーは本当に多い。
なぜか?どうすれば良いか?・・・次回に続く(次回ブログへ)
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