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キャリアジリツ、皆がどこまで本気なのでしょうか

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大企業に長年勤めている人達から、

という戸惑いの声が聞こえてきそうな昨今ですね。

これまでの会社生活において、社命による異動により、その都度現場で経験学習を積んできた方々にとっては、”ジリツ” という言葉はセンセーショナルなんだろうと想像します。

これまで、会社に言われるがままに(不本意ながらも)従ってきたのに、いまさら「キャリアは自己責任だ!」とか「自分のことは自分で何とかしろ!」とかいって急に突き放されても、どうせーっちゅうねん、と感じてしまうのも無理ないですね。

”キャリアジリツ” と似た概念として ”キャリアオーナーシップ” があります。

”キャリアオーナーシップ” とは、一般的には、『個人が自分の「キャリア」に対して主体性(=オーナーシップ)を持って取り組む意識と行動』のことを言っているようです。(→ 関連サイト:はたらく未来コンソーシアムへ

ですので、会社が従業員に

ではありません。

会社が持続的な成長を図っていくためには、激しさを増しているビジネス環境に適応していく必要がありますので、それに合わせて従業員の皆さんも、”自分で考えて(精神的に独立して)”、会社の変化に適応してね、と言っているのであって、退職してねとか、独立開業してねと言っているわけではありません。

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そのように考えますと、ここまではカタカナで ”ジリツ” と書いてきましたが、漢字を当てると ”自立” ではなく ”自律” のほうですね。

”自律” の意味は、

自分の行為を主体的に規制すること。
外部からの支配や制御から脱して、自身の立てた規範に従って行動すること。
(広辞苑より)

となっています。

ということは、”キャリア自律” と言われて戸惑っているということは・・・・・

という状況なのでしょうか。(  )内は、こんなセリフを言いそうかなと想像してみたものです。

新人・若手社員ならまだしも、中堅・ベテラン社員が上記のような状況であれば、本当に困ったものですね。もし、こんな人材が多くを占めるような会社であれば、その行く末は言わずもがな、ですね。

ビジネス環境にずっと適応しそびれている会社、言わば ”泥船” に乗船し続けるか否かを決めるのも、当然のことながら「自分で考えて判断」し行動せねばなりません。

多くの会社は何とか生き延びようと努力し、環境変化に適応しようとしているはずですから、その変化に自分も適応する(乗船し続ける)か、他社へ移る(下船する)かを選択しなければ、仮にそのままの状態で居続けることができたとしても、社内での評価・処遇は下がると考えるのが普通ではないでしょうか。

ビジネス環境が変化し、会社が生き残りをかけてそれに適応しているのに、そこではたらくことを(結果的にかもしれませんが)自己選択している人が何も変わらなくていいはずがありません。

ところが・・・です。

人手不足の時代です。会社は人材の獲得や引き留めに必死です。多少問題のある人材であっても、居てもらわないと日々の業務が回せないという状況なので、ついつい「甘やかし」ともいえる評価や処遇をしてしまいがちな状況です。

その「甘やかし」に乗じて、いつまで経っても変化に適応しようとしない人材が跋扈する会社の行く末を想像してみてください。若手社員はそんな様子をみて、どう感じるでしょうか・・・。

よく言われることですが、変革には痛みが伴うものですし、「反発や抵抗のない改革に意味はない」といったようなことを司馬遼太郎さんの小説で読んだことがありますが、キャリア自律を本当に促進するには、全ての立場の人にかなりの覚悟が必要だと思います。

例えば、

経営者は
*財務数値が一時的に下がる覚悟
*ステークホルダーから文句が出る覚悟
*従業員が(一時的に)減る覚悟  など

管理職は
*部下に変化を求める覚悟
*部下に(厳しい)フィードバックを提供する覚悟
*自らも変化する覚悟

*上層部のおかしな判断・指示へ文句を言う覚悟  など

従業員は
*過去の自分と決別する覚悟
*新しいことに挑戦する覚悟  など

それぞれの立場に相当の覚悟がなければ、それぞれが保身に走ったり、それぞれに相手への遠慮が生じたりして、結局は何もしないよりひどい状態になる可能性を感じます。つまり、混乱とリソースの浪費を招くだけの施策になります。

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キャリア自律を謳っている会社、管理職、従業員にどれだけの覚悟があるのか。ないのであれば、いかに覚悟させるか。耳障りの良いメッセージ、心地よいメッセージ、どこか表面的なキレイごとを言っているメッセージでは、従業員に覚悟は絶対に伝わりません。

現場がざわつかないメッセージでは変革は進まないと思います。

応援団長
応援団長

厳しい現実と共に、目指す(明るい)未来を示すことも同じだけ大切ですね