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リモートワーク下のマネジメント_2冊目(読書感想⑦)

bookshelf 1on1
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リモートワーク、テレワークといった状況下における組織マネジメントに関する本は、ここ2年間で多く出版されている。その中で、私にとって納得感のあったものを以前に紹介した。(関連ブログ

今回紹介するのは、私が所属している会社のシンクタンク部門が行った調査データを用いながら書かれた本で、組織マネジメントに関することが網羅的に書かれている。

高橋 豊 著『テレワーク時代のマネジメントの教科書』ダイヤモンド社 2021年

2020年3月頃より多くの企業でテレワークが導入・実施されてきたが、パーソル総研ではテレワークに関して継続的に調査を行い、情報を発信してきた。

その中には、現場のマネジャーに役立つと思われる情報も多くあり、ぜひ見てもらいたい内容である。(関連サイトへ

この本より、調査結果からわかったことで、印象に残ったことは以下の通り。

① テレワーク下では、部下よりも上司のほうが不安を抱いている

テレワークだと、人の仕事ぶりは見えない。部下からすると「ちゃんと評価してくれるだろうか」とか「公平・公正に評価してもらえるか」といった不安を抱えている。

一方、上司側も不安はある。「業務の進捗状況がわからない」、「トラブルが起こってはいないか」、「労働時間が延びていないか」などなど。

実際にこんなことがあった。

テレワークを導入したA社では、導入数か月後にテレワークに関する社内アンケートを行った。結果は・・・

部下側は、上司とのコミュニケーションに関する不満や不安はほぼゼロ。テレワークの環境をポジティブにとらえていた。上司側は、部下とのコミュニケーションに関する不安を半数以上のマネジャーが挙げていた。

つぶやき:テレワーク下における、従業員の孤独感や孤立感が取りざたされているが、マネジャーのマネジメント不安にももっとフォーカスし、手当てしたほうが良い。

② 経営理念が浸透すれば、テレワークが成功する!?

テレワーカーの組織コミットメント(※)に圧倒的に好影響を与えているのは、「個人への経営理念の浸透度」!??
※組織コミットメントとは

テレワーカーの方が出社者よりも経営理念を理解し、共感して行動している!??

つぶやき:自社の調査ながら、この解釈にはどうもしっくりこない・・・。 テレワークを導入している企業は大手が中心であろう。私の印象では、大手企業は中堅・中小よりも自社の理念やビジョンに触れる機会が多い印象がある。なので、こんな調査結果になったのでは?

あと、経営理念の浸透がテレワークの成功につながるという因果関係には無理がないか?せめて相関関係くらいに言っといたほうが。

かといって、組織マネジメント上で理念が大切なことには変わりない。なぜなら、普段の意思決定の軸になるものだから。

理念の大切さ、現場でどう活用するかはまたの機会にブログに書こう!

③ 上司の観察力が大きなカギ!

「上司の観察力」のテレワーカーと出社者への影響に関しての調査データ。

「上司の観察力」が高いと、部下が上司に ”ちゃんと見てもらっている感” を得ている状態を表している。

高いと、部下がテレワーカーであろうが、出社者であろうが、大切なことにポジティブな影響を与えているようだ。

どんなことにかといえば、部下のパフォーマンス、評価への納得度、継続就業意思に対してである。

つぶやき:自分から部下を観察しにいかなければならない。そりゃそうだ。
でもテレワークでは、目の前に部下はいない。観察しづらいことに間違いないが、例えば、オンラインで1on1を行うとき、内職しながらやるのは厳禁だ。せっかく部下の表情や態度を見られる機会。それを逃してはいけない

でも、顔出しを避ける部下がいる・・・・。

強制はできないが、「できれば顔を見ながら話をしないか?」と提案してみることだ。「ずっとでなくてもいい。開始の5分でいいから」とハードルを下げてあげるのも一案。

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この本や、紹介したサイトの調査データを見てみると、マネジメントに役立つ情報が書かれている。

当たり前だが、データがマネジメントの答えを示してくれているわけではない。我々が考えるためのヒントをくれていると思って読まないと。