「人材育成・組織開発を考える部屋」にもお立ち寄りください!

ジョブ型に関する本_その2(読書感想③)

bookshelf 図書館
この記事は約3分で読めます。

前回紹介した本に引き続き、今回も ”ジョブ型” に関するインプットを増やすための本です。

今回読んだのは、湯元健治・パーソル総合研究所 編著 『日本型ジョブ型雇用』日本経済新聞出版 2021年。(自分の所属組織が出版した本)

前回(前回ブログ)取り上げた本(『人事の組み立て』)の中で、編著のパーソル総合研究所への批判がなされており、この本はそのメッセージへのアンサー本のように思えた。

私の感想としては、 ①情報(やデータ)が満載。読み応えあり ②実務的 というものです。(ひいき目は抑えています)

前回紹介した『人事の組み立て』と一緒に読むと、”ジョブ型” とは何かが立体的に見えてきた。以前に、あるテーマのことを理解したければ、最低3冊は専門的な本を読め!と言われたが、この2冊はその3冊の中に入れてよいのではないか。おすすめ!

**************

私の印象に残った点

①日本のキャリア発達のあり方・・・「学び」の姿勢に影響

日本の慣行である ”異動” 。数年後にはどこの部署で働くか、勤務地はどこか、さっぱり分からない。こんな状況が長く続けば、中長期的なキャリア計画は大きく阻害される。(中略)キャリアの不安定さは、「学び」への姿勢にも影響する。

(つぶやき)
日本のビジネスパーソンは先進国で一番学ばない(NEWSPICKS/人生100年時代の大人の学び 関連記事)とか、アジアで最も勉強しない(Benesse/アジアで最も大人が学ばない日本で「学歴よりも学習歴を」。ベネッセが目指す学びとは 関連記事)とかいった結果は、異動が多分に影響しているよなぁ。

キャリア面談を実施しても、異動が人事制度に残っていれば、キャリア自律はなかなか進まないんだろうなぁ。

②マーケットが成熟して成長が鈍化した経営環境で打つ手は、従業員にとっては不利になるシステムと映りがち

”ジョブ型” へ移行する際に、より一層根気強くメッセージを発信し続けて、運用主体である現場のマネジメント層を中心に腹落ちさせることが命綱となる。

(つぶやき)
経営や人事の施策を徹底させる肝は現場のマネジャー。なんでもかんでも肝はマネジャー。が、マネジャーはスーパーマンではない。メッセージの発信元(経営陣)は、もっとマネジャーを助けてほしい(と個人的は強く思うことがある)。

経営陣は、会社にとって不都合な事実(「このままの人事制度では、会社の持続的な成長は困難。シビアな施策を取らざるを得ない、など)でも、従業員を信じて、誠実にすべて伝えてほしい。言葉を濁して伝えるから、手段(ジョブ型への移行)が目的のように映ってしまい、現場から反発や不満が出るのだろう・・・。

③ジェネラリストは「なんでも屋」ではない。「経営のプロ」というスペシャリストを目指す人たち

(つぶやき)
ミドルマネジャーは「管理のプロ」。課長クラスは、本の中でも言っているが、「ピープルマネジメントのプロ」だ。コーチングやフィードバックを武器として、部下のパフォーマンス発揮を支援することが役割。

世の中の大手企業であれば、これまでにコーチングやフィードバックと名の付く研修は、すでに現場のマネジャーに実施しているだろう。だが、効果的に使われているケースはどの程度あるだろうか。怪しい・・・。

研修を企画・提供する側にも改善点はあるが、受講側の我々マネジャーにも改善点はあるな。「忙しい」を理由に、学びを放棄していないか。よし、「忙しい」を言い訳にしない覚悟を持とう!