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読書感想(24-7):リーダーシップ・シフト

crop faceless woman reading book on bed 図書館
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この記事は約5分で読めます。

直近5年間で読んだリーダーシップに関する本の中で、個人的に得るものが多かった本は、

高橋潔 著『ゼロから考えるリーダーシップ』東洋経済新報社(2021)

です。このブログでも感想を書いています(→ 当該の記事へ)。

高橋先生は、この本の後半(175~180ページ)に「リーダーシップをシェアリングする」として、”シェアド・リーダーシップ”という概念をご紹介されています。

興味深い内容であったのですが、短い文章でしたので「ふ~ん」といった感想で終っておりましたが、今回、その”シェアド・リーダーシップ”に関してより詳細に書かれた本を読みました。

堀尾志保・中原淳 著 『リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ』日本能率協会マネジメントセンター(2024)

とても理解しやすく、実践的な内容でした。

本日は本の内容に関連させながら3点について書きます。

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1.少し先の未来をイメトレ

チームの各メンバーがリーダーシップを発揮しているチーム(全員活躍チーム)を創るための、具体的な5つのSTEPがこの本に具体的に書かれています。

STEP1は「イメトレしてはじめる」です。イメージトレーニングです。

Step1ですから、マネジャーとして、まず、

応援団長
応援団長

①~③の中で、②のチームメンバーの活躍ぶりの未来像を描くという点は「通常のリーダーシップ本にはない観点だな」と思いました。

リーダーシップに関する本でも「ビジョンを描きましょう」とは謳っていますが、それは上記の中で言えば、①のことが圧倒的に多い気がします。

確かに事業・仕事だけでなく、チーム全体や各メンバーの活躍を、まるでプロジェクターから映写されているイメージのように、自分の頭の中に描き、チームメンバーの頭の中にもそれを共有し、共感を得ることができればいいですね。

イメトレするのは1年後(短期)ではありませんよ。少し先の未来(3年先)です。

ここ最近、このブログでしつこく言っているのですが、マネジャーは、単年度思考は卒業しましょう!

2.何度でも繰り返す

これは、全員活躍チームを創るための5つのSTEPのうち、STEP2で言われていることです。「チームとして大事にしたいこと」を徹底し、チーム内に安心安全をつくることが目的のようです。

「チームとして大事にしたいこと」を発表するマネジャーは結構いますが、私の個人的経験を言えば、

が結構多いのではないでしょうか。

マネジャー自身が本気で大事にしたいと思っていないのか、「一度言えば理解してくれるだろう」とメンバーの受取り方を甘く見ているのか・・・。

とにかく、チーム内に安心安全な状態を創るために「チーム内の決め事」を用意する際は、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、あらゆるメディアやツールを活用しながら、あらゆる場面を使い、決め事がメンバーの目や耳に触れる機会を用意することです。

応援団長
応援団長

まったく同意。この点は、「チーム内の決め事」に限らず、「組織ビジョン」や「部下への期待」なども同じく、繰り返しの伝達が重要だと思います。

3.ともに方針を描く

全員活躍チームをつくる5つのSTEPのうち、Step3は「ともに方針を描く」。

これを聞いて、マネジャーの皆さんはどう思うのでしょうか・・・。

Aマネジャー
Aマネジャー

方針を立てるのはマネジャーの役割であり、責任だ。メンバーを巻き込むなんてあり得ない!

とか。他にも、

Bマネジャー
Bマネジャー

方針作りに部下を関与されると、マネジャーとしての存在価値を失う気がするなぁ

とか。あるいは、

Cマネジャー
Cマネジャー

部下も多忙だから、方針作りに時間を取らせるのは酷だな。労働時間の制限もあるし。

とか。もし、こういった思考をお持ちな場合、一度脳みそを溶かしてみてはどうですか?良いことのほうがいっぱいある気がします。例えば、

などです。マネジャーも組織をマネジメントしやすくなると思いますよ。

Dマネジャー
Dマネジャー

うちの部下はそんな話には乗ってきませんよ。面倒臭がるだけです。

本当にそうですかね?

誘ってみないと分からないですよ。マネジャーが主旨や想いをしっかりと伝えれば、全く誰も乗ってこないということはほぼないと思いますけど・・・・。

※ 集まって話し合う際の、具体的な方針作りの方法(ポイント)は本に書いてあります(179~200ページ)ので、ここには記載いたしません。

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今日は『リーダーシップシフト』に書かれていることをヒントに、3点書きました。

この本はほんとに具体的で実践しやすい本です。エビデンスをもって語られているので説得力があります。

応援団長
応援団長

オールド・ファッションなリーダーシップ概念を今だに引きずっている経営層・マネジャー層には是非読んでいただきたい本です。