かなり主観的、感覚的な物言いではありますが、私は、
男ばかりで集まっても「なんだかなぁ~」という場になることが多い
と思っています。同じ組織に所属する男ばかりの集まりだと尚更そう思います。
男同士の「友人の集まり」であれば、何かをクリエイトする必要も、成果を出す必要もありませんので、お馬鹿な話をして、楽しくダラダラとした時間を過ごせばいいと思っていますが、仕事となると話は別です。
男ばかり、ないしは男が大多数を占める集団は、今の時代、リスクしかないのではないでしょうか。その点については関連書籍が出ていますし、このブログでも本の感想を述べています。(→ 該当するブログへ)
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皆さんの会社では女性活躍に関する取組みが進んでいるでしょうか?
女性活躍推進法が国会で成立してから約10年が経過していますが、業種や企業規模、職種などにより、その進捗状況に開きが出てきている印象があります。
今回、人的資本経営に絡めて、女性活躍をいかに促進するかという内容の本を読みました。
堀江敦子 著『女性活躍から始める人的資本経営』日本能率協会マネジメントセンター(2024)
著者は女性活躍、ダイバーシティ推進に関するコンサルティングをやっておられる実務家です。本の構成は「理論編」と「実践編」に分かれており、「理論編」では先行研究や独自データなどを用いてわかりやすく書かれています。「実践編」では、実務家らしい、具体的な実践方法が記載されています。
今日は、この本に関する感想を書きます。
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女性管理職比率の高さが与えるポジティブな影響
女性管理職比率の高さは、今どきの風潮に合っているようです。
本の56~57ページに出ている「女性管理職比率の向上がウェルビーイングにポジティブな影響」という調査結果にこんなものがあります。(出典元:ピースマインド社, 2021年)
女性管理職比率が高くなると「人事評価に関する説明」「成長の機会」「キャリア形成・施策」・・・(中略)・・・という点に関して、職場環境がポジティブに変化した
とのことです。
中原・小林(2021)によると、「受けている評価に納得できない」というのは日本人が一般的に抱きやすい不満の第9位のようですので、それが改善されるなら、会社にとっても従業員にとってもいいことはないですね。
また、パーソル総合研究所(2020)※関連サイトへ によると、若手社員にとって「成長の機会」があることは継続就業意向(=この会社に居続けようという意思)に繋がるようですので、会社と若手社員の双方にとって嬉しいことですね。
キャリア形成・施策に関しては、パーソル総合研究所(2021)※関連サイトへ によると、会社にとっても、従業員にとっても意義や価値のある取組みと言えそうです。
他にも、女性管理職比率に関連して、以下のようなことがあるようです。組織風土に関するある調査の結果として、
女性管理職比率が高い企業ほど高く出ていたものが「公平性」と「連帯感」でした。(55ページ) (出典元:Great Place to Work®, 2019年更新)
従業員の扱いに「公平性」を感じられるかどうかは、従業員からすると重要でしょうし、「連帯感」を感じられるかどうかは、会社にとっても従業員にとっても重要なことですよね。
上記したいずれの点も「なぜそうなるのか」というメカニズムを検証したいところではありますが、女性管理職比率が高まれば、(年功序列・終身雇用・職能資格制度)×(日本人・男性・正社員)という世界で働いてきた人たちの常識とは異なる何かいいことを創造しそうな予感はありますね。
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5年目までのリーダー経験
特に5年目までのタイミングで、リーダー経験を行うことは、今後のキャリアを考える上でも想像ができ、管理職になることをポジティブに感じやすいと言えます。(113ページ)
女性に限らず、管理職になることをためらっている/避けている雰囲気が国内にはありますが、その中でも、女性はライフイベントと管理職登用の時期(年齢)が被りがちなため、余計に「私に管理職は無理」と思いがちのようです。この点は、小林(2024)も指摘しています。
「私には無理」という感情を解消したり、心理的負荷を軽減したりするために、若手の時期に、期待を伝え、ストレッチした役割を持たせることが有用なようです。
若手社員が女性かどうかにかかわらないとは思いますが、
*ストレッチな目標や役割を与えているだろうか
*他者をリードする経験を与えているだろうか
*将来への期待をきちんと伝えているだろうか
と振り返ってみてはどうでしょうか。特に、女性若手社員に対しては意図的にやっていったほうが良さそうです。
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ポジティブアプローチ
本の中で、キャリア意識などに関するヒアリング・インタビューに関する方法が書かれており、以下の2つのアプローチ方法が紹介されています。(220ページ)
1.ギャップアプローチ
2.ポジティブアプローチ
ギャップアプローチは、現在を起点として、「困ったな」という不具合からGAPを解消していく方法。一方、ポジティブアプローチは、実現したい未来「こうしたい」を起点にして未来を予測し、GAPを解消していく方法です。
困っていることに対してギャップを埋めていこうとする「ギャップアプローチ」が行き着く先は、マイナス部分が0になった「不具合のない状況」です。それも重要ですが、人が働き続けようと感じるためには、長期的なキャリアの展望がこの会社で見えるのか?ということも大きいです。その場合には、マイナス部分が0になるのではなく、その先の理想の未来が描けているかが重要になります。(220ページ)
確かにこの観点は重要と思います。
しかし、キャリア意識に関する現実のやりとりは、これまでキャリアに関して何も考えたことがなかった人を相手にするケースが多いので、「(キャリアに関して)何か困ったことある?」なんて、ギャップアプローチの質問を投げかけても、相手は答えに窮すると思います。
更に言えば、将来のことを考えたことのない相手に対して、いきなりポジティブアプローチで質問を投げかけても、相手は困ってしまう気がします。
以前にブログに書きましたが、キャリア意識の低い相手に関しては、いきなり現在や未来を聴くのではなく、過去の話から丁寧にキャリア観を紡ぎ取れるように促していくことが大切と考えます。(→ 該当するブログへ)
実際に、自分が上司としてキャリアに関する面談をした際に、過去から丁寧に聞いていくほうが相手は話しやすそうな印象でしたし、「なんだか頭の中がスッキリしました」という感想を複数もらったことがあります。
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今日は、書籍『女性活躍から始める人的資本経営』の感想を書きました。
全体を通して、とても読みやすく理解しやすく書かれています。女性活躍の機運に更なるドライヴをかけるためのヒントが埋まっていると思いました。
参考書籍① 中原・小林『転職学』KADOKAWA(2021)
参考書籍② 小林『罰ゲーム化する管理職』集英社インターナショナル(2024)
【個人的メモ】
*経営におけるDEIの位置づけ
*心理的安全性は、成功するチームが持つ5つの特性の中で1つ(でしかない)
*両立支援と活躍支援
*クリティカルマス
*同質性、ホモフィリー
*性別ごとの期待される役割
*インポスター症候群
*一人の若手社員を失うことの損失金額
*イノベーター&アーリーアダプター、3~5年
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