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読書感想(24-11):静かに退職する若者たち

opened book on purple surface 図書館
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この記事は約5分で読めます。

「部下との1on1の前に知っておいてほしいこと」をコンセプトに書かれた本、

金間大介 著『静かに退職する若者たち』PHP研究所 2024年

を読みました。

1on1にまつわる話題は、5年以上も前から人材業界が主催するイベントのあちこちで聞かれますし、関連書籍もたくさんあります。この本で書かれている内容は、1on1の相手が新人~若手社員の場合に限定したものです。

皆さんの中には、

マネジャー
マネジャー

新人や若手を相手にするぶんにはいいんだよ。本当に困っているのはベテラン相手の1on1なんだよなぁー

と思われる方がおられるかもしれません。が、この本を読んでみてください。私はこの本を読んで、新人や若手を相手にした1on1って、ベテラン社員相手よりも色々と気を遣うなぁと思いました。

以下は私の感想です。ご参考までに。

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ほめる・叱る

今の若者の心理を端的に表した項目の中に、

人前でほめられることが「圧」(226ページ)

と書かれています。更に、

集団の中でほめられると、自分に対する他者からの評価が上がり、期待されたり何かを任されたりするのではないかと思ってしまう。自己肯定感が低い若者にとって、これは恐怖でしかない(227ページ)

だそうです。

これまで、管理職研修に参加された皆さんから、

ほめるときは人前で。叱るときは個別に。

といった持論を聞くことが結構ありましたが、今は違うようです。今の若者は、自分の能力に自信が持てず、皆と横並びでいたいようです。なので、

ほめるときは個別で

だそうです。1on1のような場でほめるということでしょうか。

付け加えますと、「いかなる場合でも叱るなんてとんでもなく(254ページ)」と書かれており、叱ってはいけないようです。少し前にこのブログで書きました、”叱る”の持つ(負の)効用も合わせて考えますと、部下をマネジメントする際に、叱る言動は捨てたほうが良さそうですね。

マネジャー
マネジャー

叱れないなんてあり得ない。どうすりゃいいんだよ!

と思ったら、これもブログに書いていますが、まずは「前さばき」を丁寧にやりましょう。(→ 「叱る」や「前さばき」に関するブログ記事へ

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成果にこだわるのは止めてほしい!?

エン・ジャパン社の「1万人が回答!『上司と部下』意識調査」というアンケートの結果(2019年公表)から、著者はそのように書いておられます。

この意見は、今の若者(20代)に限らず、30代も、40代以上の社員も同じように考えているようです。つまり、Y世代どころか、X世代(1965年生まれ~1981年生まれ)もそう思っているようです。

ただ、私はこのアンケート結果に神経を尖らせる必要はないと思っています。

応援団長
応援団長

恐らくは、成果=財務的指標(売上・利益)と捉えての回答であって、売上至上主義に対する抵抗感のようなものなんだろうなーと思いますので。

なので、自分たちのミッション、社会への提供価値、顧客への貢献、それらを持続的に提供するために「なぜ適正な利益を毎期あげることが大切なのか」という点をメンバーにちゃんと説明していれば済む話ではないでしょうか。(もちろん、そのあとに言行一致していなきゃいけませんけど)

「仕事ばかりの人間にはなりたくない」とか「仕事人間はダサい」とかいった、昨今の風潮を強調するにはおあつらえ向きのアンケート結果になっていると思いました。

応援団長
応援団長

仕事なんだから、成果を出さないといけないことくらい、若者だって分かると思いますよ。要は、その伝え方が大切ということですね。

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成果や力量に対する定期的なフィードバック

日々のコミュニケーション全般を通して、上司や先輩が何よりも優先して鍛えるべきスキル、それがフィードバックだ(280ページ)

そうです。

日本能率協会さんが行ったアンケート(2022年度 新入社員意識調査)の中にある設問「部下が意欲や能力を高めるために上司や人事に期待すること」の回答結果をもとに書かれています。

著者はまた、同アンケートの結果から、キャリア自律やリスキリングを社員に促すための仕組み、例えば「能力開発の意欲に応じて研修受講が可能な環境づくり」や「誰でも多様な研修に参加できる環境づくり」はダメだ(効果は乏しい)と言ってます。それらは、先輩世代が作った、若者にとって押し付けがましい(おせっかいな)ものだそうです・・・。

そして、

日本能率協会のこの設問が秀逸だと思うのは、選択肢の異なる「業務上のフィードバック」ではなく、「成長や力量に対するフィードバック」としたことだ(282ページ)

と評価しています。若手社員が欲しいフィードバックは、彼・彼女らの変化・成長や、能力の発揮程度に対してのものであって、業務の出来・不出来に関するものではないようです。

著者はフィードバックに関しての原則をこう述べています。

①フィードバックはなるべく早く
②フィードバックを返すポイントは具体的に
③褒め言葉は「私」を主語とした形に
④ごく簡単な質問で終る
⑤軽めのフィードバックを頻度高めで

前提としては、1on1などで部下と成長目標に関して話し合い、そして彼・彼女らの日常をよく観察していないといけないですね。

応援団長
応援団長

やっぱりと言いますか、若手社員とはキャリアや能力開発に関する話し合いの機会を定期的に持たないといけなさそうですね。

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本の最後に「上司・先輩世代へ向けた5個の提案」が書かれています。提案の1つに、

「ちゃんとした上司」をやめよう

というものがあります(327ページ)。

若手社員は「ちゃんとした上司」「完璧な上司」を怖がるようです。「仕事って絶対に間違っちゃいけなものだ」と認識するから、間違いそうなことには、最初から手を出さなくなる(328ページ)そうです。

著者曰く、

失敗を見せよう。間違って、ずっこけて、慌てて挽回しようとしているところを見せよう。(327ページ)

このメッセージは、1on1という場のイメージではありませんね。

注意しないといけないのは、若手社員は上司や職場をよく観察しているという点です。マネジャーが先輩社員のミスを叱ったり、怒鳴ったりしているのを、若手社員はちゃんと見ています。

応援団長
応援団長

改めてになりますが、叱ること(ましてや怒鳴ること)は誰に対してもご法度な時代です。