何事につけて、自分だけで決める(決めたがる)ミドルマネジャーがいます。何を決めているのかと言いますと、代表的なものとしては、
*組織ビジョン、方針
*今期の組織目標と、それを達成するための施策
*エンゲージメント向上のプラン(施策・行動計画)
です。皆さんはいかがでしょうか。これらについて、独りで考え、独りで決めていますか?
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ミドルマネジャーの決めた内容は部下一人ひとりの仕事に関係するはずですので、それを部下に伝え、部下が正しく理解し、納得し、記憶し、粘り強く実行に移し、狙った(以上の)成果につなげてくれれば万々歳です。
しかし、そうなっていないケースが多いです。つまり、ビジョンや方針などを部下たちに伝えても、
*組織ビジョンや方針を記憶しない(覚える気がない)
*組織ビジョンや方針を知ってはいるが、納得していない
*今期の組織目標に対して納得していない → 目標達成へのこだわりや執着がない
*エンゲージメント向上は、会社や上司が頑張ることであって、自分が頑張ることではないと思っている
皆さんの組織はいかがでしょうか。少々極端な表現で書きましたが、このような状況、ありませんか。
こんな状況を察知したミドルマネジャーは何をするか。例えば、
■事あるごとに組織ビジョンを繰り返し語り、部下に意識してもらおうとする
■会議のたびに組織目標を持ち出し、達成率を示し、発破をかける
■ミドルマネジャーだけが奮闘し、エンゲージメントサーベイのスコアを高めようとする
けれども、状況は大して変わらない・・・・。もし、このような状況が皆さんの抱える組織にあるのであれば、私からひとつ提案があります。それは、
みんなで話し合ってから決めてはどう?
というものです。ビジョンも、方針も、今期目標も、エンゲージメント向上施策も、です。
相手から一方的に指示されたことよりも、自分で決めたことや、自分も決定に関与したことのほうがやる気が出るとか、忘れないとか、行動が継続するといった類いの話は昔からよく聞きます。
「決める」のがマネジャーの仕事だろーが! 私はそれで給料をもらってるんだぞ!
というお考えの人もいますかね。
部下たちと話し合った結果、最終的に「決める」のはマネジャーです。独りで考えて「決める」のを手放しませんか、という話です。
響かないメッセージづくり、興味の湧かない目標設定、熱量のない部下の行動、こんな状況をつくることに対して、会社はマネジャーに給料を払っていないと思いますよ
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部下と話し合うからといって、部下の意見やアイデアを全面的に尊重し、採用するというわけではありません。
部や課といった組織は、会社全体の一部であり、会社の掲げる目的・目標を達成するために大事な役割を担っています。ですから、それらとアラインしたものを自部・自課に落とし込む必要があります。
メンバーと話し合うときは、その点を意識して、組織として適切な結論にもっていくように、ミドルマネジャーは話し合いの場をファシリテートする必要があります。その役割はマネジャーが適任であり、マネジャーにしかできないはずです。
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エンゲージメントサーベイをめぐる、恐ろしい状況
マネジャーだけで集まって、エンゲージメントサーベイの結果を見ながら、あーでもない、こーでもないとたっぷり時間をかけて議論し、マネジャーの中だけで施策を決め、現場に下ろす。
現場からすると、サーベイ結果をじっくりと見る機会がないまま、施策だけが下ろされ、意味も価値も分からず、とにかくやらされ仕事だけが残り、定期的に進捗を管理される・・・。
こんなことを毎年繰り返している組織に待ち受けている未来はどんなものでしょうか。
*従業員はサーベイに回答するのが馬鹿馬鹿しくなる
→ データの信憑性がなくなる
→ 適切な施策が打てなくなる
→ 無駄な取組が増えて、大事な仕事にリソースが避けなくなる
→ 働き方や生産性に悪影響
→ 競争力の低下 → 企業価値の低下
*自分(たち)で考えるというクセが育たない
→ 自分で考えたい/決めたいという積極的な人材は社外へ流出
→ 居残る人材は縮小再生産、小粒化
→ 競争力の低下 → 企業価値の低下
暗いものになりますね。
サーベイを現場にフィードバックするときのノウハウが体系的に書かれている本(※)があるのですが、そこに「チーム・関係者全員で向き合い、問題の解決・解消をめざして話し合う」と書いてあります。
※ 中原淳 著 『サーベイ・フィードバック入門』 PHP研究所 2020年
解決策を独りで考え、部下たちに対して一方的にそれを「やろうぜ!」と言うマネジャー。こんなことをやめれば、組織が少しずつ生き返るんじゃないでしょうか。
いい考えやアイデアを持っている部下はたくさんいます。彼・彼女らを巻き込んで物事を決めるのは、独りで決めるより時間がかかりますが、決めたあとのマネジメントが相対的に楽ですよ。
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