人や組織を「動かす」ことって本当に大変ですよね。
ところで、「動かす」ということは、動かす ”方向” があるわけでして・・・・・まず、その方向はミドルマネジャーの個人的主観ではなく、組織として公式な方向であることが必要ですね。
公式な方向とは何でしょうか。それは、組織の掲げる
1.戦略、方針
です。そして、戦略や方針を遂行する上で、日常的に大切に(遵守)することとして、
2.バリュー、価値観
3.行動指針、行動原則
4.コンプライアンス基準
が制定されていると思います。これらも、その組織に属する者にとって正しい ”方向” になります。
では、”方向” の先に何があるのかといいますと、
5.ビジョン
6.中期目標
があります。組織として目指す到達点ですね。では、そのような活動を何のためにやっているのかと言えば、
7.経営理念、ミッション、パーパス
と呼ばれる、組織の存在目的を遂行するためですね。
ということは、ミドル(に限りませんが)マネジャーはメンバーを正しい方向に「動かす」ためには、これら7つの要素を深~く理解していなければいけないのです。
現実には、7つの要素間にある繋がりを体系的に学ぶ機会がないのではないでしょうか。
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多くの企業が「変革」という言葉を掲げていますね。
自社の従業員に向けて、”キャリア自律” とか ”キャリアオーナーシップ” という言葉を使い、キャリアに関する意識と行動の「変革」を求めていますね。つまり、
会社にキャリアを委ねるのはもう辞めましょう。これからは、自らで自分のキャリアを考え、行動していってください
と。
ミドルマネジャーとしては、メンバーがそういった ”方向” に変わっていくように「動かす」必要があります。”方向” を示さないまま、上司から「変われ!変われ!」とだけ言われても、メンバーからすれば「どこに向かって?」と考えますよね。
変わっていく方向は、上述しましたように7つの要素の中にヒントがあります。特に、戦略(や方針)に大きなヒントがあります。
戦略の中でも、自らの部門に関係する事業戦略に関する理解・咀嚼が必要です。そこには、中期的な視点で事業成長を遂げるために ”方向” が述べられているので、メンバーに対して、その ”方向” に持続的に貢献してほしい、そのために自己成長を図っていってほしい、そう伝えるのがメンバーに「変革」を求めること、つまりメンバーを「動かす」ことに繋がります。
もちろん、それは組織都合の ”方向” ですので、ミドルマネジャーが伝えたところで、メンバーが「私はそっちの方向には行きたくないです」と言うかもしれません。
その場合、「では、どっちの方向に行きますか?」を話し合えば良いと思います。避けなければならないのは ”方向” のない結論になることです。つまり現状維持・・・。
「現状維持は後退の始まり」という言葉がありますね。(→ PHP研究所のFacebookへ)
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ここで注意したいのは、「動かす」側(マネジャー)の意識です。
メンバーには「変われ!変われ!」と言っていますが、それを求めているミドルマネジャー自身は自らが変わるために何か意識していますか?ということです。よく言われる言葉として、
*他人を変えることよりも自分を変えることのほうが容易い
*他人を変えたいのであれば、まず自分を変えよう
といったものがあります。皆さんも聞かれたことがあると思います。
ですが、現実には、
変わろうぜ!私以外。
という状況が多いのではないでしょうか。ミドルマネジャー自身にそんなつもりはないかもしれませんが、実質的にそうなっていませんかね・・・。
ミドルマネジャーとして、事業戦略を推進するために組織・人材戦略があるはずです。その点を踏まえれば、自分のマネジメントスタイルを変革しなければならない点がきっとあるはずです。
例えば、キャリア自律をメンバーに求めるのであれば、まずはミドルマネジャー自身がキャリア自律しているかを振り返る必要があります。
イキイキと活力のある職場をつくりたいのであれば、メンバーにそれを求める前に自分がイキイキと活力のある働き方をしているかどうか、自分のマネジメントスタイルを「動かす」必要がないかどうかといったことを考えるのほうが優先ではないでしょうか。
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今日は「動かす」ということについて述べてみました。
マネジャーとして、組織やメンバーを「動かす」ために、組織体制をいじったり、メンバーの役割分担を変更したり、1on1ミーティングで個別に「動か」そうとする前に、自らの考え方・マネジメントスタイルを「動かす」ことを考え、宣言し、実践することが、組織を変えたい方向に「動かす」ための早道だと思います。
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