前回のブログで、私がマネジャー研修で出会った受講者の皆さんの意見をもとに、”良い上司” は部下に対して何をやっているかについて書きました。
その内容は、マネジメントの基本サイクルであるPDCA(PLAN-DO-CHECK-ACTION)でいうところの「D」、つまり期中の部下との関わり方に関する内容でした。(前回のブログへ)
今回は「P」、つまり期初に関わり方(目標を話し合うとき、仕事を任せるとき)に関する内容です。
ちなみに、前回示した「D」、今後書こうと思っています「CA」、それら2つと比較すると、「P」に関して出た意見の数は群を抜いていました。
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マネジャーの皆さんの意見を眺めてみると、部下と目標設定に関するやりとりをするとき、または部下に仕事を任せたいとき、話し合う項目としては、以下の3つが基本なのではないかと思いました。
1.なぜこの仕事が必要なのか/重要なのか(WHY)について
2.何をやるのか(WHAT)について
3.どんなやり方で行うのか(HOW)について
上記の各項目に関して、良い上司はどんなことをやっているかを順に書いていきます。
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WHY:仕事の目的・意義を伝える
マネジャーの皆さんから、こんな意見が挙がっていました。
* 客観的に意義の感じられる目標として説明してくれた
* 仕事の目的を示してくれた
* その仕事の重要性を説明してくれた
良い上司は、なぜこの仕事が必要なのか/重要なのか(WHY)をちゃんと説明しているようです。
そんなことをわざわざ言わなくても、部下たちは理解しているだろうと思っていませんか?
もしかすると、部下との認識にギャップがあったり、上司からちゃんとした説明を聞きたいと思っている部下がいたりするかもしれませんよ。
WHYを伝えることの重要性や価値は、サイモン・シネックさんの ”ゴールデンサークル” の話でも語られていますね。(→ 関連するyoutube画像へ)
庶務的なこと、定型業務をやってもらっている部下に、任せている仕事の意義や重要性を伝えていますか? やってもらって当たり前、なんて思っていませんか? ここも注意したいところです。
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WHAT:全体像やつながりを示す
次に、何をやっていくのか(WHAT)に関するものです。部下に任せたい仕事をどう示すか/伝えるか。マネジャーの皆さんからはこんな意見がありました。
* 全体像を示してくれる
* 具体的な方向性を示してくれる
* 会社~部~課~個人とつながりをもった目標設定になっている
* 部門のミッションを提示してから目標を示してくれる
* 課の目標を示してくれる
* 目標を単純化し、分かりやすく伝えてくれる
やはり、「●●くん、この仕事をよろしく頼むね!(以上)」ではダメだと言えそうです。
組織目標と部下に任せたい目標(や仕事)がどう繋がっているのかをちゃんと示すことがポイントのように思えます。
部下も組織の一員です。組織全体として達成したい目標があり、そのために一部の役割を部下に担ってもらうわけですので、その認識を持ってもらう意味でも、組織目標と任せたい仕事のつながりを理解してもらうことは大切です。
つながりを示すことで、部下は
*自分という存在は所属組織から必要とされている!
*自分の頑張りが組織成果に関係しているんだな!
と感じられ、それが部下のモチベーションに良い影響を与えるといったメカニズムが成り立つ・・・。
これって、名古屋商科大学大学院の高木晴夫先生が『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった一つ』という本で書かれていることなんですよね。一読の価値ありますよ。
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HOW:裁量を与える
上記したWHATに関するものと同じくらい、マネジャーの皆さんから多くの意見が挙がっていたのが、どんなやり方で行うのか(HOW)に関するものでした。こんな意見が挙がっていました。
* 個人に大きな裁量を与えてくれる
* 能力を信じて任せてくれる
* 部下のやりたいことを積極的に取り入れてくれる
* 目標だけを指示される(あとは任せてくれる)
* 大目標を落とし込む自由度と時間を与えてくれる
* こちらの案を受け入れてくれる
* 「この仕事をやってみないか?」と自主性を重んじてくれる
* 権限を与えてくれる
以前にこのブログでも書きましたが、モチベーションに関するセオリーのひとつである ”職務特性論” では、モチベーションに影響を与える要素のひとつにとして「自律性」という名称で ”裁量” に関するものが挙がっています。(→ 職務特性論について書いた記事へ)
どうやらHOWは、部下自身に考えさせ、決めさせるほうが良さそうです。HOWまで上司に細かく指示・指定されると部下のやる気を削いでしまう・・・。
前回の「D編」でも書きましたが、多くの部下は
好きにさせてほしい。邪魔をしないでほしい。困った時だけ支援してくれたらいいです。
が基本スタンスなのかもしれません。
新人や若手のような経験が不足している社員は、裁量を与え過ぎるとかえって困ってしまうことがあるかもしれませんので要注意です。
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今回は、良い上司は部下とどう関わっているのかについて、PDCAの「P」について書きました。
上述しましたWHY、WHAT、HOWに関する内容以外にも、まだまだ参考になる意見がありますので、次回も「P」について書いていきます。
2月や3月が決算期という会社であれば、まもなく期初の目標設定を行われると思います。きっと参考になる情報があると思いますよ。次回もお楽しみに!
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