明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。
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”ウェルビーイング(Well-being)” という言葉を聞かれたことはありますか?
以前にもこのブログで紹介したことがある(→ 該当記事へ)のですが、国内での知名度はまだまだ低いままです。が、欧米(の経営)ではそこそこ知られている用語のようです。
ウェルビーイングとは、日本語では、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉(→ 「日本の人事部」さんのサイトへ)ようです。
”幸福” と聞くと、個人的にはなんだが怪しげに思えてしまいます・・・。
この言葉を初めて聞いたときは、欧米で流行りの概念を国内に持ち込んで、ひと儲けしようとしている誰か(大抵はコンサル業)がいるのかな~くらいに思っていたのですが、SDG’sやらESGやらといった、経営にまつわるグローバルな潮流とも関係した概念のようで、投資家対策としても、従業員対策(優秀人材の採用、離職防止)としても、国内企業は取り組まざるを得ない状況になるかもしれません。
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そんな ”ウェルビーイング” な組織づくりについて、やっぱりと言うか、毎度と言うか、
「マネジャーが鍵を握っています」
と、熱量高く書いている本を読みました。この本です。
ジム・クリフトン+ジム・ハーター著『職場のウェルビーイングを高める 1億人のデータが導く「しなやかなチーム」の共通項』日本経済新聞出版(2022年)
著者は、ともに世界的に有名な調査会社ギャラップ社の方。かなり大がかりで、丁寧な調査および研究の結果として、ウェルビーイングを語っています。
以下は、私の主な感想です。
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生き生きした組織文化づくり
従業員のウェルビーイングを高めることは、従業員本人にとってはもとより、マネジャーにとっても、会社にとっても良いことばかりのようなのですが、それを実現するには
まずは、それ相応の組織文化を作り上げないといけない
ようです。そして、
まず、経営陣や管理職が自らウェルビーイングの5つの要素すべてにおいて生き生きしていることが重要です。(82ページ)
確かに。
なお、「5つの要素」とは、この本で(統計的に)明らかにしているウェルビーイングの種類のことで、以下の通りです。
*キャリア・ウェルビーイング ==> 日々していることが好き
*人間関係ウェルビーイング ==> 人生を豊かにする友がいる
*経済的ウェルビーイング ==> 上手にお金を管理する
*身体的ウェルビーイング ==> やり遂げるエネルギーがある
*コミュニティ・ウェルビーイング ==> 住んでいるところが好き
これらすべてにおいて、まずは経営陣や管理職がポジティブな状態であることが大切だと・・・。
皆さんはいかがですか?
1.日々、自分の強みを活かした仕事をやっている感覚を持てていますか?そして楽しんでいますか?
2.プライベートだけでなく、仕事関係でも、誰かと深いつながりを持てていますか?
3.経済的な安定感を感じられていますか?
4.長期的に見て、体に良いことをやっていますか?
5.自分にとって大切なコミュニティをもっていますか?
私は、特に5番目の問いには「YES」と言えないですね。
地元から離れているという面があり、地域とのつながりはありませんし、これといった趣味もないですし・・・。会社以外のコミュニティを見つけることを今年の目標にしてみようかと思います。
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マネジャーにできること
経営のあり方に関して、”ウェルビーイング” 同様に輸入言葉ですが、”ウェルビーイング” よりも知られた概念として、”エンゲージメント” があります。
”エンゲージメント” とは、従業員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」をあらわすものと解釈されますが、より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のこと(→ 「日本の人事部」さんのサイトへ)。
このエンゲージメントが、ウェルビーイングの高い組織文化の根幹となる(130ページ)ようです。つまり、従業員のエンゲージメントを高めることが、個人や組織のウェルビーイングを高めるにつながると。
では、従業員のエンゲージメントを高めるために、マネジャーは何ができるのか?こんなことのようです。(259~262ページの一部を記載)
① 部下に対して、達成すべき成果を定義し、明確にする
② 部下を承認する
③ 部下の意見を考慮する(そのうえで意思決定する)
④ 部下に任せる仕事が組織の目的とどう繋がっているかを示す
⑤ 職場の人たちが相互によく知り合う機会をつくる
どうですか? これまでにもよく言われていることばかりですね。
私自身は②③④あたりはやっているつもりなのですが、①⑤は不十分なので課題です。
②③④についても、部下がどう認識しているのかを客観視してみる必要はありますし、更に高いレベルでの実践を意識するとか、今後取り組んでみたいと思います。
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今日は、ウェルビーイングに関する本に関する記事でした。
ウェルビーイングという言葉が浸透するかどうかは不明ですが、概念自体はとても重要で、これからの組織マネジメントにおいて無視できないと思います。
この本の後半は調査・研究に関する内容は書かれており、少々堅いですが、ウェルビーイングを理解するには読んでほしい本です。
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