皆さんの会社や組織には、連続して高い評価を得ている従業員はいますか?
回答が「YES」であれば、「優秀なタレントがいるんですね」というポジティブな見方ができそうだが、ネガティブな見方もできる。それは、
評価者のマネジメント力が無いのかもしれませんね
という見方である。
具体的には、ラインマネジャーに評価能力や仕事の割り振り力が欠けているのではないかという見方。
参考書籍:一守靖 著『人的資本経営のマネジメント』中央経済グループパブリッシング(2022年)
ちょっと確認してみよう。
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ラインマネジャーの評価能力
これに問題がある場合、よく言われるのはまず「ハロー効果」の疑い。(→ ハロー効果を説明した「日本の人事部」さんのサイトへ)
ハロー効果については、管理職になったときに、必ずといっていいほど「ハロー効果に注意してね」と研修などで学ぶはずである。なのに、起こってしまう。
評価に向けて、
- 事実をしっかりと確認しよう!
- 印象論は捨てよう!
かといって、完璧な社員なんていないのだから、必ずダメなところを探そうというわけではない。
客観的事実を多くつかみ、本人の素晴らしい点と改善点(=成長ポイント)を明らかにするために、部下の言動を色々と見聞きし評価するのは、マネジャーとして基本である。
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仕事の割り振り力
ある業務で高い評価を継続してあげているのであれば、次の機会には、より難度の高い役割や業務を与えることが本人の成長にとっても、組織の成長にとってもハッピーなことなはず。
にもかかわらず、そういった仕事を与える/任せることができない、そういった仕事を担うよう説得することができないのは、本人、組織にとって機会損失である。
職能資格制度の会社であれば、現在の等級で謳われている期待役割が十分に担えているのであれば、一つ上の等級を目指すように促すか、一つ上の等級に昇級させるのが普通の考え方だろう。
一つ上の等級になれば、当然これまでと同じパフォーマンスでは評価されない、それなりの高い要求があるはずである。当然、昇級初年度から高い評価はなかなか受けられないだろう。
しかし、その高い要求に挑戦する過程で部下は成長し、いずれまた高評価を得られるかもしれない。
そんなマネジメントができていないと、ずっと高評価の社員が存在するという事態が起こる。
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今日は、評価に関する話でした。
仕事の割り振り力について、今の社会には「挑戦したがらない」空気感が蔓延していますので、難度の高い役割を任せようにも、部下がそれを受け入れないという感じ・・・ありますよね。
こんな状況で毎年昇給があることっておかしな感じですね。
このあたりについては、太田肇 著『何もしないほうが得な日本』PHP新書(2022年)で書かれています。著者曰く、これは「個の問題ではなく、組織や社会の問題」のようで相当根いとのこと。(この本、おもしろいです!)
とはいえ、ジョブ型人材マネジメント、キャリア自律、人材流動化が国の方針として謳われている現在、より難度の高い仕事を担うことは、多くの人の将来にとってプラスになるはずです。
なにより、部下の成長を促す役割や業務を考え、割り振り、任せることは、皆さん自身のマネジメント力としてのプレゼンス向上にもつながります。(任せた後のフォローアップも重要ですけど)
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