前回のブログ(※)で、360度評価に関する5つのポイントを紹介した。それは以下のものである。
1.設問
2.事前案内
3.協力者選び
4.結果のフィードバック
5.フォローアップ
今回は続きとして、4番目「結果のフィードバック」について書いていく。
フィードバックのない360度評価は、何もやっていないのと同じ!
育成目的以外の360度評価は意味がないと、前々回のブログ(※)で書いたが、360度評価の結果をマネジャーの成長につなげようと思ったら、結果はマネジャー本人に必ず見せなければ何も始まらない。
見せればいいからといって、一方的に結果(レポート)を送り、「はい、これが結果です。各自確認のうえ、今後に活かしてください!」というやり方はどうだろうか。まあ無意味だろう。マネジャーの成長につながらない。
本来であれば、360度評価の対象となったマネジャーの上司(課長が対象なら、部長)が育成責任を負っているので、上司から結果のフィードバックを受け、今後の成長課題を一緒に考えるのが理想だ。
だが、様々な理由から、そんなことができる上司はほとんどいない。
となると、いかにフィードバックを行うか。観点は3つ。
A.誰が行うか?
B.個別に行うか?グループで行うか?
C.何を行うか?
主管部門がやるか、外部のプロがやるか。
A の「誰が行うか?」は、主幹部署(人事部など)の人が行うか、外部のプロが行うか。
結論、どちらでも構わない。ただし、個人的な経験から言えば、「言うべきことが冷静に言える人」が理想だ。なぜか。
360度評価の結果に対して反発や言い訳をするマネジャーがいる。「こんなことやったって無意味だ!やるなら、もっと上の層をやれ!」とか「実施時期が悪いわ。違う時期だったらこんな結果じゃないのに」とか。
中には「部下がアホだからなぁ」と、矢印が全く自分に向かない(他責)マネジャーがほんの一部だが存在する。
そういった場合に、その発言に迎合するなんてもってのほかだが、何も言わないのも問題だ。そんなことでは、マネジャー自身の成長機会にはならない。
だから、「なるほど。しかし、自分に矢印を向けないと、部下も自分に矢印を向けないんじゃないですか」とか、「今日は他人のことではなく、自分のことだけ考えましょう」といったことをきちんと言える人が良い。
結果をフィードバックする人にしてみれば、同じ会社の人には言いづらいということもあるだろう。そう判断した場合は外部のプロを利用すれば良い。
個別?グループ?どちらでもいいけど・・・
B の「個別に行うか?グループで行うか?」は、しっかりと時間が取れればどちらでも構わない。個別だと1時間/名、グループだと人数にもよるが2~3時間を確保したい。
私は、グループでのフィードバックを推奨する。なぜなら、360度評価結果について、マネジャーどうしで話し合うことで、他者との違いを認識でき、自己認識が更に高まることが期待できるからである。
C の「何を行うか?」個別でもグループでも、フィードバックの進め方はざっとこんな感じ。
- アイスブレイク(自己紹介)
- 360度評価の目的と、今日のフィードバックの目的・ゴールの提示
- 設問の紹介
- 結果レポートの見方の紹介
- 自分の結果を確認・内省(・グループの場合、+対話)
- 自分の強み・伸びしろを整理(・グループの場合、+対話)
- 伸びしろに関して、解決策(行動計画)を考える
- 今日のセッションを終えての一言
7. の解決策を考える際には、”SBI” で考えると良い。
”S” は状況(Situation)、”B” は言動(Behaviar)、”I” は影響(Impact)で、どんな状況に置かれたときに、どんな言動をとる/とらないように意識し、誰に対してどんな影響を与えるのか。
自己成長に向けてのプランは、「もっと部下の立場で考える」といった抽象度の高い表現で設定するのではなく、具体的に考えましょうということである。
※SBIに関する参考書籍:中原淳著『実践!フィードバック』PHP研究所 2017年
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次回は、5番目(最後)のステップ「フォローアップ」について書いていく。
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