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1on1で ”振り返りを希望する人”、いないでしょ

1on1
この記事は約4分で読めます。

近年、多くの企業で1on1ミーティングが取り入れられていますね。

企業が1on1ミーティングを導入する理由は、コロナ禍になった直後は、リモートワークを導入したことによる「コミュニケーション機会の減少」を補填するというものが主だった印象でした。

リモートワークは、「独居者の孤立・メンタル不全」や「新規参入者の組織適応の遅れ」、「部下の評価不安」、「仕事関連だけのコミュニケーション」などの課題を生み、それを補うために1on1ミーティングがますます必要だという風潮になっていきました。

現在(2023年4月)、コロナ禍は少し落ち着きを見せ、リモートワークから出社への回帰傾向が見られる中でも、”1on1ブーム” はまだ残っている印象です。

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1on1ミーティングのコンセプトは「部下のための時間」です。つまり上司主導の場(上司が聴きたいこと/確認したいことを聞く場)ではありません。(→ 以前に書いた記事へ

そして、1on1ミーティングは実施頻度の高さに特徴があります。だいたい1~2週に1回(最低でも月に1回)、15~30分間/回で行れます。

「部下のための時間」と謳っていますので、毎回のトピックは部下主導で決められます。マネジャーの、

今日は何の話をしようか?

という言葉から1on1ミーティングが始まります。それに対して、部下から

* 〇〇の件で相談があるんですけど・・・
* この間の会議で話題になった✕✕が気になっているんですけど・・・
* 今度行われるイベントの事なんですけど・・・

という回答があり、対話が進んでいくような感じです。

ただし、これはあくまでも理想形であって、”そうは問屋が卸さない” ケースが多くあります。その一つに、「部下の経験学習を促す」1on1ミーティングがあります。

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部下の経験学習を促すような場にしたいが・・・

1on1ミーティングを実施する目的の1つに「部下の経験学習を促す」というものがあります。
※経験学習については、以前にこのブログで書いています。(→ 該当する記事へ

私も、普段1on1ミーティングを部下とやっています。その実体験と、多くの企業のマネジャーの皆さんとの対話経験から、「部下の経験学習を促す」に関して言えることが2つあります。それは、

1.経験学習を促すことは部下の成長につながる
2.1on1ミーティングで経験学習を促すことは、上司が意図的にしないとできない

というものです。2番目の説について、なぜそうなるのか・・・。それは、

経験を振り返りたい人の数なんて、ごくごく僅かだから

です。

皆さんご自身、どうですか? 上司から「今日は何の話をしようか?」と問われて、「経験を振り返りたいなぁ」なんて思いますか?

殆どの人は思わないのではないでしょうか。振り返りの習慣をもった人はごく一部しかいないのがリアルだと思います。ですから、1on1ミーティングにおいて「部下の経験学習を促す」ためには、マネジャー側からの働きかけが必要です。では、どうすれば良いでしょうか。

毎回の1on1ミーティングで振り返りを働きかける必要はありません。たまに、でOKです。例えば、

* 「今日は何の話をしようか?」に対して、「今日は特に話したい話題がない」という回答だったとき
* マネジャー側から見て、部下がとても良い経験を積んだ(積んでいる)なと思ったとき

などに、

今日は、ここ最近の仕事を振り返る機会にしてみない?

と、マネジャー側から1on1ミーティングのトピックを持ち掛けてみるので十分です。

日々の業務を懸命にやっている部下にとって、ちょっと立ち止まって、自分のやってきたことや考えたことなどを振り返る価値は大きいと思いますよ。

参考図書:松尾睦 著『経験学習リーダーシップ』ダイヤモンド社(2019年)

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今日は、1on1ミーティングに関するお話でした。中でも、「部下の経験学習を促す」ことを目的とした1on1ミーティングに関するものでした。

応援団長
応援団長

ぜひ、マネジャー主導で、経験学習を促すような場をつくってほしいと思います。

1on1ミーティングのもたらすポジティブな効果は、うまくやることができれば絶大です。ところが、効果を享受できていないケースが散見されます。

そんなとき、マネジャーからはこんな声があがります。

* とにかく部下の話を聞けばいいって言うから聞いてあげてるけど、これで意味あんの?
* 雑談していればいいって聞いたけど、時間の無駄にしか思えない
* 頻繁にやってると話題が枯渇する。最近は話すことがなくなった

これは、1on1ミーティングの本質が理解できていないときに出がちなコメントです。いま、色々と関連本が出ていますが、読む際にハウツーに溺れ過ぎないような注意は必要です。